hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【年末年始特番2017】知多蔵めぐりの旅(5)武豊観光[その1]黒板塀の味噌蔵。  


二時間程の半田観光の後は、もうひとつの蔵の町である、武豊町(たけとよ-)に行ってみよう。
名鉄知多半田駅から四駅先の知多武豊駅が最寄りで、特急も停車する。
なお、知多武豊駅手前の駅に、珍名駅の上ゲ駅(あげ-)があり、「ゲ」の送り仮名も珍しい。

11時41分発の下り内海行き特急に乗車したが、うっかり、一駅乗り過ごしてしまった。
河和線(こうわ-)河和方面と知多新線内海方面が分岐する、富貴駅(ふき-)で下車をする。
対向式ホーム二面二線の小さな分岐駅であるが、昭和の名鉄らしい駅舎が残っているので、
見学を兼ねて、良しとしよう。
なお、知多新線は知多半島南西部の新線で、昭和49年(1974年)以降に河和線から分岐し、
順次開業した単線電化路線である。

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(富貴駅。昭和7年開業の有人駅である。)



気を取り直して、上り普通列車に乗車し、富貴駅から知多武豊駅に11時59分に到着する。
富貴駅と同じ対向式ホーム二面二線と昭和風名鉄駅舎の地上駅になっており、
駅前の小さなロータリーにタクシーが1〜2台停まっていて、のどかな雰囲気である。

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(知多武豊駅。)

丁度、昼なので、昼食を取りたいと思うが・・・
駅前のファミリーマートの向かいに、愛嬌のあるイラストの小屋【食事マーカー】が目に留まる。
たこ焼きなどを売る軽食スタンドらしく、地元住民も頻繁に立ち寄っている。

ちょと、立ち寄ってみよう。「看板のパンダ焼きとはなんだろう?」と思ったが、
パンダの焼き型を使った大判焼き(今川焼き)のことらしい。
しかし、店頭のメニュー表に書かれていないので、今はやっていない様子だ。
このパンタ焼きは全国各地にあるらしいが、東京では、上野公園の桜木亭が有名だ。
日中国交正常化で、ランラン・カンカンが贈呈されたのがきっかけであろうから、
このパンダ焼きも同じ昭和のおやつだろう。

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(知多武豊駅近くのたこ焼き屋。)

向かいのコンビニや食堂よりも、面白そうなので、昼食はここに決めた。
早速、看板商品のたこ焼き(税込300円)とデラックスやきそば(税込340円)を注文する。

隣は、廃業した地元スーパーらしく、そのテナントだったので、通りに背を向けている様だ。
店先の椅子を借りて、店横で食べさせて貰おう。
たこ焼きは、中はトロッと柔らかで、タコの具や味もしっかりしている。
デラックス焼きそばは、肉、イカと目玉焼きが入り、パンチが効いた少し辛口な屋台の味付けで、
どちらも量が多く、安くて良心的である。
他に団子やお好み焼き、モダン焼き、ねぎ焼きもあり、注文に応じて作ってくれる。
お好み焼きと焼きそばは、肉玉、イカ玉、両方入りのデラックスが選べる。

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(たこ焼きとデラックスやきそば。)

大将に店名を尋ねると、よっちゃん三代目との事。
旅のブログで紹介しても良いかと聞くと、「ぜひ頼むよ!」と快諾して貰えた。
武豊訪問時には、是非、立ち寄りたい地元B級グルメスポットだ。

【たこ焼き・よっちゃん三代目】
定休日不明、営業時間不明。駐車場はないが、店頭に1台分スペースあり。
名古屋鉄道河和線知多武豊駅前、ファミリマート向かいの旧ハイ・マート武豊店横。
グーグルマップ・よっちゃん三代目



さて、満腹となった所で、武豊の町を散策してみよう。
天気は大丈夫であるが、雲が多く出てきて、晴れたり、曇ったりしている。

この武豊も知多半島東側の港町で、温暖な気候から、半田と同様に醸造業が盛んである。
同じ醸造業と言っても、半田が酢づくり、武豊はたまり醤油と味噌づくりが盛んな感じだ。
蔵のある場所は、駅から少し離れた港付近なので、歩いて行こう。

名鉄の踏切を渡り、みゆき通りを東に歩いて行くと、古い昭和の商店が連なっている。
途中の手作りパン屋兼カフェの隣に観光協会の案内所【iマーカー】があるので、
観光ガイドマップを貰っておこう。

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(みゆき通り。閉店している店が多く、とても静かだ。)

途中にJR武豊線の終点である、武豊駅【電車マーカー】がある。
その近くから、南の方に歩いて行くが、道路の右側に長細い空き地がずっと並行している。
昔、武豊駅から港へ1km程延びていた、線路の跡だそうだ。

JR武豊駅近くの曲がり角から、600m南に歩くと、小高い場所に住宅が集まっていて、
武豊の醤油・味噌蔵が集まっている大足・里中地区に入る。
「蔵の小径」と言う小さなプレートが埋め込まれている、南側の路地に入ってみよう。

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(大足・里中地区の路地「蔵の小径」入口。)

路地の中に入って行くと・・・住宅地の中に黒板塀(※)の見事な大蔵があり、とても驚く。
武豊は良質な水と温暖な気候により、古くから味噌やたまり醤油造りが盛んで、
戦前の最盛期には約五十軒もの醸造所があったが、今は七軒の醸造所だけになり、
うち五軒が伝統的製法を守っているそうだ。
蔵の周りには、濃厚な味噌・醤油の香りが漂い、その雰囲気が一層強調されている。

巨大な黒い大蔵に圧倒される、伊藤商店「蔵元・傳右衛門(でんえもん)」【赤色マーカー】は、
江戸時代後期の文政年間に創業し、250年の歴史があるそうだ。
吉野家と言う屋号の造り酒屋だったそうで、その技術を活かし、味噌づくりをしている。
発酵に使う醪(もろみ)は、200年以上受け継がれていて、改良されているとのこと。

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(伊藤商店の大蔵。屋根も壁も真っ黒で、迫力があり、青空も反射する程だ。)
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(伊藤商店の長い熟成蔵。まるで、壁である。)

伊藤商店より南に下った場所にある、南蔵(みなみぐら)【カメラマーカー】と言う醸造所は、
この付近でも、昔の雰囲気を良く残し、観光パンフレッや旅のテレビ番組でも紹介されている。
この細い路地を通り抜けるだけでも、この武豊に来た甲斐があると実感できる。

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(南蔵の看板と路地入口。)
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(南蔵の路地。両側に醸造蔵や作業場が並ぶ。)

濃厚な味噌の香りが、辺りに充満している。
工場を覗くと・・・大きな杉桶が並び、三角巾頭の女性従業員が機械を使って、作業をしている。
南蔵の味噌は、国産大豆100%に自然海塩のみで、ふた夏三年間熟成し、保存料は一切使わないとの事。
なお、伝統的製法を守るため、一般観光客の蔵見学は行っていないそうだ。

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(南蔵の醸造蔵。通りからも、男性の背丈程の杉桶が見える。なお、桶なので、蓋は無い。)

蔵前で、トラックに積み込みをしている年配の男性従業員に会ったので、挨拶をする。
「いつ頃から、造っているのですか?」と尋ねると、「壁の木札を見てごらん。」と指差す先に
古めかしい木製の商標看板が掲げられており、明治5年(1872年)創業とのことだ。

青木弥右ヱ門(やえもん)は初代当主だそうで、農家の出身であったが、
明治維新の自由な空気に触発され、味噌やたまり醤油の生産を始めたそうだ。
江戸時代以前から、この地域では酒づくりが盛んであったが、神戸の灘酒に押されて廃れてしまい、
不要となった醸造設備を味噌づくりに転換したのが、始まりだったとのこと。
また、大豆が満州から直輸入される様になったのも、後押しとなった。

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(南蔵の商標木札。弥右ヱ門の名は襲名されており、五代目になるそうだ。)

路地を抜けると、道も開けて明るくなり、小さな休憩公園(山起ポケットパーク)がある。
丁度、ここが、蔵の小径コースの折り返し地点になっている。

工場の傍らには、大きな平石が積み上げられているが、これは杉桶に使う重り石らしい。
杉樽に大豆を仕込んだ後、板を敷き詰めた上に積み上げる。
なお、ひと桶の原材料6トンに対し、南蔵では、1〜2トン載せるそうだ(岡崎の八丁味噌は約3トン)。
桶の数は90本程あり、うち35本程が味噌仕込み、残りは、たまり醤油仕込みとのこと。
南像の三年熟成豆味噌「里の味」は、1kg1,400円もする最高級品になっている。

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(杉桶の重り石。)

武豊の醸造所で作られている味噌は、豆味噌や赤味噌と言われる三河の特産品で、
大豆と塩を原料に二〜三年かけて長期自然熟成される。
また、豆味噌からたまり醤油が出来、濃厚な旨味と独特な香りが特徴で、
刺身、煮魚の他、鰻タレや煎餅タレにも使われている。
最近は、海外にも輸出される程の高級ブランド品になっているそうだ。

(つづく)



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(※黒板塀)
この地域の蔵の黒壁は塀ではないが、黒板塀と言う。
魚油や油煤を染み込ませた、防腐処理をした縦長の羽目板を、壁面下部に張り付けた黒壁のこと。
羽目板の無い黒壁の蔵もあるが、外観は似ているので、一概に黒板塀と言われているらしい。

【参考資料】
現地観光案内板・解説板
武豊町観光ガイドマップ「再発見武豊」(武豊町観光協会発行・2014年)
知多半島ぶらぐる散歩(知多半島観光圏協議会・名古屋鉄道発行)
武豊町観光協会公式HP
伊藤商店・蔵元傳右衛門公式HP
南蔵公式HP

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category: 三河知多蔵めぐり 全6話

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