hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【45】清流長良川と奥美濃を訪ねて・・・長良川鉄道(10)郡上八幡駅 後半の部&ふるさとの鉄道館  


この郡上八幡駅の北濃寄りには、長良川鉄道唯一の跨線橋がある。
それも、戦前の古い木造跨線橋なので、登ってみよう。
跨線橋の1番線階段横には、国鉄時代の駅名標もひっそりとあり、捨てずに此処に置いた模様だ。
一度、国鉄時代に新調されたと思われるが、何とも言えない汚れ具合になっている。

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(国鉄時代のものと思われる駅名標。)
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(1番線ホーム側の跨線橋出入口。)

コツコツとした柔らかい感触の木の階段を登って行くと・・・
太い斜め梁、小さな明かり取り窓、低い天井である渡り廊下を渡る。
内部各所もペンキが丁寧に塗られており、保存状態も大変良い。
一瞬、国鉄最盛期に戻る雰囲気があり、懐かしい感じで一杯になる。

この跨線橋は、昭和19年(1944年)に追加設置されたもので、橋長16m・幅2mあり、
平成27年(2015年)に文化庁の登録有形文化財に指定されている(※)。
なお、美濃太田方の渡り部側板は外されており、半透明のプラスチックパネルになっている。
オリジナルの採光窓が小さく、薄暗い為、採光用に改造したのだろう。

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なお、線路上の渡り廊下の部分は、鉄骨フレームで外側から強固に支えられているが、
階段部と接続部は支柱も木製になっており、ハウトラス形式と言われるトラス橋である。
鉄骨部分を極力少なくしているのは、戦時中の鉄不足の影響だそうだ。
また、渡り廊下の蒸気機関車の煙を避ける除煙板は、取り外しされている。

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跨線橋から戻り、駅舎の中に入ってみよう。
改札口の間口は広く、両側の鉄製ポールのみが残っている。
なお、改札口真上の駅時刻表は、長良川鉄道では珍しい電光表示になっている。
改札前の吊り下げ式駅名標の裏側は、国鉄時代のままの案内板だ。

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(電光式駅時刻表。国鉄時代のものを、差し替えてある。)

駅時刻表横の蒸気機関車は三重連の写真であるが、この越美南線のものかは不明である。
ボイラーとテンダー(炭水車)の長さから、国鉄C58形蒸気機関車らしい。
越美南線の機関区であった美濃太田機関区の主力はC58形であり、
もし、越美南線で三重連運転ならば意外であるが、線路や橋の負担がかなり大きくなるので、
可能性が低いかと思われる。

ちなみに、越美南線の無煙化は、昭和44年(1969年)1月13日になっている。
最後まで活躍した蒸気機関車は、美濃太田機関区所属のC11形の153、211、220号機で、
元・御召機であるC11-220号機は、さよなら装飾がされたそうだ。

待合室は、30畳位ある大変広いもので、天井も高くなっている。
大きな木製のベンチが6つ置かれ、壁には、記念ヘッドマークが飾られている。
有人の出札口もあるが、シャッターが設置される等の大幅な改造がされており、
その左横には、きっぷの自動券売機もある。

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駅前に出てみよう。
二階建て位の高さがある平屋建ての貫禄ある駅舎は、トタン葺きの傾斜がかなり急である。
出入口には、名物の郡上おどりの提灯が掛かっており、観光客を歓迎してくれる様だ。

この駅舎は昭和4年(1929年)開業当時からのもので、昭和29年(1954年)に増築されている。
桁行十三間半(24.5m)、梁間三間半(6.4m)ある大型な切妻造平入り木造建築は、
壁面の白い人造石洗い出し仕上げ(モルタル工法)が印象的である。

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郡上八幡駅の待合室の一角には、駅事務室の鉄道手小荷物窓口を改造したと思われる、
小さな鉄道資料館「ふるさとの鉄道館」がある。
長良川鉄道と地元鉄道ファンが、協力して設置したそうで、
貴重な資料がごろごろと展示してあり、鉄道博物館等のエンターテイメント的な展示と違って、
生粋の鉄道ファンならば、垂涎ものになっている。

出入口上には、昭和10年代の貨物運賃表と昭和20年代の旅客運賃表が掲げられている。
黒板に白インクの手書きで、レプリカで無い当時の本物である。
左右の発車時刻表示機は、手動で操作するタイプだ。

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入口横には、鉄道手小荷物の重さを量る台貫、タブレット閉塞機(通称・お稲荷さん)、
ホーロー製の懐かしい看板や駅名標がずらりと・・・。

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奥には、制帽や駅で使われた備品等が展示されている。
また、国鉄当時の蒸気機関車等の写真も、壁に沢山飾ってある。

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レールの見本が、足元に転がっている。
レールは1mあたりの重さ(kg)で等級区分があり、
長良川鉄道では、軽量な30kgレールが全線の三割程度に残っているそうだ。

なお、メートルあたりの重さが重いレールほど規格が高く、高速で輸送密度の高い路線に向く。
レールの断面の形はほぼ同じだが、高さ、底部や頭部の幅が違い、
国鉄時代の幹線は40-50kgレール、ローカル線は30kgレールが多く使われていた。
現在は、ローカル線でも、高規格の50kgレールが標準で使われる様になっている。
ちなみに、レールの長さは25mが基本となり、50kgレール一本は重さ1tを超える。

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乗車券箱と切符に発行日付を打つ印字機(ダッチングマシン)も展示してある。
当時、使われたゴム印も、一緒に乗車券箱の中に展示されている。

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(ダッチングマシン。切符を溝に通すと、自動刻印される。)

国鉄時代の専門書も、沢山展示されている。
これだけ揃って保存されているのも、珍しいだろう。

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2015年11月23日再編集
2015年12月23日加筆
2016年6月11日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 長良川鉄道 全22話

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