hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【43】清流長良川と奥美濃を訪ねて・・・長良川鉄道(8)北濃駅 後半の部&気動車紹介  


北濃駅(ほくのう-)西側の山際には、引き込み線と転車台が残っている。
平成14年(2002年)に、地元有志の転車台保存会も結成され、観光案内板も設置されている。

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長さは50フィートこと、直径約15.4mの上路式転車台(じょうろしき-)であり、
回転動力は電動では無く、ふたり掛かりの人力で動かす。
ピットの深さは1m以上あり、湧き水が底に大量流れていて、清々しい雰囲気になっている。
かつては、給水設備もあったそうだが、かなり前に撤去された様だ。

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鉄桁の端には銘板が付いており、見てみると・・・
明治35年(1902年)製造のアメリカン・ブリッジ社製の輸入品である。
国内で現存する転車台で、銘板等で製造年が確認出来るものでは、
静岡県の大井川鐡道・千頭駅(せんず-)にある国内最古の転車台の次に古いもので、
文化庁の登録有形文化財にも登録されている。
なお、千頭駅の転車台は、明治30年(1897年)製造の英国ランソムズ・アンド・ラピア社製である。
【10】SL列車とレトロ駅訪問の旅〜大井川鐵道(10)千頭駅

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(緑色の銘板は、登録有形文化財指定のもの。)

元々は、東海道本線の岐阜駅に設置された転車台で、今も現役のものである。
昭和9年(1934年)の国鉄越美南線・北濃駅開業時に移設されたとの事で、
此処は、太平洋戦争の空襲の被害も無く、それが幸いであった。
かつての越美南線には、C10形やC11形のタンク式蒸気機関車が走っており、
蒸気機関車が引退した昭和44年(1969年)まで、使われていたそうだ。
今でも、気動車の車輪の片減り防止の為、方向転換が必要な時に使われている。

なお、鎖錠装置は、京都・梅小路蒸気機関車館の転車台と同じ、
線路中央部に閂(かんぬき)がある上ノック式になっている。
反対側の閂には、橋桁横のZリンク機構を使って、同期している。

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(転車台の先は、行き止まりになっている。)

転車台とホームの現役車両を、一緒に記念撮影しよう。
この様に撮影が出来る転車台は、全国的にも少ないと思われる。
転車台の周りに柵が無いので、夜間や積雪時、子供連れの訪問の際、転落に注意が必要だ。
なお、ガードレールが激しく曲がっているのは、この付近は雪が多い為である。

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北濃駅のホームに戻り、南端に行ってみよう。
南側の美濃白鳥方のホームは、ゆるやかにカーブしている。
現在、駅舎側の1番線は使われておらず、山側の2番線を単式ホームの様に使われている。

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駅の南側にあるポイントは、山側の2番線が分岐方になる片開きポイントで、
1番線が本線、2番線が副本線(行き違い線)となり、路線延伸計画の名残になっている。
また、駅舎側に機回し線が並走し、駅舎並びに貨物ホームと貨物側線があった。
現在、町の高齢者福祉センターと駐車場になっていて、
駅舎出入口前に側線跡が一部残るのみになっている。
昔は、当面の終着駅らしく、構内がとても広かった様子だ。

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(昭和9年の北濃駅開業時の様子。ウィキペディア公開ファイルから引用。)

また、越美北線の九頭竜湖駅への初期延伸ルート案は、この北濃駅でスイッチバックをして、
美濃白鳥方に一度南進し、現在の国道158号線の油坂峠(あぶらさか-)を越える予定だった。
しかし、油坂峠の標高差が大きい事や戦後のトンネル掘削技術の進歩により、
更に北進して、石徹白(いとしろ)経由のループトンネル案に変更された経緯がある。
何れも、幻の延伸計画になったが、興味深い所だ。
美濃白鳥駅から西進せず、北濃駅まで北上したのは、スイッチバックの為と言われている。

油坂峠の標高は780mもあり、北濃駅の446mを考えると、標高差300mを軽く越える。
有名なスイッチバック駅である豊肥本線立野駅の188m差や木次線出雲坂根駅の157m差を遥かに越え、
ループ線とスイッチバック併用のJR肥薩線大畑駅の430m差に近く、かなりの難所だったと思われる。
戦前から長らく未成調査線として、着工が模索されたが、この難所を越える工事は難しかった様だ。
しかし、昭和53年(1978年)の暮れに、故・田中角栄が総理大臣に就任すると、
彼の日本列島改造論に呼応する様に、工事線に一気に格上げとなった。
昭和54年(1979年)から測量が始まり、新ルート案の石徹白集落では大いに期待が高まったが、
翌年の昭和55年(1980年)に国鉄再建法が国会で可決され、工事は急遽中止になったそうだ。
開通すれば、150㎞にもなる幻の越美本線も、国鉄の巨大赤字に夢を絶たれたと言える。


(国土地理院 国土電子Web 美濃白鳥・油坂峠付近。)

そろそろ、折り返しの発車時刻になる。
最後に、花々、転車台とナガラ300形を絡めて記念撮影をし、列車に乗り込もう。

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ここで、長良川鉄道の簡単な車両解説をしたいと思う。
全線非電化路線の為、全車両が気動車(ディーゼルカー)になっている。
旧型のレールバスが1形式1両と、新型の軽快気動車が3形式11両が在籍しており、
旧型のレールバスは予備車になっている。

長良川鉄道の気動車の仕様は、バリエーションが多いのが特徴である。
奥美濃は雪が多いエリアの為、大型のスノープラウが車両の前後に付いている。

◆ナガラ1形◆ 
富士重工業製のレールバス。バス車体を流用しているので、車高が低いのが特徴。
第三セクター発足時の導入車両で、長良川鉄道のマスコット的な車両(※)。
側面全体には、長良川をモチーフにした大きなイラストが描かれている。

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◆ナガラ200形◆
国鉄形気動車の名残のある、長良川鉄道オリジナルのワンメイク車両。
主に、臨時快速列車やイベント列車に使われている。
側面全体には、長良川をモチーフにした大きなイラストが描かれている。

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◆ナガラ300形◆
現在の主力気動車で、富士重工業製の新型軽快気動車。7両と最多在籍形式。
また、車体側面には、沿線の町の花のデザインが描かれている。
なお、沿線の市町村合併の為、車両によっては、合併前の町の花が描かれている。
ナガラ300形と500形のエンジンは、日産ディーゼル製PF6HT03を搭載しており、
このエンジンは、燃料直噴式・ターボ付き水平対抗6気筒エンジンで、排気量は12,503ccある。
最大295馬力を発生させ、軽い車重と相まって、軽快に走る。

【ナガラ300形 側面花デザイン一覧】
301・302 水芭蕉(旧・明宝町)
303 紫陽花(美濃加茂市)
304 山つつじ(旧・大和町)
305 菊(関市)※「千代の里郡上」のイラスト付き
306 さつき(旧・八幡町)※広告ラッピング車
307 エゾリンドウ(旧・白鳥町)

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◆ナガラ500形(あずき色/青帯付き)◆
新潟トランシス製の新型軽快気動車。基本的な仕様やデザインは300形に近い。
富士重工業が鉄道車両製造から撤退した為、新潟トランシスが技術継承している。

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◆ナガラ500形(長良川鉄道オリジナルカラー)◆
長良川鉄道発足時のリバイバル塗装。通常のダイヤに組み込まれて運行されている。

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【長良川鉄道 現役気動車一覧】 (2011年4月現在)

形式ナガラ1形ナガラ200形ナガラ300形ナガラ500形
車番10201301〜307501〜503
両数1両1両
7両3両
メーカー富士重工業富士重工業富士重工業新潟トランシス
導入年昭和61年
(1986年)
平成6年
(1994年)
平成10年
(1998年)
から順次導入
平成19年
(2007年)
から順次導入
エンジン日産ディーゼル
ターボ付き
PE6HT03
230馬力/
1,900rpm
日産ディーゼル
ターボ付き
PE6HT03A
250馬力/
1,900rpm
日産ディーゼル
ターボ付き
PF6HT03
295馬力/
2,100rpm
日産ディーゼル
ターボ付き
PF6HT03
295馬力/
2,100rpm
全長15.5m16.5m16.5m16.5m
自重
(空車時)
23.5t約27t26.8t ※28.5t
定員数
(立席含)
98名103名102名 ※107名
塗色白地に赤青帯
側面イラスト
白地に赤青帯
側面イラスト
あずき色
側面花イラスト
501と502は
あずき色に青白帯
503は
白地に赤青帯
シートロングシートセミクロスシートセミクロスシート
306のみ
ロングシート
ロングシート
冷房ありありありあり
特記低屋根
レールバス
発足時導入車
予備車扱い
休日等の
臨時快速に使用
1両のみ新製
現在の主力形式
広告車あり
車椅子対応可
LED方向幕
車椅子対応可

※セミクロスシート車



かつては、この風光明媚な景色を活かして、トロッコ列車が運行されていました。
相互リンクをして頂いている、しなの7号様のブログに、写真付きで紹介されています。
昭和の鉄道員ブログ【32】 鉄道あちこち訪問記2:国鉄越美南線(現長良川鉄道)後篇



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(※)平成26年(2014年)12月に引退し、廃車解体されている。

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2015年11月23日再編集
2015年12月23日加筆
2016年6月10日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 長良川鉄道 全22話

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