hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【250】潮騒と浪漫の小さな鉄道・・・銚子電気鉄道(5)本銚子駅、そして、笠上黒生駅へ。  


来た道を引き返し、徒歩10分程で、観音駅に戻って来る。
時刻は14時30分過ぎた所だ。今度の下り外川行き列車に乗車して、
隣駅の本銚子駅(もとちょうし-)へ行こう。
下り列車が来る直前には、8人程が駅に集まり、たい焼き屋にも、ひっきりなしに客が訪れている。



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観音1446======1448本銚子
下り外川行き(デハ1001・単行)
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青色のデハ1001に乗り、下総台地(しもふさ-)に上るグリーンベルトを走る。
標高は15m程上るだけだが、銚子の町並みを北に見下ろしながら、
鬱蒼とした雑木林の中の20パーミルの急勾配を上って行く。
この区間には、小さな第四種踏切もあり、通過警告のタイフォンも鳴らす。

単行運転の車内座席は満席、立ち席が若干ある混み具合で、女性車掌氏も乗務している。
銚子駅の総武本線特急と鈍行列車の二本分の接続だった様で、忙しそうに、切符の発券をしている。

そのまま、弓状に右に曲がりながら走り、ふたつの小山の間を通る勾配のピーク地点を過ぎて、
警報機と遮断機付きの県道踏切を越えると、本銚子駅に到着する。

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(建て植え式駅名標。上部に、傘付きの照明も付いている。)

本銚子駅は、このグリーンベルトの小さな終日無人駅で、
起点の銚子駅からは1.8km地点、所要時間6分、銚子市清水町、標高30mにある。
開業当時からある駅で、「ほんちょうし」と読める事から、銚子電鉄の縁起駅になっている。
一面一線の小さな単式ホームに、古い木造駅舎兼待合室があるだけだが、
銚電沿線で最も秘境感のある駅なので、鉄道ファンには人気がある。
実は、ホームからは見えないのだが、北側に市立清水小学校があり、小学生の通学利用が多い。

駅舎は木造であるが、開業当時のものではないらしく、戦後に建て直されている様だ。
外川方に、やや広い待合室と壁据え付けのロングベンチがあるが、
壁全面は白いベニア板を打ち付けてあり、殺風景な感じになっている。

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(本銚子駅と清愛橋。出札口は、使われていない感じだ。)

外川方を望むと・・・切り通し状のグリーンベルトが、もう少し続く。
15パーミルの勾配が終わる、向こうの右カーブした明るい辺りが、グリーンベルトの出口になる。
また、桜と紫陽花が咲く名所でもあり、コンクリート製人道橋の清愛橋がホーム上方に跨いでいて、
昔からの鉄道撮影ポイントになっている。

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(外川方。)
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(清愛橋から撮影した、上り銚子行き列車。元々は、小学生達の通学用の橋らしい。)

銚子方は、県道踏切からやや下がって、駅構内は水平になる感じである。
丁度、県道踏切付近が、観音駅からのピークになっている感じだ。

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(銚子方。)

緑の中にある為か、不思議と静かだ・・・次の下り外川行き列車が来るまで、ゆっくりしよう。
なお、駅名の本銚子は、市町村合併の為に町名が消滅し、この駅名だけに残っている。





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本銚子1516======1520笠上黒生
下り外川行き(デハ1002・単行)
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30分程経つと・・・県道踏切が突然に鳴り響き、下り外川行き列車の赤いデハ1002がやって来る。
グリーンベルトを抜け、右カーブと踏切を通過すると、
観音駅までの市街地の中を走っていた車窓が一変して、住宅も疎らな近郊農業風景になる。

直線区間の後、半径430mの大きな右カーブを描きながら、東から徐々に南に進路を変え、
カーブ途中の笠上小踏切と笠上大踏切の親子踏切を越えると、
銚子電鉄の難読駅名でもある、笠上黒生駅(かさがみくろはえ-)に到着する。

IMGP1416.jpg
(建て植え式駅名標。ネーミングライツで、「かみのけくろはえ」と名付けられ、話題になった。)

この難読な駅名は、「笠上」と「黒生」のふたつの字(あざな)を、つなぎ合わせたものである。
開業当時の駅ではなく、再開業2年後の大正14年(1925年)開業の有人駅で、
起点の銚子駅から2.7km地点、4駅目、所要時間8分、銚子市笠上町、標高28mになる。
また、銚子ポートタワーと観光魚市場のウオッセ21、銚子第三漁港と銚子外港の最寄り駅であるが、
徒歩で20-30分かかる。

銚子電鉄唯一の列車交換設備と架線の給電施設も併設されており、
対向式ホームの二面二線、古い木造駅舎と側線も一部残っている。
また、保線用資材も置かれているので、保線区(保線基地)も兼ねている様だ。
本社や車両検修区(電車庫)のある仲ノ町駅と並んで、重要な駅になっている。

IMGP1399.jpg
(銚子方から、ホーム全景。)

銚子方には、駅舎本屋と並んで、灰色の鉄扉と窓の無い建物の給電施設がある。
南側に側線があり、保線用資材置き場兼搬入口として、譲渡された車両の搬入もしている。
対向式ホームを結ぶ幅の広い構内踏切があるが、警報機が無い昔のままだ。

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(銚子方。変電所は、仲ノ町駅から遠隔操作されている。 )

この給電施設は、JR東日本在来線の直流1500Vと比べて、低圧の600Vである事と、
路線長が短い為、300kW級の整流器が一基だけの小規模なものになっている。
架線も、直接吊架式(-ちょうかしき)と言う、トロリー線(電車線)の直釣りで、
路面電車等で良く見られる簡易な仕様である。
電車への集電時の電圧は、550Vから600V、電流は200A(アンペア)程度になり、
丁度、路線のほぼ中間地点なので、末端の電圧降下も少ないメリットもある。

また、太平洋戦争末期の銚子大空襲の際は、仲ノ町駅にあった当時の給電施設が破壊され、
廃線も検討されたらしい。
辛うじて、駅や車両等は被害が殆ど無く、「電気が無いだけで、廃止は出来ない。」と判断し、
鉄道省(後の国鉄)から借用した蒸気機関車1両と機関士の代行運行の後、
蒲原鉄道から余剰の変電設備を譲り受け、空襲から約1年後に全線電化復旧したそうだ。



外川方を眺めると・・・構内を少しばかり並走し、スプリングポイントでまとまる。
こちら側にも、ひとりが通れる位の小さな構内踏切があるが、駅職員用であろう。
また、ポイント手前には、上り列車用の場内色灯式信号機が設置されており、
平成11年(1999年)までは、腕木式信号機だった。

なお、上り銚子行き列車は、下り外川行き列車がホームに到着しないと、
構内に進入出来ない事になっている。
平成7年(1995年)6月、併合閉塞による閉塞ミスと運転士の思い込みミスで、
本銚子駅と笠上黒生駅間において、正面衝突の重大事故が発生した為だ。

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(外川方。)

また、笠上黒生駅から終点の外川駅までは、スタフ式列車閉塞を採用しており、
仲ノ町駅からの通券閉塞式とタブレット交換が実施される。

本来、スタフは金属製の棒状だが、プレートタイプを採用しており、
仲ノ町駅から笠上黒生駅間は四角のマーク、笠上黒生駅から終点の外川駅間は三角のマークがある。
上下列車共に単行の場合は、駅長氏が線路に降りて、手渡しで交換をする。
タブレット交換と確認が終わると、上り銚子行き列車が先発して行く。

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(タブレット交換風景。駅長氏と運転士が、プレートの穴の形を確認している。)

駅南側には、鉄道ファンに風葬線と揶揄される側線末端部があり、
オリジナルのトロッコ車両「澪つくし号(みお-)」が、静かに横たわっている。
昔は、二線の側線あったそうだが、現在は、一線になっている。

国鉄貨車を改造した「澪つくし号」は、朝のNHK連続ドラマ撮影にも使われた。
電車後部に連結され、夏期に運行されていたが、老朽化の為に休車になっている(※)。

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(トロッコ車両「澪つくし号」。車体の波のイラストが、可愛らしい。)



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(※)老朽化のため、平成24年3月末に解体廃車になった。

【参考資料】
RM LIBRARY 142「銚子電気鉄道(上)」(白土貞夫著・ネコパブリッシング刊) 

2016年5月24日再編集(文体変更・画像整理)
2016年12月17日再編集

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category: 銚子電気鉄道 全15話

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