hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【33】大正ロマンと日本一の田園風景を訪ねて・・・明知鉄道編(14)阿木駅 後半の部  


駅の待合室に、入ってみよう。
8畳位のやや広いスペースがあり、壁側に沿って、木製ベンチが置いてある。
長座布団は、駅近くの阿木高校の家庭クラブの生徒達が、手作りで作ったものだそうで、
30年前から毎年寄進している伝統的な活動との事。
また、生徒会が中心となって、駅の清掃活動に取り組んでいるそうで、小奇麗な印象がある。

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(古い背もたれ付きベンチに並ぶ平ベンチも、彼らの手作りの様だ。)

残念ながら、出札口や小荷物窓口は、ベニア板で覆われていて、面影は無くなっている。
しかし、民家風の杉板天井と吊り下げの蛍光灯、背丈より高い大きなガラスの吊り引き戸があり、
昭和の雰囲気が十分に残っている。

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(杉目の美しい天井は高く、民家風の駅舎になっている。)

駅前に出てみよう。
駅舎は、木造モルタル平屋建てになっており、明智駅を半分にした様な感じである。
駅前は広いが、商店は無く、目の前は山になっており、疎らな農村の中にある感じだ。

国鉄明知線は、岩村電気軌道が阿木川に沿った最短経路で大井駅(現・恵那駅)と岩村駅を
結んでいた為か、当時の阿木村であったこの阿木駅を経由しており、
あえて、急勾配の飯沼谷を通る東寄りの険しいルートになっている。
しかし、この阿木の村人達の鉄道開通時の喜びは大きく、開通式では昼に花火を上げ、
花火の中の落下傘を皆で取り合い、小学生が全員参加の村芝居も行われたそうだ。

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次の列車まで時間があるので、明智方に見える鉄橋まで行ってみよう。
この阿木は、恵那山系の山々に囲まれており、大変水利が良い土地柄である事から、
稲作の他、シクラメン栽培、トマト栽培や、最近では、蕎麦の栽培が盛んな農村地帯である。
特に、蕎麦は岐阜県内2位の出荷量(2009年)があり、安岐蕎麦としてキャンペーンも
行っているそうだ。古来からは、林業、製材業や醸造業も盛んだ。
また、阿木地区には、30ヶ所以上の古墳があるそうで、縄文の頃から人々が暮らしていたとの事。




(グーグルマップストリートビュー 阿木駅駅前から)

町の中心地は、駅から南東に少し歩いた、学校と国道がある付近になっており、
やや町の外れに駅がある感じになっている。
町の中心部に向かって、町道を歩いて行くと、昔懐かしい小さなよろず屋がある。
そう言えば、昼食をまだ摂って無かったので、パンふたつと飲料を手配しよう。

また、阿木駅の東側の山中に、16世紀末頃に築城されたらしい阿木城跡がある。
遠山家の十八城のひとつだそうで、本城の岩村城を守る出城的な城であるが、
規模も大きなものだったそうだ。今も、本曲輪等が良く残っている。
天正2年(1574年)に、甲斐の武田勝頼の軍勢に攻められて落城し、そのまま廃城している。

「よしまるや」と言うよろず屋の角を右に曲がり、坂を下って行くと・・・
車一台分の幅のコンクリート製道路橋と並行して、鉄橋が架橋されているのが見える。
デッキガーター式4スパンの阿木川橋梁は、昭和9年(1934年)の延伸開通時のものであろう。
マピオン電子地図 阿木川橋梁

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(阿木川と言う川で、年配男性がのんびりと釣りをしているのが見える。)

16時16分頃に、下り明智行きの列車が通過するので、これを撮影しよう。
暫く待っていると・・・阿木駅を発車する警笛とディーゼルエンジンの音が聞こえ、
助走を付ける様に鉄橋を渡ると、登り急勾配を登って行く。

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(阿木川橋梁を渡る明智行き15D列車。)

そろそろ、駅に戻る事にしよう。
待合室には、阿木の地名由来の手作り案内板が掲げられている。
地元の神社の伝説によると、ある神様がお子をお生みになり、
近くの野原で静養した際に、「まことに安心して休める気楽な所である」と喜び、
この地を「安気(あんき)」と名づけたそうで、これが転じて、「安岐(あき)」、「安木」、
そして「阿木(あぎ)」となったそうだ。実際、のんびりとした良い所で、その通りだと感じる。
なお、現存する一番古い書物では、「安岐」の文字が使われているのが、確認出来るそうだ。

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ホームの木製ベンチに腰掛けて、パンと缶コーヒーを飲みながら、田んぼを眺める。
誰もおらず、聞こえるのは、カエルの鳴き声と鳥のさえずり、
遠くの田んぼから聞こえる耕耘機の音・・・贅沢なひとときだ。
向こうの線路を見ると、レールの側に、名も知れない小さな花がいっぱい咲いている。
錆びた線路と相まって、ほのぼのとした感じになる。

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16時35分になると、上り恵那行きの列車が、先程の鉄橋を渡って来る。
この阿木とも、お別れになる。陽が傾き始めた中を、列車が発車する。

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2016年1月23日再編集
2016年5月31日再編集(文体変更・画像整理)

【参考資料】
中津川市 公式HP 阿木事務所

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category: 明知鉄道 全16話

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