hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【290】スカーレットトレインでワイキキへ・・・名古屋鉄道蒲郡線(7)東幡豆駅周辺散策 東浜・妙善寺  




この東幡豆駅(ひがしはず-)の周辺を、少し散策してみよう。
吉良吉田方にある踏切を渡り、小さな坂を少し下ると、直ぐに海が見えてくる。
そのまま、真っ直ぐ行くと・・・東幡豆漁港【錨マーカー】がある。

IMGP1513_2016122608210040f.jpg
(東幡豆港。西側には、砕石の積出桟橋がある。)

三河湾中央部北岸にある東幡豆は、東西を低山が海に迫り出した小半島の奥にある小さな湾で、
古くからの天然の良港になっている。
幡豆の地名は、他の土地の者には難しい読みであるが、
船の停泊地である意味の「泊(はく)」から、転じたとの説があり、
奈良時代の書物にも見られる古い地名になっているそうだ。
なお、平成23年(2011年)4月に、この幡豆町は、西尾市と市町村合併している。

また、東幡豆の背後にある愛宕山(標高280m)は、幡豆石と言われる良質な花崗岩を産し、
幾つかの石切り場がある、中部最大の砕石地になっているそうだ。
この東幡豆港は、漁港であるが、この砕石の搬出港にもなっている。
なお、幡豆石は、江戸時代から採掘され、名古屋城の城壁や平成の掛川城再建にも使われた。
硬く、粘りが強いので、石切り場を「石割り場」と言われる程であり、
表面の摩擦係数も高い事から、施工後はズレにくく、石垣や河川等の石材に適しているそうだ。

海岸に出る手前の交差点角には、漁師食堂である「魚直」【食事マーカー】がある。
創業40年を越える老舗で、三河湾で捕れた新鮮な魚介料理を楽しめるとの事。
ここで、昼食にしようと思ったが、開店前であるのが残念だ。
潮干狩りシーズンならば、あのアサリの味噌焼き定食が、食べられるらしい(6月頃まで)。

IMGP1885_201612260821192ec.jpg
(港前の交差点角の魚直食堂。向こうに、蒲郡線の踏切がある。夕方に撮影。)

魚直のある交差点を左に曲がると、沖は堤防で整備されているが、
美しい白い砂浜海岸【波マーカー】が残っている。

IMGP1509_20161226082058546.jpg
(東浜。砂浜からは、うさぎ島だった前島が見える。)

穏やかな波打ち際に、沢山の鳥が羽を休めているのが、微笑ましい。
遠くシベリアから渡ってくる鴨の仲間だそうで、国内最大級の越冬地になっている。
砂浜の近くには、大きな古民宿もあり、歌謡曲を長閑に流しているのも、昭和の風景だ。

IMGP1520_20161226082103ffe.jpg
(鴨の仲間であるホシハジロが羽を休めている。幡豆の冬海の風物詩になっている。)
IMGP1517_20161226082101067.jpg
(東浜全景と民宿。管理された砂浜であるが、幅170mある。)

ここは、東浜とも言い、中央に見事な黒松の大木が何本も生えている場所があり、
その奥に、「かぼちゃ寺」として有名な妙善寺(みょうぜんじ)【万字マーカー】がある。
脳卒中や脳出血の後遺症である中風除けや、生活習慣病予防の寺として、有名だそうだ。

IMGP1523.jpg
(妙善寺と大黒松。寺の前は、参拝駐車場になっている。)

浄土宗西山深草派の寺院で、山号は性海山宝樹院と言い、
奈良時代の高僧行基(ぎょうき)の天台宗での開基と言われ、1,300年の歴史がある。
隆盛荒廃を繰り返した後、江戸時代の半ば頃に、現在の寺名になったそうだ。
阿弥陀如来が本尊であるが、十一面観世音菩薩も安置された「ハズ観音」として親しまれており、
西浦のガン封じ寺無量寺と並び、蒲郡線沿線の名刹になっている。
妙善寺ハズ観音公式HP

IMGP1529_20161226082106bd2.jpg
(山門。黒松に巡らせてある赤い太縄は、大数珠である。)

山門を潜り、境内に入ってみよう。
門前が大きい割には、境内は小さ目で、参道も短い。
また、毎年の冬至の日には、全国から寄進された南瓜を観音様に祈祷奉納した後、
南瓜しるこの大接待が行われ、大変賑わうそうだ。

IMGP1532_20161226082107d7b.jpg
(本堂。境内は意外と狭い。本堂は、海の方向を向き、振り返ると海が見える。)
IMGP1536.jpg
(本堂横に、石の南瓜をくり抜いた仏と、南瓜の蓮台に乗った観音像が面白い。)
IMGP1539_2016122608211028a.jpg
(三十三観音堂。観音様は、三十三の化身を持ち、民衆の悩みを救済すると言われている。)

ここは、南瓜伝来の地とも言われており、
これ程の南瓜だらけである縁は、寺伝にも伝わっているそうだ。
夏の終わりのある夜、寺の和尚の枕元に観音様が立ち、
「授けたい福徳がある。明日の朝、浜辺に出てみると良い。」とお告げがあり、
浜に出てみると・・・無数の南瓜が、プカプカと流れ着いたそうな。
それを拾い上げて、観音様にお供えした後、瓜に似ているこの南瓜を煮てみた所、
あまりもの美味に感動したそうで、月に一度、村人達に振る舞ったのが由縁との事。
なお、南瓜が流れ着いたのが、この寺の前の浜であるそうだ。

IMGP1544_20161226082112893.jpg
(山門横。この寺も、三河お遍路の巡礼寺になっている。)

【妙善寺・ハズ観音】
年中無休、朝9時から夕方まで、参拝無料、個人祈祷3,000円から、無料駐車場あり。



駅の北を通る旧国道に行ってみると、郵便局や店が少し並んでいる。
三叉路横の急な石段の高台に、わんかし塚【祈りマーカー】がある。
弘法大師作と言われる石造りの観音像が、堂内に安置され、古墳の頂上部だった場所だそうだ。
地元では、塚越観音とも言われており、飛鳥時代の大化(645年)頃まで、此処に隠れ住んだ人が、
不思議や西国一の札所である熊野那智山の滝壺へ越える事から、「塚越し」と言われたのが由来との事。

IMGP1548_20161226082113752.jpg
(塚越観音。数mも高く、とても狭い。堂には、正観音の扁額が掲げられている。)

わんかし塚の由来は・・・
小見行村(こげんぎょう-/現・東幡豆の一部)と言う村に、八兵衛と言う鍛冶屋がおり、
働き者であったが、根っからのお人好しでいつも貧乏暮らしであった。
息子の結婚式にも、客膳を揃える事が出来なく、困っていた所、
この観音様に「膳を貸してくだされ。」と願を掛けると、
「手を叩いた数だけの膳と椀を貸すが、1日だけじゃ。」と言われ、借りる事が出来たそうな。
その後、村の人々は、事ある毎に、この観音様に膳と椀を借りに来たが、
大助と言う大酒飲みが、酔って1日限りの約束を破ったので、
二度と借りる事が出来なかったそうである。
どうやら、全国に幾つかある、池や洞穴等の貸椀伝説と同じ様である。



わんかし塚から、そろそろ、東幡豆駅に戻ろう。

IMGP1554.jpg
(駅前通り。)

駅の桜の大木【茶色マーカー】の前にある、
えびせんべい専門店の中新本舗【赤色マーカー】に寄ってみる。
蒲郡線沿線の町には、えびせんべい専門店が各町に必ずある程、ポピュラーである。
カラカラ・・・と、戸を開けると、女将が、「いらっしゃい」と出迎えてくれた。

東幡豆駅が開業した昭和11年(1936年)から、営業しているとの事。
えびせんと言えども、何種類も販売しており、お勧めの上小花(税込324円)を購入する。
地元三河湾の新鮮な赤車海老(あかしゃえび)を使い、一枚毎、丁寧に焼き上げたそうだ。
他にも、タコやイカの姿焼き、抹茶掛けやわかめ入りの変わり種、贈答用も豊富に置いてある。

IMGP1572_201612260821165e1.jpg
(中新本舗。老舗のえびせん専門店で、幡豆の土産に最適だ。)

駅の待合室で、少し食べてみると・・・サクサクと海老の香ばしい香りと旨味がしっかりとし、
塩っぱすぎず、素朴で日本的なやさしい味わいがする。
なお、赤車海老は、猿海老(地元三河では、ザルエビ)とも言い、
三河湾で良く捕れる体長10cm程度の車海老の仲間だそうだ。
塩茹で、唐揚げや天ぷらも、美味しいらしい。

IMGP1577_20161226082118c6b.jpg
(店により、味も違うとの事。食べ比べも面白い。)

明治の中頃、地元幡豆の蒲鉾屋が、豊富に獲れるこの海老を加工したのが始まりで、
三河湾沿岸の代表的な水産加工品になっている。
原料は海老と片栗粉等のみの自然食品であり、この赤車海老を使うのが、一番美味しいとの事。
なお、愛知県は、えびせんべい生産量日本一だそうだ。

【えびせんべい処・中新本舗】
月曜日定休、朝8時から夜19時まで、専用駐車場なし(駅前に駐車スペースあり)。



にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ

【参考資料】
現地観光案内板
名鉄西尾・蒲郡線沿線おすすめマップ(市民まるごと赤い電車応援団・2014年)
はず夢ウォーク海・山・民話にであうみち
(西尾市教育委員会事務局生涯学習課、幡豆公民館・2014年)
「幡豆町へようこそ」(旧幡豆町産業推進課委託映像・鈴木一夫制作・制作年不明)
妙善寺ハズ観音公式HP
やまろいネット幡豆公式HP
国立研究開発法人 水産研究・教育機構・中央水産研究所公式HP

2016年12月26日再編集(画像入れ替え高解像化・校正)

© hmd All Rights Reserved.
記事や画像の転載、複製、商用利用等は固くお断り致します。

category: 名古屋鉄道蒲郡線 全10話

thread: 鉄道の旅 - janre: 旅行

tb: --   cm: --