hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【283】一富士、二煙突、三かぐや・・・岳南電車(13・最終回)吉原本町駅周辺散策&富士宮へ。  




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(駅出入り口には、ユニークな似顔絵入り商店街観光案内板がある。)

少しばかり、吉原本町駅周辺を散策してみよう。
東海道が整備された当初の吉原宿は、現在の鈴川町こと、
東海道本線沿いの毘沙門天で親しまれている、妙法寺の通りにあった。

この吉原本町は、江戸時代の地震による大津波の後に移転した、新しい吉原宿である。
実は、2回目の移転地であり、1回目の移転地は、現在のジヤトコ駅南の富士警察署付近にあり、
中吉原宿と言われていた。
後年の台風の水害により、水没してしまった為、水没しなかった小高い現在地に再移転しており、
かつては、新吉原とも言われていたそうだ。

また、吉原という地名は、富士山南麓に広がっていた、浮島ヶ原(現・須津湖周辺)が由来である。
湿原に育っていた葦「アシ」から、葦原(あしわら)と名付けられたが、
「悪し」に通じるので、ヨシ(良し)と転じたとの事。
この周辺も、富士川の大氾濫原であったが、江戸時代の治水事業による瀬替え(流路変更)により、
居住や農耕が可能な広い加島平野が整備され、発展したそうだ。
その為、町の歴史的には、江戸時代以降に発達した新しい町と言える。

駅の裏手には、青陽山陽徳寺と言う小寺があり、アスファルトで舗装された境内は、
道路の様になっているが、狭いながらも本堂と鐘楼もある。
江戸時代の頃、悪性の眼病が流行した時に願掛けをした所、
身代わりになった地蔵の目がヤニでただれ、眼病が治ったと伝わる、身代わり地蔵尊が有名だ。
以来、体の弱い子やおできの子が願掛けすると、たちまち治ったそうな。
夏の縁日には、屋台や灯籠が並び、秘蔵の大絵曼荼羅地獄絵図(おおえまんだら-)が、
公開されるので、閻魔大王由縁の寺でもあるらしい。

この地蔵の由縁は、駿東郡青野町(現・沼津市青野)の光命庵にあったそうだが、
ある夏の大洪水で浮島沼(現・須津湖周辺)に流され、それを吉原宿の人達がすくい上げ、
この陽徳寺の本尊となった。陽徳寺の開基時期は不明だが、臨済宗の禅寺になる。

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(隣の小堂には、閻魔大王像が鎮座しているらしいが、訪問時はなかった。)

地蔵尊の境内を通り抜けると、細い路地と吉原南踏切先に小さな八幡宮【鳥居マーカー】がある。
町内には、沢山の神社があるそうで、江戸時代から350年間続く吉原祇園祭も有名であり、
東海一の祇園「おてんのさん」とも言われ、計21台もの山車や屋台が曳き廻されるそうだ。
商店街に200軒以上の露店が出店し、20万人程の人出がある初夏の風物詩になっている。

八幡宮前の路地を抜け、大通りに出て、北に歩いて行くと・・・
長さ500mもある大きな吉原本町商店街【赤マーカー】がある。
他の地方の商店街と同様、半分はシャッターが降りている感じであるが、所々は営業している。
地元B級グルメの「富士つけナポリタン」の店も、この先の商店街の中にある。

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(吉原本町商店街名物のお店。富士山に関連した商品のみのギフトショップだそうだ。)

駅から反対側の岳南商店街を抜けた先の橋の袂には、平家越碑【名勝地マーカー】がある。
治承4年(1180年)10月20日の源平の富士川の戦いにおいて、源氏軍と平氏軍がここで対峙し、
夜半、飛び立つ水鳥の音を源氏軍の奇襲と勘違いした平氏軍が、不戦敗走したと言われる場所だ。
源頼朝の鎌倉幕府の成立にも、大きな影響を与えた戦であった。

現在の富士川よりも、東に位置するが、当時は治水がされていなかったので、
川は大きく蛇行し、支流や川沼も広がっていたそうだ。今は、水量の多い和田川が流れている。
なお、この石碑前のこの通りが、大津波後に迂回された旧・東海道である。

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(大きな石碑には、「平家越」と刻まれている。手前の東海道の石塔は道標であるが、
  「鈴川驛(現・吉原駅)」や「静岡市」と刻まれているので、明治後期頃のものと思われる。)

さて、吉原本町駅に戻ると・・・時刻は、15時を過ぎた所である。
初日の岳南線訪問は、路線キロが短い事もあり、ほぼ終えた感じであるので、
日没までどうしようかと考えるが、この富士市まで来たとなれば、あの場所にも行った方が良かろう。
また、焼きそば好きに外せない所といえば・・・そう、富士宮である。

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吉原本町1511 岳南線 上り吉原行 7000形(7002)単行
1521
吉原1530 JR東海道本線 下り島田行 453M クハ312-2326
1534
富士1539 JR身延線 下り西富士宮行 3559G クハ312-3003
1601
富士宮
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岳南吉原駅まで戻り、改札の女性駅員氏にお願いして、記念に1日フリー切符をそのまま貰う。
少し早い時間だが、岳南線の魅力を十分に楽しめて満足だ。

連絡跨線橋でJRのホームに直接行き、隣の富士駅から身延線に乗り換えて、富士宮駅まで行こう。
約4分で到着。手持ちの往復切符には、富士から富士宮間の往復分は入っていないので、
一度、富士駅の改札を途中下車して、切符を購入する。5分しかないので、少し急ぎだ。

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(3000番台は、313系のローカル線仕様になり、亜幹線の中央西線でも運用される。)

富士駅1番線から発車する、二両編成セミクロスシート車の313系3000番台・
西富士宮行きワンマン普通列車に乗車。
座席は満席、立ち席が若干ある混み具合で、富士宮までの利用客は多い様子だ。
少し斜陽になった町の中を、富士山に向かって走って行くと、20分程で富士宮駅に到着する。

富士宮は、かつては、大宮と言われた大きな門前町であり、
全国の浅間神社(せんげん-)の総本宮があるので、参拝もしよう。
神社は、駅から徒歩15分位離れており、車の多い大通りを西に歩く。
寺社の参拝時間は、一般的に16時頃までなので、少し急ぐ。

神社前に到着すると、岳南線沿線よりも大きく見える富士山と巨大な赤鳥居に驚く。
この神社は、「駿河国の一之宮」として、また、全国1,300社の浅間神社の総本宮として、
最高格式の官幣大社(かんぺいたいしゃ)のひとつとして列せられていた。
富士山と密接に関連し、言い伝えによると、第11代垂仁天皇(伝説上の天皇とも言われる)が、
紀元前27年に大噴火をした富士山を鎮める為、祀ったのが始まりとされている。
富士山本宮浅間大社公式HP

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(富士山の修験道と山岳信仰の歴史は、神仏習合が進んだ中世以降になると言われている。)
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(朱色に塗られ、随所に菊の御紋をあしらう、最高格の神社である。)

参拝後、大鳥居に面する通りに戻ると、向かい側に「お宮横丁」と言う小さな屋台村がある。
その入口横には、富士宮やきそば学会直営のアンテナ店がある。
町中には、富士宮焼きそばを提供している店が何十軒もあるが、
今回はスタンダードな公式店で食べてみよう。
時間があれば、有名店を梯子して、食べ比べをするのも通である。それも楽しい所だ。

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店の右側は厨房兼受け渡し所、左側が椅子付きのイートインコーナーなっており、
イートインは若い観光客で満席である。結構、流行っている感じだ。
外のテーブルでも食べられるので、注文札を貰い、出来上がりを待つとしよう。
10分程待つと、外のテーブルまで、持って来てくれた。

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(注文したのは、レギュラー税込450円。ラージ税込600円も選べる。)

注文を受けてから、ひとつずつ作るので、出来立てであるのが嬉しい。
麺は半透明の角細麺で、柔らか目だが、芯には腰があり、地場産の鰯削り節をトッピングしている。
ソースは静岡らしいかなりの甘口だが、後は引かず、スッと上品に切れるのが特徴だ。
ソース感は強くなく、かなりのマイルド系の焼きそばだが、とても美味しい。
富士宮やきそば学会公式HP

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富士宮1642 上り富士行 3570M クハ312-2331(ロングシート車)
1700
富士1713 下り浜松行 823M モハ210-5042
1748
静岡1831 下り浜松行 467M クハ210-5011 ※買い物の為。
1851
藤枝(泊)
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早足の参拝観光だが、浅間大社参拝と焼きそばが食べる事が出来たので、満足だ。
富士宮駅に戻り、静岡駅から数駅先の宿泊予定地である藤枝駅まで行こう。
途中の静岡駅で途中下車をして、電器量販店に立ち寄り、新しいSDカードと駅弁を手配する。

19時過ぎに投宿。焼きそばだけでは、流石に物足りないので、先に夕食にしよう。
今夜は、静岡駅の名物駅弁「特製鯛めし」(東海軒・税込850円)である。
明治30年(1897年)発売の古典的駅弁「元祖鯛飯」に、おかずをプラスしたデラックス版で、
巻き紙のイラストも中々豪華だ。
東海軒公式HP

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下に敷いてある桜飯(茶飯)は甘くなく、弾力のある締まった感じが、駅弁らしい特徴である。
上に敷き詰められた鯛そぼろは、甘さがかなり強く、
強い甘さの後に旨味がボリューム感を伴って、広がる感じが幸せである。
塩っぱ目の煮物で、桜飯とバランスを取り、キンメの切身も厚くて美味しい。
なお、小田原駅にも、有名な東華軒の鯛めしがあるので、食べ比べも面白いだろう。

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風呂に入り、明日に備えて、早めに休む事にしよう。
起床時間は、朝4時の予定である。

(終)



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【訪問日】2016年2月9日(本取材)・3月4日(追加取材)
【カメラ】PENTAX MX-1

【参考資料】
アイラブ岳鉄(鈴木達也著・静岡新聞社刊・2001年)

2016年7月21日再編集(画像一部追加)
2016年12月22日再編集(画像差し替え・校正・シリーズ全体の調整。)
2016年12月22日再編集(シリーズ全画像の横幅540ピクセル化と高解像化。)

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