hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【258】潮騒と浪漫の小さな鉄道・・・銚子電気鉄道(13)外川駅下車観光 外川めぐり[その2]千騎ヶ岩・犬岩  


この外川港は、重工業地区を擁さない純粋な漁港であるが、意外と大きい。
大杉神社【神社マーカー/A地点】を起点にして、外川港の西側に行ってみよう。



漁協から少し離れた中央部の突堤【カメラマーカー】から、外川の町並みを望むと・・・
急斜面の上まで広がる家々が、一面に港を見下ろす様になっているのが印象的だ。
漁から帰ってきた船から眺めると、きっと、安心する風景だろう。

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(外川港突堤からの町並み。)

反対側を見ると、漁協の西にある製氷工場の先の堤防に、拳の様な岩山が見える。
ここからでも、直線距離は200m位あるはずだが、非常に大きい。近くに行ってみよう。

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(突堤から見える巨岩。)

外海に面した西堤防の右側には、小さな砂浜が残り、波が引っ切り無しに押し寄せている。
砂浜先の外海に突き出ている大きな岩山は、犬若岬【黄色マーカー】と言い、
海抜20m程のテーブル状になっているので、地元では、「本家の台」とも言われている。
視界の良い日には、富士山が見える事から、「富士見台」とも言われていた(※)。

また、この犬若岬は、初めて日本地図を制作した伊能忠敬が、全国の測量を始めた場所である。
山地を除く、富士山を肉眼で望む事が出来る最東端の場所である事から、
富士山までの距離を正確に測ったそうだ。

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(犬若岬「本家の台」と砂浜。この付近は、3つの地層が折り重なるように集まる。)

この堤防の先へ歩いて行くと・・・角に、千騎ヶ岩(せんがいわ)【赤色マーカー】と言う、
高さ18m・周囲400mもある巨岩で、源義経が千騎の兵を隠したと伝えられている。
今は、堤防が繋がっているが、かつては、沖の小島だったとの事。

千騎ヶ岩は、硬い砂岩で出来ており、千葉県最古の地質と言われる約二億年前のもので、
大きな穴が中腹に開いているのが特徴だ。
かつては、海鵜の越冬地であり、貴重な海岸性植物の自生地でもある。

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(東側から見た千騎ヶ岩。今は、外川港を守る堤防の一部になっている。)

千騎ヶ岩がある西堤防の付け根には、漁師食堂の犬若食堂【食事マーカー】がある。
この界隈の有名店で、某テレビ番組でも紹介された事がある。

昼食には少し早いが、ちょっと、寄ってみよう。
暖簾を潜ると、中年男性の「いらっしゃい。」と、威勢の良い声が響く。
店内は15畳位で、大きなテーブルと小さなテーブルがふたつ、畳敷きの小上がりもあり、
テレビ取材記念や芸能人のサイン色紙などが壁に沢山飾られている。
地元の人が何人かおり、訛りのある威勢の良い浜言葉が飛び交っている。

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(犬若食堂。)

この犬若食堂では、地場産のサルエビかき揚げ定食(税込1,100円)が名物だ。
サルエビの国産品は貴重で、この銚子近隣でないと、食べられないそうだ。

15分位すると・・・四枚もの大判かき揚げが出て来た。
身がプリッとした小海老で、ほんのりと甘く、上品な旨味がある。
油分がやや多いので、おろし醤油大根を掛けると、さっぱりとして美味しく食べる事が出来る。

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(サルエビかき揚げ定食。)

満腹になった所で、更に西に向かおう。
県道横の青年会館から、路地に入った先に小さな砂浜が有り、その近くに・・・
犬岩【名勝マーカー】と言われる奇岩がある。高さは約15mもあり、想像以上の巨岩で驚く。
この巨岩には、源義経伝説が伝えられている。

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(犬岩。)

その伝説によると・・・吉野山を追われた義経一行は、伊勢国(今の三重県)から船に乗り、
当時、下総国三崎庄(しもふさこくみさきしょう)と言われた、この銚子に上陸した。
義経の家来の兄に当たる、ここの領主であった片岡氏に一時保護され、
奥州藤原氏を頼って、ここから船で出航する予定だった。
しかし、出航前、壇ノ浦の戦いで敗れた平家の亡霊が若丸に乗り移り、
義経は泣く泣く、ここに若丸を置いていったそうだ。
出航の時、若丸は海を泳ぎ、この岩山に登って七日七晩鳴き続け、この犬岩になったと言われている。
なお、安宅の関(あたかのせき)を越える、北陸ルートも有名であるが、
この伝説では、影武者の杉目小太郎が義経に扮したとされている。
また、この付近の字(あざな)も、義経公の愛犬の名から、犬若と付けられた。



風も無く、波もあまり激しくないので、大堤防の先端に行ってみよう。
330m程もある堤防は、犬若堤防と言い、北側にある犬若漁港【錨マーカー】を守っている。

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(犬若の大堤防。)

外洋側は大規模なテトラポット、内湾側はスタビックで防御されており、
この堤防の効果は絶大で、左右の海面の状態が全く違う。
国土地理院の航空写真を参照すると、昭和40年頃に造られたらしく、
北側の銚子マリーナ周辺の埋め立ては、昭和40年後半から昭和50年にかけてらしい。

足元が滑りやすいので、気をつけて歩く。何人か、釣り糸を垂れており、釣りの名所らしい。
晴れた日には、富士山が見えるが、今日は霞んでいて見えない。

堤防の先端部【青色マーカー】に到着。右手には、屏風ヶ浦の大展望が見渡せる。
古くは、「掛土崎(欠土崎/かけどさき)」と言われ、この堤防からの直線距離は5-10kmある。

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(屏風ヶ浦。上写真は28mm相当。下写真は112mm相当。)

崖の高さは40mから50m、幅は約10km、約300万年前に造られた地層になる。
白い部分は、犬吠層と言われる海底沈殿物の層で、茶色の関東ローム層がその上に乗っかっており、
ツートンの美しい景観が見られる。
しかし、地質は大変脆く、太平洋の押し寄せる波と強風で侵食された奇景であり、
イギリスのドーバーの白い崖に似ている事から、東洋のドーバーと言われている。
なお、此処で削られた土砂は、南側にある九十九里浜に運ばれて、打ち寄せているとの事。

中央付近には、風力発電の風車群が見え、先端部の煙が出ている所は、
最新鋭の廃棄物処理工場がある。
先端の岬は、刑部岬(ぎょうぶみさき)と言い、飯岡灯台が設置されている。
岬の裏側には、広大な九十九里浜と同浜最北の町の飯岡町があり、
銚子港の次に漁獲の水揚げが多い飯岡港を擁し、鰯やシラス等が良く獲れる好漁場になっている。

この先にも、テーブル状の突堤が有るが、テトラポットのみの足場になり、行く事は困難だ。
しかし、目を凝らして眺めると・・・何人かの釣り人が、糸を垂れている様子で驚く。
この堤防が出来る前、犬岩から数百m沖合に、沖ノ海老島(古くは、大海老島)と言う小島が
あったそうだが、近くに島影が無い事から、あのテーブル上の突堤が元の小島なのかもしれない。



堤防から相当離れた洋上には、風力発電の巨大風車が一基だけあり、実証実験を行っている。
国・産・学共同の洋上風力発電施設との事で、気象観測タワーも隣に並び、沖合約3km地点にある。
グーグルマップ・外川沖洋上風力発電実験施設

日本初の海底着床式(固定式)風車で、羽根の直径は92m、海面高は126m、
水深11m、発電量2.4MW(一般家庭1200世帯分)の三菱重工業製との事。
なお、隣の観測タワーとの距離は285m、タワーの海面からの高さは100mもあるそうだ。

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(外川沖洋上風力発電実験施設。上写真は28mm相当、下写真は光学4倍ズームをトリミング。)

見渡せば、360度の大展望で、海の孤島に居るような気分になってくる。
暫く、この大堤防で絶景を眺めてから、ゆっくりと戻る事にしよう。
犬若岬と外川港が、ここからも見える。

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(太平洋に面した犬若堤防の先端部から。)



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当記事は、冬の追加取材で訪問しています。

(※)民宿の私有地が有る為、今回は行かず。柵などが無い危険箇所。

【参考資料】
現地観光案内板
旭市公式HP「千葉の民話」(上総国を下総国に訂正。)
千葉県海洋再生可能エネルギー導入可能性研究会PDF資料
銚子ジオパークパンフレット(銚子ジオパーク推進協議会発行)

2016年5月25日再編集(文体変更・画像整理)
2016年12月21日再編集(文章追加・校正)

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category: 銚子電気鉄道 全15話

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