hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【252】潮騒と浪漫の小さな鉄道・・・銚子電気鉄道(7)海鹿島駅と君ヶ浜駅へ。  


昨夜は、銚子駅からの大通りを利根川の方に10分程歩いた場所にある、
地元系ビジネスホテルの「かもめホテル」に投宿した。
気軽な感じのホテルなので、早朝出発の鉄道旅行派の鉄道ファンに、相性が良いと感じる。
銚子かもめホテル公式HP

早めに就寝し、とても静かな夜だったので、良く眠れた。
朝の5時半に起床して、息が白くなる肌寒い早朝の中、駅に向かう。
天気は良い予報であるが、今日も気温が低いらしい。

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(駅前大通りを駅に向かって歩く。)

駅前のコンビニエンスストアで、朝食や飲料の手配をしてから、銚子電鉄のホームに向かう。
成田線の普通列車と並んで、朝二番列車の銚子発6時27分発のデハ1001が待っていて、
ホーム南側の側線を見ると、特急しおさいE255系9両編成が夜間滞泊していた模様だ。

「おはようございます。」と運転士に挨拶をして、今日の弧廻手形(大人620円)を購入する。
暖房で十分に暖かな車内は極楽至極だ。発車をそのまま待とう。

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(朝二番列車の銚子発6時27分発のデハ1001とJRの列車達。)

二日目の今日は、海鹿島駅(あしかじま-)、君ヶ浜駅、犬吠駅(いぬぼう-)と
終点の外川駅(とかわ-)の四駅訪問と下車観光で、銚子電鉄メインどころの目白押しになる。
先ず、この銚子駅から、6駅目の海鹿島駅に行こう。



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銚子627======640海鹿島
下り外川行き(デハ1001・単行)
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乗客は自分を入れて3名で、銚子駅を定刻に発車し、朝焼けの中をコトコトと走る。
早い時間帯なので、平日の通勤通学ラッシュ前の車内は、落ち着いている。
本銚子駅(もとちょうし-)からは、中年女性がひとり乗車し、
笠上黒生駅(かさがみくろはえ-)にて、スタフ交換と白の2000形電車(※1)と列車交換をする。
昨日、最後に立ち寄った西海鹿島駅の次の駅で、下車となる。

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(早朝の車内の様子。)

西海鹿島駅を出発すると、キャベツ畑と住宅が混在している中の緩やかな登り勾配を、
時速30km位で、草の線路をゆっくり食む様に真っ直ぐに走る。
住宅の庭先と木々の間を走る様になると、海鹿島駅に到着し、ここで下車をする。

列車は直ぐに発車。「カタッ、カタッ、カタッ」とジョイントを規則正しく踏み鳴らしながら、
踏切を通過した列車は右カーブを曲がり、遠ざかって行った。
ホームに咲く菜の花が歓迎してくれるが、朝の7時前なので、周辺はとても静かだ。

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(ホームには、菜の花が沢山咲いている。)
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(海鹿島駅と駅名標、関東最東端駅の石碑。)

この海鹿島駅は、静かな住宅地の中にあり、駅前商店は殆ど無い。
海鹿島町は、海に寄った砂防林周辺が中心地となっており、駅はやや西の外れにある。

この駅も、隣駅と同じ由来の駅名になっていて、関東最東端の駅として知られている。
最近になって、立派な黒い石碑も建てられた様だ。
起点の銚子駅から3.6km地点、6駅目、所要時間14分、標高25mにある。
銚子遊覧鉄道時代から設置されている古い駅で、通勤通学時間限定の有人駅だったが、
今は、終日無人駅となっている。

一面一線の単式ホームの外川方に、中規模の駅舎がある。
外壁は新建材のパネル張りになっているが、補修がされている木造駅舎である。
銚子電鉄の他の木造駅舎とは異なり、無機質な感じと軒下の長さが非対称であるのは、
国鉄風の感じもするので、戦後に建て直されたのかもしれない。

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(道路側からの駅舎外観。)

この駅舎は、駅事務室と待合室が分離しており、中央通路に改札がある長屋門風だ。
仲ノ町駅の様な金属製ポールの改札があったが、腐食した為に撤去され、
外に面した開放形の出札口がふたつあるのも、この駅の特徴になっている。
銚子方の待合室も、出入り口に扉が無く、コの字の木造ベンチが据え付けられている。

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(開放形の出札口跡と改札口。)
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(銚子方の待合室。)

駅から徒歩15分程で、景色の良い海鹿島周辺の海水浴場に行く事が出来、
観光ホテルや民宿が建ち並ぶ、古い保養地になっている。
明治から大正まで、文人や歌人が訪問滞在し、磯めぐりと文学碑の町でもあるそうだ。
明治の大文豪である銚子出身の国木田独歩(くにきだどっぽ)の石碑があり、
画家・詩人の竹久夢二(たけひさゆめじ)も、この地に立ち寄っている。

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(駅前にある観光案内板。クリックすると、拡大。1024×768ピクセル・184kbyte)

また、昭和30年代に入ると、新宿発や我孫子発の国鉄キハ10系気動車の臨時快速列車が、
終点の外川駅まで直通運転され、大勢の観光客や海水浴客が訪れたそうだ。
その後、輸送力を向上した国鉄キハ20系が導入された際、
キハ10系よりも車体幅が200mmも広がった為、直通運転が出来なくなってしまった。
話によると、観音駅のカーブしたホームに、車体が接触した為だった。
後に、キハ20系1両ならば、観音駅を通過可能である事が判り、
キハ10系と2-3両編成で併結運転がされていたが、運行上の手間がかかると言う国鉄側の都合で、
昭和35年(1960年)に直通運転は取り止めになっている。

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(踏切脇から、ホームと駅舎。)



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海鹿島708===712外川718===721君ヶ浜
下り外川行き(2000形2002+2502・2両編成)
上り銚子行き ※同上・折り返し。
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次の下り外川行きに乗って、終点外川駅まで行き、引き返して、君ヶ浜駅に行こう。
撮影の色味修正と露出不足の為、時間調整をしたい。

笠上黒生駅にて、列車交換をした白い2000形2両編成がやって来る。
海鹿島駅を発車し、踏切先の半径310mの右大カーブをゆっくりと曲がって行くと、
平坦だった線路は下り25パーミルの急な下り勾配になり、砂防林西端の松林の中を走る。
この区間が、銚電の最急勾配区間になっている。
なお、銚電は、大部分を下総台地(しもふさ-)の上を走る路線なので、アップダウンはあるが、
峠は無く、カーブ半径もローカル民鉄としては比較的大きい。
また、トンネルがひとつも無い鉄道になっている。

鬱蒼とした松林の下り急勾配を抜けると、視界が急に開き、左右に畑が広がる。
この付近が、沿線で一番見晴らしが良く、撮影スポットとしても有名だ。
広大な畑の中の小さな第四種踏切をふたつ越え、半径400mの左カーブの手前で勾配は水平になり、
線路が真っ直ぐになると、君ヶ浜駅に到着。そのまま、終点まで行き、折り返す。

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(君ケ浜駅。)
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(ヤマサベンチと駅名標。)

外川駅折り返しの上り列車で、7時21分に到着する。
ホーム並びの大きな亜熱帯植物が、温暖なこの土地の雰囲気を盛り上げているが、
今では、少し寂しげにも感じる。
昭和6年(1931年)の追加設置駅で、起点の銚子駅からは4.7km地点、7駅目、
所要時間17分、海抜16mの終日無人駅である。
元々は、観光目的では無く、別荘分譲の為の玄関駅として、開業した駅だ。
最近は、駅猫の「きみちゃん」が住んでいるので、人気がある(※2)。

一面一線のホーム端はタイル貼りされ、残念ながら、駅舎は解体されている。
昔、正三角形の急な傾斜屋根の曲家風木造駅舎が、ホーム下にあったそうだ。
ホームには、背の低い小さな開放式待合所もあったが、後年は、プレハブ風の小さな待合所になった。
現在、平成2年(1990年)2月に、地元工務店時代の観光鉄道化事業で建てられた、
南ヨーロッパ風のアーチがあるが、老朽化で危険な為に天井部分が撤去されて、
柱の部分のみが残っている。

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(君ケ浜駅外観。)

なお、ホームから階段を降りた駅の東側は、民家はあまりなく、畑と砂防林が広がっている。
5分程歩くと・・・松林の向こうから、大きな波音が聞こえて来て、
「関東舞子」と言われる風光明媚な大白砂浜が、1kmにも渡って弓状に広がっている。

元々、霧が多い場所で、「霧ヶ浜」と言われていたが、訛って、「君ヶ浜」になったとの事。
現在、海浜公園が整備され、「日本の渚・百選」に選ばれている。
波が高く、潮の流れが複雑な為、通年遊泳禁止になっていて、
泳げないのは残念であるが、キャンプ、バーバキューやサイクリング等が楽しめるそうだ。

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(犬吠埼灯台下から、銚子港方の君ヶ浜を望む。)

なお、銚子の夏は海霧が良く発生し、関東では一番、全国的にも三番目に発生日数が多い。
年間平均40日弱発生し、6-7月は月10日以上発生するそうだ。
海水温度が空気温度より低い為で、銚子沖でぶつかる親潮と黒潮の影響や、
利根川の冷たい雪解け水がぶつかるのが理由らしい。

とても景色が良いので、清々しい気分になり、時間を忘れそうだ・・・
これが、銚電を一度訪問すると、何度も訪問したくなる理由かもしれない。



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(※1)銚子電気鉄道オリジナルのツートンカラーに、変更された。
(※2)残念ながら、平成28年(2016年)8月に死去したとのこと。

2016年5月25日再編集(文体変更・画像整理)
2016年12月17日再編集(文章追加・画像追加・校正)

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category: 銚子電気鉄道 全15話

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