hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【263】ハイランドたぬき村への招待・・・近江鉄道本線&信楽高原鐵道(3)近江鉄道の電車と近江鉄道八日町駅から、貴生川駅へ。  


八日町駅は、ジャンクション駅らしく、電車が次々と入れ替わりに発着する。
関東の鉄道と違い、全面広告ラッピング車が多いのも特徴で、
経営の苦しい地方民鉄にとっては、スポンサー企業があるだけでも、ありがたい話だ。
主力の近江鉄道800形電車は、少しくすんだ感じの黄色が標準色であるが、
広告ラッピングの違いが楽しい車両で、西武鉄道からの譲渡車を自社向けに使い易く改造している。

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(標準色の少しくすんだ黄色の800形電車。左から、807編成、806編成。)
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(手前は808編成、奥は802編成で、大阪の有名コーヒー飲料メーカーの広告ラッピング車。)

近江鉄道は、彦根に自社車両工場を有し、車両の大改造を行える程の高い技術力がある。
西武鉄道からの譲渡車や廃車のまだ使える部品を利用し、改造しているそうである。
この、有名茶飲料メーカー広告ラッピングの単行電車220形電車は、
色々な車両からの部品を組み合わせた、近江鉄道オリジナルの更新車で、
物資の少ない戦前や終戦直後は良く見られたが、近年では、大変珍しいと言える。
全体の違和感が無く、デザイン的に良く纏まっているのも、感心する所だ。

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(220形電車。)



次の下り貴生川行き電車まで、少し時間があるので、駅舎内で待とう。
八日町駅は、近代的な鉄筋コンクリート駅舎になっており、大きな三角屋根がとても印象的だ。
近江鉄道本線とJR近江八幡駅を結ぶ短絡線の八日市線が分岐する、三方分岐地点であり、
構内は二面三線のホームが南北に配され、側線や電留線も多く設置されている。
なお、近江鉄道の本社は、彦根市古沢町にある。

駅の開業は、民鉄としては大変古く、明治31年(1898年)7月開業、起点の米原駅から25.3㎞地点、
所在地は東近江市八日市浜野町、標高128mの終日社員配置有人駅である。
また、新しい駅舎であるが、「第一回近畿の駅百選」の認定駅でもある。

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(駅舎出入口。三角屋根の上部側壁は、大型ガラスを嵌め込んでいる。)
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(改札口周辺。自動改札機は無く、昔ながらの金属製改札ボックスがある。)
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(駅時刻表。日中は、本線よりも、八日市線の方が本数が多い。)

駅出入口横には、大壁画が設置されているのも、この駅の名物になっている。
額田王(ぬかたのおおきみ)と大海人皇子(おおあまのおうじ/後の天武天皇)を描いたもので、
7世紀頃、当時は蒲生野(がもうの)と言われた、八日市付近での天皇や朝廷高官達の遊猟の様子と、
詠われた万葉を描いたものとの事。

茜さす 紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る

(詠人・額田王ぬかたのおおきみ/万葉集第38葉・巻1・20 より。)


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(大壁画。)





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八日市1003======1043貴生川
近江鉄道本線下り普通列車・貴生川行き
800形(801編成)2両編成
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そろそろ、下り貴生川行き列車の時間だ。
近江鉄道主要駅のこの八日市駅から、更に、本線終点の貴生川駅に向かおう。
米原方から、黄色い800形電車801編成が、本線下り1番線に入線して来る。
なお、この少しくすんだ感じの黄色一色が、近江鉄道の標準色である。

この先の本線22.4km区間は、よりローカル度が増して、駅間距離も大分伸び、
ホーム上の待合所だけの小さな駅も多くなるそうだ。
桜川駅、日野駅と水口駅(みなくち-)の三駅には、木造駅舎も残っている。

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(八日市駅1番線ホームに到着する、下り本線貴生川行き列車。)

八日市駅を、定時の10時03分に発車する。
乗客は、八日町駅で大分下車しているので、10人位だ。
線路は暫く南進し、その先の日野駅付近で、再び西に進路を変えるらしい。
丁度、逆L字の様になっており、鈴鹿山脈から西に伸びた山裾を、かすめる様に走る区間である。

列車は、古代からあると言われる、溜池が多い水田地帯の中を暫く南進する。
この付近の標高は、120-140m位であり、険しい山はないが、所々に、鈴鹿山脈山裾の低山帯がある。
周辺の雰囲気としては、山と山の間にある平地に大水田が広がり、
この近江鉄道は、その中に点在する集落を結んでいる感じだ。

八日町駅からふたつ目の大学駅前駅を過ぎると、布施山東麓の低山帯の切り通しを越え、
視界が開けると、再び水田地帯の中を、日野川の東岸に沿って走る。
そして、木造駅舎と貨物側線が残る桜川駅を経て、次の大きな駅の日野駅に到着する。
鈴鹿山脈西麓の中心町で、近江商人の発祥の町の玄関駅である日野駅は、
とても古い大型木造駅舎と旅客上屋等があり、その古さと大きさに驚いてしまう程だ。
車窓から見るこの駅は、帰りに、何とか寄りたい衝動を感じてしまう。

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(日野駅の駅名標。)

日野駅を発車し、線路は西に大きく向きを変える。
この先の区間は、明治33年(1900年)の開通で、人家も少なくなり、荒れ地や田圃が多くなる。
うら寂しさも急に増して、近江鉄道本線内の一番ローカルらしい場所だろう。
なお、近江鉄道のレールは、開業の古いローカル線の標準的な30kgと37kgレールが殆どであり、
この区間は道床も弱い様で、車両の横揺れも大きくなってくる。

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(日野〜水口松尾間。※上り米原行列車最後尾から、貴生川方を撮影。トリミング処理済み。)

日野川を渡り、この先の水口丘陵と言われる低山帯の狭小部に入ると、
古い立派なレンガポータルの清水山トンネル(全長147m)に突入する。
なんと、現役の明治時代のレンガトンネルで、竣工から120年近いものである。
トンネル内に半径400mのカーブがある事や、安全の為に時速20kmの速度規制になっている。
なお、この付近の標高は190m程度である。
国土地理院地図電子国土web・近江鉄道清水山トンネル

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(清水山トンネル。※上り米原行列車最後尾から、貴生川方を撮影。トリミング処理済み。)

トンネルをゆっくりと抜け、狭小部出口にある水口松尾駅を過ぎると、
左側の視界が開けて町並みが見え、甲賀市に入る。
そして、列車交換設備と木造駅舎も残る主要駅の水口(みなくち-)駅に到着する。

野洲川中流にあるこの水口は、東海道水口宿が置かれた城下町で、
町内には、水口の名を冠した四つの駅が設置されている大きな町だ。
水口丘陵の狭小部にある北側の町外れの団地の近くに水口松尾駅、中心地にあるこの水口駅と、
水口駅から南側貴生川方にも、水口石橋駅と水口城南駅のふたつの小さな駅がある。

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(水口駅。※上り米原行列車最後尾から、貴生川方を撮影。トリミング処理済み。)

ふたつの小駅を順に停車し、水口城下の町を抜けると、野洲川橋梁(213m)を渡る。
そして、大きく90度左カーブをして、草津線の線路と並行になると・・・
彦根駅から1時間40分をかけて、本線終点の貴生川駅に到着。ここで、信楽高原鐵道に乗り換えになる。
なお、この貴生川は単独の町と思いきや、旧村名の合成地名であり、ここも甲賀市水口町内になる。

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(近江鉄道貴生川駅。)



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進行方向の前面展望撮影は、運転士の運転業務や乗降客の精算の支障となる為、
帰りの上り列車最後尾から終点の貴生川方を撮影。

2016年7月11日再編集
2016年12月23日再編集(画像入れ替え高解像化・文章追加・校正)

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category: 近江鉄道本線&信楽高原鐵道 全10話

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