hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【260】潮騒と浪漫の小さな鉄道・・・銚子電気鉄道(15・最終回)ヤマサ醤油工場と乗り納めへ。  


大杉神社の近くの民家の一階に食堂があり、店先に、「つりきんめ」の張り紙がある。
漁師相手の小さな食堂の様だ【食事マーカー/店名は不明】。

「つりきんめ」とは、この外川港で水揚げされる金目鯛の事で、
親潮と黒潮に揉まれ、脂が年間に通じて良く乗っており、大変美味だそうだ。
深海の魚だが、一匹ずつ丁寧に釣り上げられるので、「つり(釣り)」と付く。
張り紙につられて、入ってみる事にしよう。

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(漁師食堂。)

テーブルが三つ程ある、小さな漁師食堂になっている。
家庭的な落ち着いた雰囲気で、年配のお母さんが、「いらっしゃい。」と迎えてくれた。
メニューを見ると、定番的、尚且つ、良心的価格で、ラーメン、焼きそば、カレー、カツ丼・・・
男漁師が満足しそうな満腹系メニューが並んでいる。
やはり、つりきんめの煮付け定食(税込1,600円)が、お勧めとの事なので、これを注文する。

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(メニュー表。外川散策時の昼食や小腹が空いた時にも、良さそうだ。)

注文を受けてからの手作りになるので、暫く待つ。
その間、この外川の町の話や東日本大震災の津波の話も、聞かせて頂いた。
この外川港でも、津波が東から三度来襲し、波も上がって大変だったそうだが、
犬吠埼が津波をふたつに分けたので、威力は大分落ちていたそうだ。
また、過去に大津波が何回かあり、普段からの津波に対する防災意識が高い事や、
住宅地が急斜面の高台である事、事前避難で大きな被害は無かったとの事。
なお、九十九里浜北端の飯岡町は、太平洋に突出した平坦地の為、大きな被害があった。

料理が出来上がった様だ。今朝、水揚げされた新鮮な金目鯛との事。
この金目鯛は、県外では、「銚子つりきんめ」の名前で知られており、
外川港所属の漁船のみが獲れるそうで、ブランド魚になっている。
深夜に操業、早朝に水揚げし、午前中に市場に卸されるので、鮮度がすこぶる良い。
銚子釣りキンメ公式HP

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(つりきんめの煮付け定食。キンメは半身であるが、肉厚で量もある。)

早速、食べてみよう。
漁師町の家庭風のやや濃い味付けだが、甘辛で程よく上品で、脂はくどくなく、
旨味が染み渡る感じだ。身のほぐしも良くて、非常に美味しい。
小鉢の鰯も生臭くなく、柔らかく、骨まで食べられる。
「キンメのスープも食べるかい?」と聞かれたので、「お願いします。」と伝える。
味はかなり濃いが、不思議に塩辛く無く、非常にコクがある。



銚子港周辺でも食べられるが、本場の外川港の港前、漁師町の家庭風味付けであろう、
最高の金目鯛の煮付けをご馳走になり、大満足だ。
お礼を言って、出発しよう。

手製の案内板のある、長屋通りが駅への近道らしいので、ここを登って行く。
「し」は、ミニ資料館の事だろう。「とこ」は、床屋かも。
そこを左に曲がれば、外川駅に出る様だ。

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(長屋通り。)
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(オリジナルの案内板。※トリミング拡大済み。)

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外川1215====1232仲ノ町
上り銚子行 2000形2両編成(2002+2502)
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外川駅に戻って来ると、12時15分発の白い2000形電車が待っているので、直ぐに乗車しよう。
ジジジジ・・・昔ながらの金属の発車ベルが、けたたましく鳴ると、発車する。
乗客は数人だが、途中の駅から、ぞろぞろと乗車して来る。
笠上黒生駅(かさがみくろはえ-)からは、銚子駅から折り返しの女性車掌氏も乗車し、
乗客は40人近くになる。この時間帯は、銚子に所要で出かける人が多い様だ。

所要時間約17分で、仲ノ町駅に到着。
この駅で下車し、銚子方の踏切を越えて、ヤマサ醤油の工場に行ってみよう。
踏切先の左手に、ヤマサ醤油第一工場の正門があり、周囲一帯は醤油の濃厚な香りが漂っている。

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(ヤマサ醤油第一工場の正門。)

正門を入って左手に工場見学センターがあり、予約時の氏名を申し出ると、ビデオ上映に案内される。
今日の見学者は20人位、ビデオ上映では、簡単なヤマサの歴史と醤油造りの解説がある。
醸造は半年かかり、1日に1Lパック換算で40万本製造出来るそうで、
工場広さは七万坪、東京ドーム四つ分の大工場だが、その70%は発酵する為の仕込み蔵だそうだ。
上映の後は、近くにある仕込み蔵までの引率見学になる(仕込み蔵は撮影禁止)。

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(ヤマサ醤油工場見学センター。)

この銚子は、関東一の醤油の町であり、関東三大醤油メーカーのうち、
ヤマサ醤油とヒゲタ醤油が大きな工場を置いている。
銚子の醤油の歴史は、江戸に幕府が置かれた江戸時代以降になり、
沖を流れる海流の影響で、夏は涼しく、冬は温暖で、湿気も多い事から、
酵母菌を発酵させるのに適しており、かつては、中小の醤油醸造所が沢山あったそうだ。
また、三大原料である塩、小麦や大豆の産地に近く、利根川の水運を使って、
大消費地の江戸に製品を出荷できる立地の良さもあった。

なお、ヤマサ醤油は、国内二位の生産量を誇る大メーカーで、
国内シェアは約10%あり、同三位のヒゲタ醤油と共に銚子系醤油と言われている。
ヤマサの歴史は、徳川三代将軍・家光の治世の正保2年(1645年)に、
紀州(現・和歌山県)より移住して来た、濱口儀兵衛(はまぐちぎへえ)によって創業した。
当初は、紀州湯浅系(関西系)の醤油造りをしており、幕末期から関東系醤油造りが始まったとの事。
濱口儀兵衛も、外川港を築港した崎山次郎右衛門に影響を受けたと言われ、
同じ広村(現・和歌山県有田郡広川町)の出身であるのも、奇遇では無いだろう。
なお、ヒゲタ醤油の先祖も、同郷・同族との事だ。



仕込み蔵を見学し、見学センターまで戻って来る。
上映場の前には、昔使われていた仕込み桶が寝かして置いてあり、記念撮影が出来る。
この桶は、五十石(約9,000L)入る大きなものとの事。

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(仕込み桶。)

また、工場内で貨車の牽引をしていた、社有ディーゼル機関車が、屋内展示されている。
大正末期に輸入された現存する、日本最古のディーゼル機関車と言われ、
昭和39年(1964年)まで使われていたそうだ。
オーベル社とウーゼル社の合同製作で、内燃機関4サイクルエンジンの考案者である、
ニコラス・アウグスト・オットーの名から、「オットー」の愛称で親しまれている。

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(オットー機関車。※ブログ公開承諾済。)

自重7t、牽引貨車10両(約250t)、動輪の二軸ロッドと丸窓の可愛らしいデザインである。
国鉄貨車と連結をする為、標準仕様の自動連結器を前後に装備し、
とてもアンバランスな感じがするのが面白い。
また、非公開であるが、プラットホーム跡や軌道跡も、工場内にあるそうだ。
なお、ヤマサの屋号の「上」の字は、江戸幕府に「最上醤油」の名を与えられた証との事。



見学の最後は、ヤマサ製品のプレゼントも貰え、
醤油アイスクリームの試食(有料/250円)と直営店の買い物タイムだ。

特製の醤油アイスクリームを食べてみよう。
アイス専用のマル秘の黒蜜風醤油ソースを使い、ほんのりとした醤油の甘さと香りがあり、
意外と美味しい。なお、ヤマサ醤油では、香りを重視した製品づくりをしているそうだ。

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(特製の醤油アイスクリーム。)

【ヤマサ醤油工場見学案内】
見学は、事前予約が必要な為、詳しくは、公式HPを御覧下さい。
ヤマサ醤油公式HP・工場見学のご案内



仲ノ町駅に戻り、残りの時間は、撮影や取材はあまりせず、ひたすら乗る事にしよう。
ほのぼのとした沿線の風景と、地元の人達の足として活躍している姿が、とても印象的だ。
また、駅間距離も1km未満なので、駅間歩きも楽しい。

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何往復かすると・・・夕闇が迫って来る、
時刻は18時30分、今、終点の外川駅だ。
外川駅ホームの白熱灯が煌々と灯り始め、幻想的な光景になる。

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(夕闇の外川駅。)

日中居た初老の駅長氏は、既に退勤しており、駅舎内には入れない。
そろそろ、この銚子電鉄の旅も、終わりに近づいて来た・・・
最後に、縁起駅である本銚子駅(もとちょうし-)に立ち寄り、帰る事にしよう。

(終)

銚子電気鉄道公式HP

銚子観光協会公式HP



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長崎海岸の取材は、冬の追加取材時になります。
ヤマサ醤油工場内の見学センター周辺のブログ掲載は、許可を頂いております。

【参考資料】
現地観光案内板・現地観光案内
ヤマサ醤油工場見学者向けパンフレット(ヤマサ醤油発行)

【本取材日】2012年4月1日・2日の2日間
【追加訪問日】2015年12月27日(外川と長崎鼻の追加取材)
【旅カメラ】PENTAX Optio S10(本取材時)・PENTAX MX-1(追加取材時)

2016年5月25日再編集(文体変更・画像整理)
2016年12月21日再編集(文章変更・校正)

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category: 銚子電気鉄道 全15話

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