hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【44】清流長良川と奥美濃を訪ねて・・・長良川鉄道(9)郡上八幡駅 前半の部  


「そろそろ、発車しますよ。」と、運転士のM氏から声が掛かったので、乗車しよう。
北濃駅に20分程留まり、折り返しの8時54分発の美濃太田行き8D列車として発車する。
折り返しの乗客は、乗り鉄派の鉄道ファンが3人と、北濃駅から乗車してきた4人の家族連れである。
子供達は窓を開けて、はしゃいでいるのも、ローカル線ならではの光景だ。

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北濃854======931郡上八幡
上り8D 普通 美濃太田行き
ナガラ300形(305)単行
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奥美濃の美しい田園風景が広がる下り勾配を、速い速度で軽やかに走る。
行き止まりの盲腸線になっているので、二度も景色が楽しめるのも良い感じである。
復路は、あまり撮影をせずに、車窓を観る事に専念しよう。

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復路は、起点駅の美濃太田に向かいながら、途中下車観光と気になった駅を訪問したい。
先ずは、沿線一の観光地である郡上八幡駅(ぐじょうはちまん-)の途中下車観光と行こう。



北濃駅から郡上八幡駅まで約30分、景色が良いので、あっという間の感覚で戻って来た。
この駅で、下り列車のナガラ300形(304)と列車交換をする。

色々、お世話になった運転士のM氏に、お礼の挨拶をして下車する。
今日は連休中なので、列車交換をしている2番線の下り美濃白鳥行き列車からも、
大勢の観光客が下車して来ている。
 
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(国鉄時代の長いホームに、1両だけの列車が到着する。)
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(改札前の吊り下げ式駅名標は、長良川鉄道発足時に交換されている。)

郡上八幡駅は郡上市の玄関駅として、また、長良川鉄道で一番大きな駅としての貫禄があり、
「中部の駅百選」にも選ばれた名駅である。市街地に繰り出す前に、少し見学をしよう。

昭和4年(1929年)12月に、深戸駅からこの駅まで延伸した際に開業した駅で、
二面三線の大型ホームと開業当時の大きな平屋建ての木造駅舎が残っている。
また、北濃方の延伸開業は昭和7年(1932年)9月の為、約3年間はこの駅が終着駅だった。
起点駅の美濃太田から46.9km地点、所要時間約1時間20分、所在地は郡上市八幡町稲成、
標高は210mになる。終日、社員配置の有人駅になっている。

ホームは南北に配され、駅舎側ホームと島式ホームの組み合わせの二面三線になっている。
1番線ホームから北濃方を見ると、駅自体が緩やかなカーブの途中にあり、ホームも弓状になっている。
構内踏切は無く、北濃方に長良川鉄道で唯一の跨線橋が設置されている。
以前は、三番線に接続した転車台が、向こうの車庫の付近にあったそうだが、撤去されたそうだ。

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(1番線ホームは、長さ98mあり、蒸気機関車と客車4両編成位まで対応できた。)

美濃太田方は緩やかなカーブを描きながら、暫く、構内線路が並行した後に
スプリングポイントで纏まっている。
島式ホームの二・三番線は、長さ115mある昔ながらの美しい玉石積みのホームで、
古レール柱で支えられたトタン葺きの旅客上屋は、約40mの長さがある。
屋根裏の白塗りの板張りや、白い国鉄風待合室が建っているのも、良い雰囲気である。
この待合所は、昭和7年(1932年)に追加設置され、ホームも昭和29年(1954年)に改修されている。
また、一番外側の三番線は、今は殆ど使われていないそうだ。

なお、左方の草が生い茂っている辺りが、貨物ホームと側線跡になり、
昭和49年(1974年)10月まで取り扱いがあったそうだ。
貨物ホームは頭端式で、二本ある側線の外側に相対して引込線が美濃太田方に伸び、
相当の貨物取り扱い量があったらしい。

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(下り北濃行き列車乗車時から、美濃太田方を撮影。)

駅舎本屋南側の貨物ホームと貨物側線跡近くには、木造の小屋があり、
転轍機(ポイント)を操作する操作てこもそのままだ。
また、郡上八幡駅から北濃方は、平均勾配率が9.4‰(路線キロ相対)と急に上がる為、
車両逸走を停めるカーキャッチャーも置かれている。

操作てこがあるこの小屋は、灯室と言われ、現存するものは貴重になっている。
昭和4年(1929年)開業当時の設備で、屋内には、信号関連機器を保管した棚があり、
梯子上屋は四本の鉄製信号梯子を装備しているそうだ。
昭和初期の鉄道信号システムの保線小屋とも言え、国登録有形文化財指定になっている(※)。

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(灯室。)
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(転轍機の操作てこ。)
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(カーキャッチャー。レールの上に置いて、車輪と挟み込む事により、摩擦で停車させる。)

急勾配が連続する路線では、留置車両がひとり勝手に走行をして、事故を起こす危険がある。
過去例では、数kmもの下り勾配を下り、他車や駅構造物に衝突し、大惨事になる事もあったので、
鉄道現場では「流転(るてん)」と言われる車両逸走事故は、特に注意が払われている。
このカーキャッチャーは制動靴の通称で、昭和47年(1972年)に開発整備された鉄道保安器具である。
最近の事故では、平成21年(2009年)4月、JR名松線の気動車1両が8.5km逸走した例がある。
幸いにも、駅間で自然停車し、大事故は避けられた。

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(説明板。ウィキペディア公開ファイルより、撮影者の共有許諾画像。)

上り1番線の改札周辺を見てみよう。
駅舎本屋の屋根が庇状にホームに掛かっているが、廃レールの柱に支えられた屋根が別にあり、
跨線橋の出入口まで続いている。柱や構造が違うので、後年に増築された部分だろう。

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改札並びの窓に沿って、国鉄の駅舎に良く見られる木造ベンチがとても長く、
大型の縦窓が連続しているのが、この駅の特徴になっている。
駅舎は築80年経過しており、残念ながら、窓枠はサッシに交換されている。

IMGP4846.jpg

駅舎の改札口の他には、観光地の駅らしく、団体用と思われる出口もある。
「出口 EXIT」の文字が、国鉄風ゴシック体であるのが、懐かしい。

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上りの美濃太田行き列車が先発し、下り美濃白鳥行き列車は暫く停車した後、
短い汽笛を鳴らした後に発車して行く。

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(※)訪問時は未指定。平成27年(2015年)8月4日指定。

2015年11月23日再編集
2015年12月23日加筆
2016年6月11日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 長良川鉄道 全22話

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