hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【年末年始特番2017】知多蔵めぐりの旅(6・最終話)武豊観光[その2]十文字の転車台とJR武豊駅。  




南蔵【カメラマーカー】の南にある、ポケットパークで折り返し、大通りに戻ろう。
この大通り沿いにも、醸造所が幾つかある。

大通りのカーブの内側付近には、丸又商店【黄色マーカー】と言う、大きな醸造所がある。
江戸時代後期の文政12年(1829年)創業だそうで、この武豊で最も古い醸造所とのこと。
70本の杉桶を使い、たまり醤油づくりをメインにしており、
オーガニック認証のたまりも造っているそうだ。

ちなみに、普通の醤油とたまり醤油の違いは・・・
醤油は、同量の大豆と小麦に麦麹(こうじ)と塩水を加えて、もろみを造り、一年程熟成させる。
たまりは、大豆と塩水のみで、味噌玉(製麹)と呼ばれる麹を使用して二〜三年間長期熟成をし、
丸みを帯びた味とコクに仕上げているそうだ。小麦を使わないのも、大きな特徴になっている。
加える塩水の割合も、たまりは原料に対して40〜50%程度と少ないので、
杉桶の中は、味噌のように半固形状になっているそうだ。
また、味噌も中京特産の赤い色をした豆味噌(赤味噌)で、東海地区は夏が暑いため、
伝統的製法の味噌玉を使い、過発酵を抑えてあるのが特徴になっている。

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(丸又商店。)
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(ブリキの商標看板。)

丸又の醸造蔵に挟まれた一角には、津島神社が祀られている。
この醸造所地区では、津島神社が広く信仰されている様で、他の場所にも、小さな社が見られる。
津島神社は、地元愛知県西部の津島市にある織田家や豊臣家が氏神にした古社で、
主祭神は建速須佐之男命(スサノオノミコト)、特に厄除けが有名だそうだ。
津島神社公式HP

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(丸又の醸造蔵の路地を北から眺める。向こう側が、大通りになる。)
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(醸造蔵の路地にある津島神社。)

丸又商店から大通りに戻ろう。
大通りからの緩やかな坂を下ると、国道247号線と交差している里見交差点に出る。
ここは、武豊港駅前であった場所で、当時は大変栄えていたそうだ。
交差点北側に大きな旧家があり、古いレンガ建物が建っているのが目を引く。

山田屋と言う屋号のこの大屋敷は、今は一般の民家になっているが、廃業した醸造所だそうだ。
非常に広い間口の家構えで、敷地奥に醸造蔵も沢山ある。
また、交差点角のレンガ建物の屋根の天辺には、なんと、立膝の羅漢像が据え付けられている。
知多半島西部の常滑焼(とこなめやき)の日本美術展覧会での実力作家が制作したそうだが、
据え付けられた由来は不明とのこと。

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(里見交差点角の山田屋。)
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(山田屋の敷地奥の醸造蔵群。)

山田屋の交差点斜め向かいには、旧国鉄武豊線・武豊港停車場跡【線路マーカー】があり、
記念公園として整備され、転車台と記念碑がある。
残念ながら、転車台は改修工事中で、見学が不可能であった。

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(円形木板張り井桁状転車台。※工事中のため、現地の観光案内板を撮影。)

明治19年(1886年)、東海道線を建設する資材の 運搬のため、
当時の天然の良港であった武豊港に接続する、愛知県で最初の鉄道として武豊線が開通した。
鉄道建設後も、武豊港の物資輸送を担い、当時はここが終点だったそうだ。
この転車台は、昭和2年(1927年)製の「円形木板張り井桁状転車台」と言われる直線二線式の
珍しいもので、周辺工場に転送する貨車の向きを効率良く変えるために使っていたそうだ。
この二線式が国内に現存するはここだけで、国の登録有形文化財になっている。

なお、武豊港停車場は元・武豊駅して開業し、明治25年(1892年)に現在の武豊駅に移転後、
新しい武豊駅構内の貨物支線として使われ、工場引き込み線も延びていた。
後の昭和5年(1930年)に武豊港駅(貨物駅)として復活し、
昭和35年(1965年)に廃止されている。
武豊の味噌やたまり醤油も、この武豊線や武豊港から、全国に出荷されていたのだろう。



そろそろ、名古屋鉄道の知多武豊駅に戻るとしよう。
途中にあるJR武富駅は、戦後に改築された昭和風プレハブ駅舎と単式ホームだけの駅であり、
さしたる特徴はないが、駅前ロータリーに立派な顕彰像が建てられている。

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(南側フェンスからのJR武豊駅。広い構内は、貨物側線があった名残だろう。)

この胸像の由来は・・・
昭和28年(1953年)9月25日、台風13号の高潮により、
隣駅の東成岩駅とこの武豊駅間にある塩田付近の線路が崩壊してしまった。
国鉄武豊駅員であった高橋熙(ひろし)氏は、東成岩駅を発車した列車を停止させるため、
発煙筒を打ち振りながら暴風雨の中に飛び出したそうだ。
そのおかげで、列車や乗客は事なきを得たが、高橋氏は高潮にのまれてしまい、殉職してしまった。
翌年、その行動と功績を讃え、全国の国鉄職員と小中学生の寄付で、この胸像を建立したそうだ。

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(高橋熙顕彰像。)

また、この武豊は、浦島太郎伝説の発祥の地と言われている。
竜宮城への入口があったと言われる竜宮、浦之嶋、浦島川などの地名や亀の墓があり、
近くの知里付神社(ちりふ-)に、あの玉手箱が献納されているそうだ。



時刻は14時を過ぎている。武豊に到着から、二時間程過ぎた所だ。
少し早いが、今日はここまでにして、豊橋駅に戻るとしよう。
知多武豊駅から急行新鷺沼行き(しんさぎぬま-)に乗車し、本線経由で豊橋駅へと思ったが、
時間の余裕があるので、明日訪問予定の名鉄蒲郡線(がまごおりせん)の事前ロケをしながら、
帰ることにする。
名古屋鉄道本線の新安城駅で下車し、西尾線吉良吉田経由で蒲郡駅へ向かうと、
夕刻迫る美しい海も車窓から見え、明日は大いに期待できそうだ。

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(名鉄蒲郡線こどもの国駅から西浦駅間の三河湾。対岸は、西浦温泉郷。)

蒲郡駅からJR東海道線に乗り換え、豊橋駅へ到着である。
お世話になった名鉄の出札口に立ち寄りと、朝の出札係氏がおり、
「半田と武豊に行きました。良かったですよ、ありがとうございます。」とお礼を伝えると、
「また、遊びに来てください。」と笑顔で見送ってくれた。

また、豊橋駅と言ったら・・・あの駅弁があるので、夕食用に手配をしよう。
壺屋弁当部の「稲荷寿し」(税込520円)である。
実は、朝出発前、コンコース売店の中年女性店員に、取り置きをお願いしておいた。

元々、この壺屋は明治21年(1888年)創業の料理旅館で、翌年から構内営業を始め、
明治末期には、この稲荷寿しの販売を始めており、東海道線の名物駅弁のひとつになっている。
地元の豊川稲荷に由来し、初代社長が熱心な信者だった事が、発売のきっかけだったそうだ。
調製所名に「弁当店」ではなく、「弁当部」であるのも、旅館由来である為だろう。

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「只の稲荷寿司ではないか?」と思ったら、大層な違いがある逸品になっており、
スーパーなどで売られているものとは、全く違う味がするのである。

壺屋の稲荷寿しは、地元三河の醤油に白ザラメをたっぷり加えて、油揚げをじっくりと煮込み、
非常にこってりとした甘い味付けであるのが特徴になっている。
稲荷七つと紅生姜だけのシンプルな内容だが、食べると不思議に満足感が高い。
また、豊橋周辺の駅うどん店も経営しており、その味のファンも多いとの事。
掛け紙に描かれている豊川稲荷もレトロで、今度参拝したいものだ。

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(おわり)



掛川(泊)

豊橋0815 名古屋本線上り93列車・特急名鉄岐阜行き・1166号特別車
0902
神宮前0918 河和線下り296列車・特急内海行き・6両編成1362号転換クロス車
0941
知多半田1141 河和線下り316列車・特急内海行き・5406号 ★半田観光★
1149
富貴1156 河和線上り7157C列車・普通金山行き・3354号
1159
知多武豊1416 河和線上り1473A列車・急行新鵜沼行き・4両編成3256号 ★武豊観光★
1451
神宮前1454 名古屋本線下り146列車・快特豊橋行き・6両編成1066号特別車
1508
知立1511 名古屋本線下り1412列車・急行豊橋行き・4両編成3566号
1515
新安城1522 西尾線下り1444列車・急行吉良吉田行き・4両編成3558号
1555
吉良吉田1601 蒲郡線下り1660列車・普通蒲郡行き・2両編成6209号
1631
蒲郡1644 JR東海道線上り2534F・快速豊橋行き・モハ313-5004クロスシート車
1701
豊橋

掛川(泊)

※列車編成数は記録分のみ。



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【参考資料】
現地観光案内板・解説板
武豊町観光ガイドマップ「再発見武豊」(武豊町観光協会発行)
知多半島ぶらぐる散歩(知多半島観光圏協議会・名古屋鉄道発行)
武豊町観光協会公式HP
丸又商店公式HP
壺屋弁当部公式HP

山田屋の業種や銅像について、武豊町観光協会にご教授頂きました。厚く、御礼申し上げます。

上信電鉄編の連載終了後に記事番号を付与します。

【取材日】平成28年(2016年)2月10日(水曜日)
【カメラ】PENTAX MX-1

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category: 三河知多蔵めぐり 全6話

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