hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【282】一富士、二煙突、三かぐや・・・岳南電車(12)吉原本町駅&ジヤトコ前駅。  


岳南原田駅から、岳南線の途中主要駅である、吉原本町駅に行ってみよう。
コンビナートの中から、単行の列車がやって来るのを見ると、後ろの紅白煙突の巨大さが良く判る。
岳南原田駅から数人を乗せると、直ぐに発車し、車内の乗客は10人位だ。

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(低倍率光学ズーム換算112mm相当で撮影。)

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岳南原田1410=======1414吉原本町
上り吉原行 7000形(7002)単行
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岳南原田駅西の踏切と田無川橋梁の間には、
線路沿いに桜並木があり、春シーズンの名所となっている。
途中の本吉原駅に停車し、半径240mの左カーブを曲がって鉄橋を渡ると、吉原本町駅である。
本吉原駅でも数人、吉原本町駅では大勢の乗客が乗って来て、約30人の乗客になる。
やはり、岳南原田駅から吉原駅寄りが、輸送密度が高いと感じる。

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(国鉄風ゴシック体の電光式駅名標は、韓国語の併記もあるので、新調された様だ。)

この吉原本町駅は、岳南鉄道(岳南電車)の開業年である、昭和24年(1949年)11月の開業で、
国鉄と接続する吉原駅(当時は鈴川駅)から、この駅までの開業であった。
起点の吉原駅から2.7km地点、所要時間約5分、所在地は富士市吉原、海抜4.3mになり、
岳南線で二番目に乗降客が多いので、夜間を除き、有人駅になっている。
先に、愛想の良い若い女性駅員氏に、1日フリー切符を見せ、撮影の許可を貰おう。

一面一線の単式ホームの為に列車交換は出来ず、半径180mの急カーブの途中にあり、
東京電力の大きなビルや民家の間に挟まれた、小さな駅になっている。
岳南江尾方は、柱の細い昭和風の木造旅客上家で、本来の開業当時のものであろう。
また、この駅では、吉原駅と同じ電鈴式の発車ベルが使われているのが、懐かしい。

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(改札側からのホーム。細い柱と梁の連結部が、複雑な組み方になっている。)
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(吉原方の旅客上屋は鉄骨造りの増設になる。訪問時、駅公衆トイレの設置工事を行っていた。)

岳南江尾方は、県道踏切に隣接し、和田川の青いデッキガーター鉄橋を渡る。
なお、隣の本吉原駅までは、300mしか離れていない。

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(岳南江尾方。)

なお、商店街を大回りして路地に入り、和田川橋梁の近くに行く事も出来る。
和田川は、粥ヶ淵と言う深い凹状の川になっていて、路地からの高低差は数mもあり、
今は水は留まってはいないが、豊富な水量が川底を流れている。
かつては、田子の浦港と結ぶ川湊がこの付近にあり、大変賑わっていたそうだ。
なお、この粥ヶ淵の由来は、江戸時代の天明の飢饉の際、近くに住む豪農が米蔵を開け、
不足分は私財を使って米を集め、飢饉に苦しんでいた村民に粥を振る舞った善行によるもので、
富士山の冷たい湧き水である川水は、魚等の保冷場としても使われていたとの事。

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(岳南線は、プレートガーター式の鉄橋が多い。この付近から、半径240mの右カーブになる。)
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(この付近は、住宅が多いが、線路の南側に小規模な工場もある。共に再取材時に撮影。)

吉原方は、住宅密集地域の中の急な二段カーブを、フランジ音を軋ませながら、曲がって行く。
こちら側には、古い踏切設備や朽ちた歓楽街の建物があり、穴場的な鉄道撮影スポットになっている。
この吉原南踏切の踏切板は、TKと大きく刻印された、珍しい鋼鉄製だ。

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(吉原方。)
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(駅舎横の古い吉原南踏切横には、昭和風の木造スナックがある。)
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(吉原方の依田原踏切横から、上り吉原行き列車が停車中。※再取材時撮影。)

細長いホームの北側の街道寄りに、駅舎と一体化したスロープと改札があり、
小さなパイプ製改札を抜けると、開放的な待合室に国鉄風のプラスチックベンチが並んでいる。
主要駅であるが、自動切符売り場は無く、昔ながらの出札口で硬券切符を出している。
比奈駅が無人化したので、岳南線の途中駅で硬券を日中に発券しているのは、この駅だけだ。

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(開業当時の駅舎と思われるが、傷みが激しいらしく、全面的に補修されている。)

踏切脇から見てみると、トタンで覆う様に全面補修されている外観や、
鰻の寝床の様に間口が大変狭いので、駅の感じがしない。
また、この吉原は、故・いかりや長介氏が小学校卒業後に戦時疎開した町であり、
駅横の踏切から岳南の電車を良く見ていたそうだ。
俳優・コメディアンとして有名だが、元々は、ミュージシャンであり、
地元製紙会社に勤める傍ら、吉原のダンスホールで音楽活動を始めたそうで、
今でも地元のファンが多いと言う。
地元商店街の中に、「長さん小路」と名付けられた路地もあり、その人気ぶりが判る。

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駅舎南側の一角には、9時30分から17時まで見学可・入場自由とした、
岳鉄資料館「まちの駅・ほんちょうえき岳鉄プラザ」が併設されている。
丁度、展示替えの時期らしく、展示は少なかったが、
鉄道貨物輸送時代の電気機関車の写真や、オリジナルグッズ等が多数展示されているので、
鉄道ファンは寄ってみたい所だ。

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ここで、本取材時に訪問できなかったジヤトコ前駅も紹介したいと思う。
起点駅の吉原駅と、この吉原本町駅の間にある(撮影は再訪問時)。

◆ジヤトコ前駅◆
昭和24年(1949年)11月開通時開業、起点の吉原駅から2.3km地点、所要時間約4分、
所在地は富士市伝法、海抜5.0m。吉原駅と吉原本町駅間にある単式ホーム一面一線の駅。
乗降客は、岳南線で一番少ない。

かつては、日産前駅と言われた日産富士工場の従業員専用駅であり、日中は通過していた。
平成17年(2005年)に、工場名変更の為にジヤトコ前駅に改称。
身延線入山瀬駅へ延伸する計画では、岳南西部線の分岐予定駅だったが、実現しなかった。
なお、ホーム西側には、列車交換設備用のスペースが残っており、
同社の社会貢献事業として、2-3年後には、芝桜の咲く駅にしようと整備している。

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(花壇のある場所が、列車交換設備跡。西部線構想の跡かもしれない。)



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【参考資料】
アイラブ岳鉄(鈴木達也著・静岡新聞社刊・2001年)

2016年12月22日再編集(画像差し替え・校正)

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category: 岳南電車 全13話

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