hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【276】一富士、二煙突、三かぐや・・・岳南電車(6)岳南富士岡駅  


列車最後尾から線路撮影をする為、一度、起点駅の吉原駅まで戻ってから、
折り返して、車両検修区のある岳南富士岡駅に行ってみよう。
昼前に雲が多くなってきたが、陽は差しているので、大丈夫そうだ。



++++++++++++++++++++++++++
岳南江尾1045 上り吉原行き 7000形(7002)単行
1106
吉原1120 (折り返し乗車・下り岳南江尾行)
1134
岳南富士岡
++++++++++++++++++++++++++

起点の吉原駅から10数人の乗客を乗せ、のんびりとした雰囲気の中、折り返して岳南江尾へ向かう。
途中駅で少しずつ乗客を下ろしながら、11時34分に岳南富士岡駅のホームに降り立つ。
自分を含めた三人がこの駅で下車をすると、タイフォンを一声し、直ぐに発車して行く。

電車は、住宅と車庫の細い路地を左に緩く曲がりながら、抜けて行く。
車庫の後ろから、「チンチンチン・・・」と警報音が鳴る、電鈴式踏切が聞こえてくる。

IMGP0210_201612220418117ec.jpg

この駅は、昭和26年(1951年)12月延伸時の開業時、起点駅の吉原駅からは6.4km地点、
所要時間約15分、所在地は富士市富士岡で、海抜は7.6mである。
富士岡には、市立図書館や小中高の学校が集まり、吉原本町以東の一番大きな町になっている。
駅の北側に住宅地が広がり、西側と南側に工場が建っている感じだ。

ホームは、東西に配された島式一面二線の列車交換可能駅で、
岳南江尾方に駅舎に結ぶ構内踏切があり、下り側だけにある半スロープは、この駅だけである。
今日は、きのこ型旅客上屋の再塗装をしている模様だ。

IMGP0220_201612220418144cd.jpg
(吉原寄りからホーム全景。かつては三両編成を運行していたので、その分の有効長がある。)
IMGP0229_20161222041817485.jpg
(岳南江尾駅と同じ、蛍光反射塗料のブライトコートを塗装しているらしい。)

本線の北側には、側線が三本残っており、岳南江尾方で、全て車止めになっている。
側線には、引退した電気機関車や貨車、台車、車上クーラーユニット等の部品が保管されている。
なお、近隣のふたつの工場に延びる、引き込み線があったそうだが、既に撤去されている。

NTN製車軸受けの古典的台車が二台あるが、車輪横に大きな歯車があるので、
廃車した機関車の釣り掛け台車だろう。電機機関車の全般検査時の仮台車と思われる。

IMGP0225_20161222041815e3e.jpg

ホームから吉原方を見ると、興和工業の煙突と向こうに貨物ヤードが見える。
駅構内手前まで、貨物ヤードの引き上げ線も延びており、第二種車止めで終わっている。
なお、興和工場の煙突の煙は、火力発電や不要な紙原料焼却(再生紙原料の古紙)の煙との事。
製紙には大量の水と蒸気が必要で、火力発電で造られた蒸気は、紙の乾燥の熱源に使うそうだ。

IMGP0218_20161222041812463.jpg

江尾方本線南側には、車両二両だけ入る小さな車両検修区(車両検査修理工場)があり、
今日は、7000形(7001)とED40形(402)が休息中である。
貨物列車用の電気機関車は全て引退したが、製造年が新しく、状態の良いED402は、
整備用入換え機やイベント機として、使われているらしい。

IMGP0233_20161222041818acf.jpg
IMGP0270_201612220418294fd.jpg

半スロープを下って、改札に向かおう。
改札手前には、もう手入れがされていない池庭もあり、実は、岳南線の殆どの途中駅にある。
古い国鉄ローカル駅にも池庭が沢山あるが、駅員や乗務員のオアシス的存在で、
日常の厳しい安全管理環境を癒やす、箱庭的存在だったのであろう。
なお、大きな機関区等では、安全祈願の鉄道神社が祀られている事もある。

駅池庭の発祥は不明であるが、「隣の駅が造ったならば、うちの駅も・・・。」、
と言う風に広まり、その出来を競うのも面白かったかもしれない。
大都市の駅では、もうあまり見られないが、浜松町駅の小便小僧を見ると、
何故かほっとする所もあるので、殺風景な鉄道駅にオブジェ的な造形も必要だろう。

IMGP0236_20161222041820532.jpg
IMGP0269_2016122204182700d.jpg
(池は荒れているが、辺りには、みかんの木がある。小さな実が沢山なっていた。)

駅舎は、暖かな駿河湾エリアらしく、南に面した開放的な造りである。
自動販売機が置かれているが、出札口や鉄道手荷物窓口もそのまま残っているのが嬉しい。

基本的には、無人駅であるが、朝の通勤通学時間帯だけ駅員が詰めているそうだ。
大貨物取扱所の木製看板が、コカコーラの自動販売機の右横に掲げられ、
小さな民営鉄道でありながら、かつての誇りを感じさせる。

IMGP0249.jpg
(10畳位の広さに、手作り半丸太ベンチがふたつ据え付けられている。)
IMGP0251.jpg
(状態は良好だ。配色や上部の小窓も、開業当時の原形のままだろう。)

駅舎は平屋根の木造であるが、全体がトタンで補修されており、大きな壁画が描かれている。
吉原方に虹ブランコの女の子、道路側にかぐや姫が描かれている。
この富士岡と隣駅の比奈周辺は、湧き水とかぐや姫伝説の里である由縁だ。

IMGP0257.jpg
IMGP0260_2016122205263694d.jpg
(左側は窓枠も昔のままである。)

静かな冬の昼前・・・改札前のベンチに座って、何も考えずに過ごすのも、贅沢な時間だ。

IMGP0267_20161222041826375.jpg



にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ

2016年12月22日再編集(画像差し替え・校正)

© hmd All Rights Reserved.
記事や画像の転載、複製、商用利用等は固くお断り致します。

category: 岳南電車 全13話

thread: 鉄道旅行 - janre: 旅行

tb: --   cm: --