hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【255】潮騒と浪漫の小さな鉄道・・・銚子電気鉄道(10)銚電のぬれ煎餅と終点外川駅へ。  




素晴らしい春の大海原を楽しみ、とても、良い気分だ。
もう少し、のんびりしたいのだが・・・そろそろ、犬吠駅に戻る事にしよう。
灯台の門前には、土産屋と中小の温泉観光ホテルがあるが、
東日本大震災の影響の為なのか、閑散な雰囲気で、土産店は閉店している。

上の舗装された道路を歩くと、美味しそうな店が・・・軽食スタンドの海幸【食事マーカー】である。
実は、いつも立ち寄って、新鮮な貝焼きを頬張るのだが、今日は休みで残念だ。
ここで軽食を買い込んで、大海原を見ながら食べるのも、最高だろう。

IMGP2156.jpg
(軽食スタンド海幸。壁に描かれた絵が、何とも良い味を出していて、楽しませてくれる。)

店向かいのピンク色の派手な建物は、地元水族館の銚子マリンパーク【魚マーカー】である。
屋上展望台や食堂があり、王道のイルカショーは勿論の事、海辺なのに何故か恐竜もあって、
混沌とした雰囲気が好きな昭和ファンに堪らないとの噂だ。
銚子マリンパー公式HP

IMGP2161.jpg
(銚子マリンパーク。)



灯台から徒歩10分程で、犬吠駅に到着する。
時刻は10時20分前、駅ロビーも照明が付いて、観光客が何人か訪れている。

出札口は、ホテル風の洒落たカウンター風になっており、
女性駅長氏が日中の時間に勤務していて、犬吠埼周辺の観光案内もしてくれる。
本銚子から銚子行きの開運硬券切符があるので、記念に購入しておこう。
なお、銚子行きであるのは、「上り(列車)」と「銚子=調子(行き)」の二重願掛けになっている。

IMGP2206.jpg
(出札口の様子。)

銚子電鉄の直営売店は、待合ロビーの半分を占めるほど大きい。
ぬれ煎餅の実演製造も行っているので、香ばしい香りが、周囲に漂っている。
有名なぬれ煎餅の他、魚の佃煮、地元の農産加工品や特製アイスクリーム等も販売している。

IMGP2179.jpg
(直営販売所。)

香ばしい醤油の香りに誘われて・・・年配の女性店員が、慣れた手付きで、焼き上げている。
1日フリーきっぷに試食引換券が付いているので、頂く事にしよう。
ご好意で、焼きたてを頂いた。鰹だしが良く効いた、やや辛口の醤油味になっている。
鉄道事業収入減を補う為、平成7年(1995年)にオリジナル品を開発し、販売している。

IMGP2185.jpg
(煎餅焼き作業。※作業風景は、撮影承諾済み。)
IMGP2196.jpg
(試食のぬれ煎餅。)

実演製造は、9時30分頃から正午までと、昼休み後から15時頃までとの事。
状況によっては焼かない日もあり、夕方17時までの営業になる。
支援の為、今追加で食べる1枚入りと土産用にパックも購入しよう。

銚子電鉄のぬれ煎餅は、鉄道部門の年間売り上げの二倍を稼ぎ出し、鉄道存続の源になっている。
10年前の資金難の際、車両の法定検査費用が捻出出来なくなる事態になり、
このオリジナルぬれ煎餅の販売で窮地を脱したのは、良く知られている所だ。
なお、ぬれ煎餅自体は、昭和40年頃から銚子市内の米菓店の銚子名物になっており、
味付けに使われている醤油は、仲ノ町駅至近のヤマサ醤油製オリジナルを使い、
銚子駅前の老舗煎餅店から製造方法の伝授を受けたとの事。
「この銚子には、鉄道が必要。」と言う、地元の大きな支援もあると感じる。

最近は、こちらの「銚子電鉄の佃煮」にも、力を入れている。
以前は、「犬吠駅の佃煮」の商品名だったが、商品名を一部変更し、大々的に売り込む気合を感じる。
秋刀魚、鰯と鰹の三種類あり、青魚は特有の香りが無く、とてもまろやかな味になっている。

IMGP2192_20151225114737724.jpg
(特設の銚子電鉄の佃煮コーナー。)

また、この駅舎は二階建てで、有名日本画家の後藤純男美術館が二階に開館していた。
しかし、平成16年(2004年)1月に閉館してからは、倉庫や展示場として使われているそうだ。





++++++++++++++++++++++
犬吠957======1000外川
下り外川行き(2000形2002+2502・2両編成)
++++++++++++++++++++++

さて、終点の外川駅(とかわえき)に向かおう。
白い2000形2両編成が、グリーントンネルの長い勾配を上って来る。
乗客は2-3人しかおらず、ふかふかで、懐かしい臙脂色のロングシートに腰掛ける。

IMGP2216.jpg
(グリーントンネルの列車。)

列車は直ぐに発車し、県道踏切を越えると、真っ直ぐの線路を時速30km位でゆっくりと走る。
この周辺は畑と住宅が半々位で、旧犬吠駅があった暁鶏館前踏切(ぎょうけいかん-)先には、
ホーム跡らしい空き地が線路右脇にある。

三つ目の踏切付近を過ぎると、犬吠駅からの8.3パーミルの登り勾配は水平になり、
左側に中学校の校舎が見えると、半径400mの右大カーブを曲がり始める。
そして、線路が真っ直ぐに戻り、住宅地に入って行くと、終点の外川駅に到着する。

IMGP2238.jpg
(外川駅に到着。)

外川駅は、銚子遊覧鉄道時代には無かった駅なので、
銚子鉄道開業時(戦後、銚子電気鉄道に移行)の大正12年(1923年)7月に設置された駅になる。
時間限定の有人駅で、銚子から6.4km地点、9駅目、所要時間は19分、標高25mになる。
なお、銚子遊覧鉄道と銚子鉄道時代の旧犬吠駅からは、500m延伸した事になる。
延伸区間は、開通を望む地元からの土地の寄付があったそうだ。

開業当時の古い木造駅舎に、一面一線の単式ホームと機回し線があり、
かつては、多客時に増結した小型客車や貨車の付け替えを行っていた。
機回し線として使われていない今は、留置線として使われている。
なお、国鉄気動車がこの外川まで直通で乗り入れていた頃は、
この小さな駅に、最大5両編成の列車が乗り入れる事があったそうだ。

ホームには、昔ながらの木造梁組み波形トタン直葺き屋根が、駅舎本屋から庇状に伸び、
屋根下に白熱灯が残されていているのも、大きなポイントだ。
こうして眺めると・・・まるで昭和30年頃の光景の様で、不思議な気分になってくる。

IMGP2302.jpg
(ホームとデハ801。)

機回し線には、銚電最後の吊り掛け駆動電車であるデハ801が留置され、
予備車扱いであるが、屋根上に台を乗せて、架線等の保守工事車に使われる事もある。
しかし、各部の腐食が進んでいるので、それほど長くは持たないかもしれない(※)。

終端方のホーム南端は、機回し線側に曲がっていて、ホームとの間隔が広くなっており、
この長い機回し線には、途中に渡り線があったそうだ。
線路の終端部は、引き上げ線で終わっているのが、終わりを一層強調させている。

IMGP2322_20160730132543178.jpg
IMGP2226_20151229105159053.jpg
(終端方。今は、留置線として、車両を押し込む場合がある。)

銚子方のホームの幅は狭く、二両固定編成の2000形導入の際、ホームを若干延長してある。
かつて、駅舎の北並びには、貨物ホームと本線から逆さト字に配線した貨物側線1本があり、
外川港で水揚げされた魚介類や、近くの愛宕山で産する砕石を積み込んでいたそうだ。
今は、砂利敷きの駐車場になっており、その面影も無くなっている。

IMGP2231.jpg
(ホーム端から、銚子方を望む。)



にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ

(※)現在、引き上げ線側に移動し、車内公開されている模様。

【参考資料】
RM LIBRARY 142「銚子電気鉄道(上)」(白土貞夫著・ネコパブリッシング刊・2011年)

2016年5月25日再編集(文体変更・画像整理)
2016年12月20日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

© hmd all rights reserved.
記事や画像の転載、複製、商業利用等は固くお断り致します。

category: 銚子電気鉄道 全15話

thread: 鉄道旅行 - janre: 旅行

tb: --   cm: --