hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【24】大正ロマンと日本一の田園風景を訪ねて・・・明知鉄道(5)明智駅  




恵那駅から乗車して来た列車が、折り返すまで、この明智駅の見学をしよう。
明智は、周りを山に囲まれた高原地帯の盆地の町になっており、
昔、この美濃東部(東濃/とうのう)を治めていた遠山家が、築いた小さな城下町である。
町名から、豊臣秀吉に仕えた明智光秀を思い出し、ここが出生の地だと言う説もあるが、
同じ美濃の太多線沿線の可児市明智にある、明智長山城の出生の説が有力になっている。

また、信州下呂(げろ)と三河を結び、塩や織物を運んだ南北街道と、
信州南部と尾張を結んで、繭等を運んだ中馬街道(ちゅうまかいどう)が交差する要衝地で、
宿、馬屋や伊勢参りの人々が往来し、町は大変賑わったそうだ。
明治以降は、養蚕や製糸業、現在は、観光と窯業(セラミックス製造)が盛んになっている。
因みに、時代劇でおなじみの江戸の名奉行「遠山の金さん」は、遠山家の子孫に当たる。



海抜は500m近いので、高原の清々しさを感じる。しかしながら、暑い位の日差しと気温だ。
ホームにある国鉄風の駅名標は、終着駅の隣駅の片方は空白が多いが、
洒落なのか、「日本大正村」と書かれている。
なお、町名の漢字に合わせた為、「明知」から「明智」に漢字が変更になっており、
社名の漢字と異なっているのが珍しい。

この明智駅は、1934年(昭和9年)6月に、岩村駅から延伸開通した際に開業。
国鉄飯田線浦川駅と国鉄二俣線二俣駅(現・天竜浜名湖鉄道天竜二俣駅)を経由し、
東海道本線の掛川駅まで至る大鉄道構想であったが、此処から鉄路が延びる事は無く、
盲腸線としての国鉄明知線の終着駅になった。
駅は、起点駅の恵那から25.1km地点、所要時間は約1時間、所在地は恵那市明智町、標高448m、
終日有人駅であり、明知鉄道の本社も置かれている。
また、同じ岐阜県内に同名の駅があるのも珍しく、名古屋鉄道広見線にある。

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(国鉄風の駅名標。)

終着駅であるが、小さな単式ホームがあるだけで、幅も狭い。
旅客上屋も駅舎から庇が少し出ている程度である。

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(明智駅ホームと旅客上屋。)

折り返しを待つ上り12D列車・12時57分発恵那行きが発車を待っている。
先程の急坂は30‰(パーミル)もあり、駅のホームから見ても、凄い急勾配であるのが判る。
なお、30‰級の急勾配は、本線上に四カ所もあるそうで、
安全対策の為、気動車のブレーキシステムは3系統も搭載している。

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(恵那方と30‰の急勾配を望む。)

駅舎の南側並びには、小屋が残っており、信号機と分岐器(ポイント)の操作てこが・・・
腕木式信号は撤去されており、ワイヤーも外されているが、まるで、老兵の様に佇んでいる。
奥の「指差確認」の注意書きも、そのままだ。
南隣は危険物庫であるが、木造なので、戦後のものだろう。

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(転轍機操作てこ小屋と危険物庫。)

単式一線のシンプルなホームは、終着駅としては小さなもので、車止めも無く、
奥の検修区(車両整備工場)と車庫にそのまま接続している。
車庫前のレバー式手動転轍機は、良く整備されていて、油染みも美しい。

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(ホーム奥にある車庫と車両検修区。)

改札を通り、駅舎内に入ってみよう。
駅舎は、一部手直しされている様だが、古い国鉄時代のままであるのが、嬉しい所だ。
15畳程の広さの待合室は、天井は高いグレーのペンキ塗りの板張りで、
若干痛んではいるが、程良いレトロ感を感じる。
また、自動券売機は設置されておらず、昔ながらの硬券切符を出札口で発券している。

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(改札口周辺。駅舎は小さめであるが、開放感がある。)
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(天井は高く、グレーに塗られた羽目板が並んでいる。)

どことなく懐かしく・・・
出札口の「きつぷうりば」の平仮名文字と、その上の白熱灯が良い雰囲気だ。
先程の極楽駅までの切符も、縁起物として販売されている。
また、左側の鉄道手小荷物窓口(チッキ)や駅事務室出入口も、ほぼ原形のままである。

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(出札口と鉄道手小荷物窓口跡周辺。)

駅舎の外に出てみよう。
昭和9年(1934年)6月に開業した明智駅は、「中部の駅100選」にも選ばれ、
白壁とこのエリア特有の黒い瓦葺屋根の平屋木造駅舎は、古き良き国鉄時代の雰囲気を残す。
出入り口横の昔ながらの赤い円形ポストも、良いアクセントになっている。

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(レトロな駅出入口。)
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(明智駅。)

駅前には、車が転回出来る程度の広場があり、左手には、遠方を結ぶバス発着場がある。
この先の山間には、小さな谷間が多くあり、集落が散在しているそうだ。

この「とうてつバス」の正式名称は、東濃鉄道株式会社(とうのう−)と言い、
その名の通り、かつては、ふたつの鉄道路線を経営していた鉄道会社だった。
昭和53年(1978年)に自社の鉄道路線は全廃になり、バス事業のみ継続している。
現在は、名古屋鉄道グループの一社として、東濃エリアのバス路線を運行しているそうだ。

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(とうてつバス。)



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2016年1月23日再編集
2016年5月30日再編集(文体変更・画像整理)
2017年1月9日再編集(全画像再処理入れ替え・文章追加)

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category: 明知鉄道 全16話

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