hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【229】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐡道(37)車窓風景編 原向駅から、終点・間藤駅へ。  




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【停車駅】◎→列車交換可能駅、★→登録文化財駅、〓→主な鉄橋
原向0804==〓==〓=〓=通洞★=〓==足尾◎★==〓==0815間藤
下り711D列車・間藤行き(わ89-101「こうしん号」単行)
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県境の笠松トンネルを抜けて、そのまま、渡良瀬川沿いの長い上り勾配を登っ行くと・・・
対岸の山際に家々が国道が見えて来て、栃木県側の最初の停車駅である、
原向駅(はらむかい-)に到着する。
盛土の古い単式客車ホームと新しく建て直された待合所がある、山際の小さな駅だ。
駅周辺にも、平屋建ての民家が集まっていて、小集落を形成している。


(原向駅と原向集落。※同列車の最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

また、この「こうしん号」の愛称の由来になっている、
庚申山(こうしんさん/標高1,892m)の登山口や、足尾温泉(庚申の湯)の最寄り駅になっている。
庚申山は、日光を開山したと言われる、高僧の勝道上人(しょうどうじょうにん)が開山し、
江戸時代までは、庚申信仰の霊山として、登山参拝が多かったそうだ。
今も、奇岩や怪石が多い山として、登山愛好家に良く知られた山になっている。
マピオン電子地図3D風(栃木県庚申山・1/75,000)

この駅での乗降は無く、原向駅を直ぐに発車。
駅並びの住宅を見送り、再び、人気の無い山際の木立の中を、真っ直ぐに走る。
18パーミルの勾配を登りながら、大きく左にカーブをすると、
二連ワーレントラス鉄橋の第二渡良瀬川橋梁を渡る。
なお、わたらせ渓谷鐵道は、意外にも、渡良瀬川本流を渡る鉄橋は少ない。
桐生〜下新田間(但し、JRの鉄橋)、神戸〜沢入間と、この原向〜通洞間のみである。


(美しい青トラスの第二渡良瀬川橋梁。※同列車の最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

新しく見える鉄橋であるが、明治44年(1911年)・東京石川播磨造船所の製造で、
翌年12月の足尾鐡道開通時から使われており、現役の国産鉄道用鉄橋としては、最古級である。
なお、足尾鐡道では、鉄橋長が100尺(約30m)以上の鉄橋は、ワーレントラスを用いた。

当時、国内での鉄橋設計や高品質鋼材生産は、まだまだ未熟であり、
イギリスやアメリカ製等の輸入鉄橋を多く使っていた。
その中で、国内で製造された鉄橋として、大変貴重になっている。
なお、アメリカ・カーネギー社(現・USスチール社)から、鋼材を輸入し、
当時の著名なアメリカ人橋梁技師である、セオドア・クーパー氏が設計している。

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐵道第二渡良瀬川橋梁」
所在地栃木県日光市足尾町遠下・小ナギ
登録日平成21年(2009年)11月2日
年代大正元年(1912年) ※製造は明治44年(1911年)。
構造形式鋼製2連ワーレントラス橋、橋長95m、橋台及び橋脚付1基。
特記渡良瀬川に架かる橋長95m、単線仕様の鋼製2連橋梁。
桁は下弦材にアイバーを用い、部材接合にピン結合を使用した
150ftのクーパー型ワーレントラス鉄橋であり、
国産である事が明らかなクーパー型として貴重である。
(文化庁文化遺産データベースを参照・編集。

渡良瀬川左岸から右岸に渡ると、川から離れ、少し広くなった川岸の平坦地の上り勾配が続く。
車窓も変わり、住宅や工場がポツポツと点在する、荒れ地や雑木林の中を走る感じだ。
地形も穏やかになっているので、線路のカーブも緩やかになり、直線が多くなってくる。

暫くすると、荒れ地の木立の中から、大きな盛土部に出る。
視界が開けた谷間に、建物が沢山見えて来て、足尾の町中心部に近づいている様だ。
ここまでは、木々が鬱蒼と茂る山中ばかりなので、大きな町に着いたと言う実感が湧く。


(鉱山住宅群を見ながら、急坂を登る。※同列車の最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

緑色や銅色(あかがねいろ)のトタン屋根の鉱山住宅と町並みを見下ろしながら、
20パーミル前後の上り急勾配を、けたたましいエンジン音を響かせて登る。

国登録有形文化財の有越沢鉄橋を渡ると、通洞選鉱所(つうどう-)が左窓下に見える。
もう、選鉱は行なっていないが、公害防止の浄水処理等を行なっているそうだ。
なお、日中の下り列車の運転士によっては、観光案内と徐行運転をしてくれる。


(通洞選鉱所。※同列車の側窓から、撮影。)

そして、右にカーブしながら、急勾配を上り切って、踏切を通過すると・・・
主要駅である通洞駅(つうどう-)に到着する。
ホームは単式であるが、立派な大型木造駅舎があり、国の登録有形文化財になっている。

次の駅が、国鉄足尾線や町名を冠した足尾駅であるが、通洞駅周辺の方が栄えており、
実質的な町の玄関駅になっている。
町名を冠した駅よりも、別名の隣駅の方が主要になっているのは、珍しいだろう。


(通洞駅を発車する。列車交換設備は無い。※同列車の最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

乗客ふたりが下車をすると、遂に自分ひとりになり、通洞駅を定刻に発車する。
直ぐに渋川橋梁を渡ると、西側の山際の高台から、町を見下ろす区間を走る。
川谷も広くなっており、長い盆地状の低地を埋める様に、家々が建て込んでいるのが判る。

IMGP3308.jpg
(高台の線路からの足尾の町並み。※共に同列車の最後尾から、後方桐生方を撮影。)

通洞駅から900m、約2分で、足尾駅に到着。
列車交換設備と平屋建ての大きな木造駅舎、広大な引込線がある、大きな駅になっている。
既に使われなくなった鉄道関連施設も多いが、開業当時の雰囲気が残り、
鉄道ファン的に非常に興味深いので、帰りに寄ってみよう。

IMGP3311.jpg
(足尾駅を発車する。※同列車の最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

遂に、最後の区間になり、終点の間藤駅(まとう-)に向かって、ラストスパートになる。
自分と運転士ふたりだけを乗せた列車は、直ぐには速度を上げず、
左カーブのスプリングポイントを、時速20kmの低速で越えると、
緑の多い住宅地の中を道路に沿って、ゆっくりと走る。
この時間になると、陽も大分上がって、明るく車内に差し込でいる。


(足尾駅間藤方のスプリングポイント。※同列車の最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

(足尾〜間藤間の車内の様子。)

徐々にエンジン音が高鳴り、最後の坂を登る速度も、増して行く。
幾つかの緩やかなカーブを曲がると、第一松木川橋梁を渡る。
下流側を見ると、歩行者用の青い小トラス鉄橋も、架けられている。


(第一松木川橋梁を渡る。※同列車最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

松木川は、渡良瀬川の支流のひとつであるが、元々は、渡良瀬川本流であったそうだ。
足尾駅付近で、三つの川が合流し、渡良瀬川の大きな流れになっている。
この第一松木川橋梁も大変古く、大正3年(1914年)に架橋され、国の登録有形文化財になっている。

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐵道第一松木川橋梁」
所在地栃木県日光市足尾町字田元
登録日平成21年(2009年)11月2日
年代大正3年(1914年)
構造形式鋼製3連桁橋、橋長56m、橋台及び橋脚付。
特記渡良瀬川とほぼ並行して足尾・桐生間に建設された旧足尾鐵道の施設。
渡良瀬川上流に架かる橋長56m、単線仕様の鋼製3連桁橋で、
桁はプレートガーダーとする。
(文化庁文化遺産データベースを参照・編集。)

第一松木川橋梁を渡ると、川谷が狭くなり、県道を左に並走しながら、山際の高台を真っ直ぐに走る。
雪を頂く日光連山が正面に見えて来て、緩く右カーブすると思いきや・・・
突然の様に間藤駅に到着する。

定刻の8時15分。終点の間藤駅に到着し、わたらせ渓谷鐵道44.1kmの完乗となる。
なお、途中下車をしないで、通しで乗車した場合は、桐生駅から約1時間30分かかる。


(県道と並走する。※同列車の最後尾から、後方の桐生方を撮影。)

(終点の間藤駅に到着し、折り返しの準備をする、わ89形101「こうしん号」。)

ホームに降り立つと、高く切り立った崖下にある間藤駅は、ひんやりとした湿気感がある。
渓谷線最奥の雰囲気が、十分に感じられる駅だ。



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運転士の運転の妨げになる為、全て、最後尾から後方風景を撮影しています。
進行方向の間藤方の写真は、上り桐生行き列車の最後尾から撮影しています。

2016年1月12日再編集
2016年12月12日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: わたらせ渓谷鐵道2日目 15話

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