hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【241】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐵道(49)沢入駅  


足尾町の玄関駅である、通洞駅(つうどう-)に戻ってきた。
上り桐生行き列車に乗車する前に、駅前の小さな有名店に寄ってみよう。
駅前ロータリーを横切り、県道向かいの斜め方を見ると・・・
看板が無いが、地元の小さな肉屋「ますや」がある。
グーグルマップ・肉屋ますや(通洞駅前)

この店の昔ながらのコロッケが、通なわたらせ渓谷鐵道ファンの間で有名だ。
国鉄時代の駅職員も、お世話になったと言われている老舗である。
名物の手作りコロッケ(税込90円)をふたつ注文すると、
「列車が来るまで、上がって食べて行きなさい。」と、声をかけて頂いたが、
列車の時間が迫っており、気持ちだけ感謝して、御礼を伝えた。

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(地元の肉屋「ますや」。地元住民も、良く立ち寄っている。)

紙包みを開けて、食べてみると・・・扁平な形で、少し歯応えのある昔の昭和風コロッケである。
今風のコロッケの様に甘過ぎず、ラードのコクと芋の味がしっかりとしている。
丁度、小腹が空いていたので、量も良い感じだ。

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(名物の手作りコロッケ。1枚90円。ソース無しでも、結構旨い。)

通洞駅に戻り、列車が来るまで、駅長氏と町やわたらせ渓谷鐵道の最近の様子を雑談する。
折角なので、硬券入場券とタブレットクッキー(190円)を、訪問記念に購入しよう。
このクッキーは、タブレット時代の通票を模ったもので、
地元の公共交通利用促進団体が作っており、代金の40円分が枕木代として寄付される。
また、このラベルを100枚分送ると、枕木に自分の名前プレートを付けてくれるそうだ。
入場券も必要はないが、全額が鉄道会社の利益分になるので、
鉄道ファンとしてのカンパみたいな一面もある。

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(通洞駅の普通硬券入場券。※再撮影・画像差し替え済み。)
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(タブレットクッキー。※撮影は帰宅後。)





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【乗車経路】
通洞1540======原向======1555沢入
下り724D列車・桐生行き(わ89形315「わたらせIII号」単行)
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わ89形315「わたらせIII号」単行の上り桐生行き列車が、定刻にやって来る。
ふたつ先の最後の訪問予定駅である、沢入駅(そうり-)に向かおう。

駅長氏に、「また来ます。」と会釈して、乗車する。
15時40分、低いエンジン音が唸り直ぐに発車、この鉱都足尾とも、お別れになる。
長い下り勾配を、抑速ブレーキをグイングインと利かせながら、時速40km位で軽快に下って行く。
途中の原向駅に停まり、渡良瀬川の渓谷部と難所の坂東カーブを通過して行く。

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(通洞駅発車直後、盛り土部からの足尾の町並みを望む。)

通洞駅から15分程で、草木ダムの北端にある、沢入駅に到着する。
自分ひとりだけが下車をすると、直ぐに発車となり、
少し傾いた春の陽射しの中、紫煙を上げ力走する姿に急に旅情を誘われる。

上りの桐生方は、片渡りスプリングポイントでレールが纏まった後、
右に急カーブして、緩い勾配を少し上り、その先の支流の鉄橋と新線の沢入トンネルに入る。
構内には、広いスペースと保線小屋が建ち並び、職員用の構内踏切もあるので、
国鉄時代の足尾線北部の保線拠点だったのだろう。

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(沢入駅を後にする、上り桐生行き列車。)

列車の音も遠くなり、静かな山里の駅に戻る・・・
この沢入駅は、開業当時からの古駅で、大正元年(1912年)12月開業になる。
起点の桐生駅から33.4km地点、12駅目、所要時間約1時間10分、
群馬県みどり市東町沢入(あずままちそうり)、標高461mの終日無人駅である。
草木ダムが出来た為、ダム湖北端の無人の小駅になっているが、
ダム湖が出来る以前は、銅や物資輸送の中継地点として、活気があったそうだ。

南北に配された、ズレの少ない千鳥式二面二線の列車交換可能駅で、
国鉄時代のものらしい鋼鉄製大型跨線橋が、桐生方に設置されている。
なお、駅は渡良瀬川沿いにあり、西側の高い崖下に川が流れている。

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(桐生方から、沢入駅全景。)

駅舎は老朽化の為、木造ログハウス風に建て替えられ、簡易郵便局が併設されている。
駅前には、沢入公民館と車が数台停められる駅前広場、公衆トイレとバス停がある。
バス停の時刻表を見ると、隣の神戸駅行きが、朝夕の二本だけある様だ。

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(ログハウス風の沢入駅舎。郵便局は、平日の9時から15時までの開局との事。)

上りホームの駅名標は、第三セクター移管後に建てられた新しいものと、国鉄時代のものが残っている。
なお、平仮名表記は、現在の「そうり」ではなく、国鉄時代の仮名遣いの「そおり」になっている。
隣駅の神戸駅(ごうど-)の部分が書き換えられているが、草木ダムの完成で水没し、
廃駅となった草木駅を書き直した跡である。

また、この駅名標の後ろは、かつては、貨物側線があったそうだ。
側線のレールは既に取り外されており、資材置き場や駐車場になっている。

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(国鉄時代の古い建て植え式の「そおり」駅名標。)

間藤方は、県道の踏切を通過すると、直ぐに渓谷に入って行く。
坂東カーブは約1.8km先にあり、その先の笠松トンネルで、群馬県と栃木県の県境を越える。

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(間藤方。)

この沢入駅では、古い対面式ホームと待合所が、国登録有形文化財に指定されている。
ホーム上の待合所は、取り壊されてしまう事が多く、全国的にも少なくなってきている。

ホームは、760mm客車ホームよりも低い、開業当時の高さ690mmホームのままである。
上りホームは全長79m、下りホームは99mあり、3-4両編成まで対応出来る様だ。
擁壁は、不定形の割り石を積み上げたもので、風情のあるホームになっている。

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(間藤方から、ホームを望む。)

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐵道沢入駅上り線・下り線プラットフォーム」
所在地群馬県みどり市東町沢入甲962-1、962-2他
登録日平成21年(2009年)11月2日
年代大正元年(1912年)竣工
構造形式【上り線プラットホーム】石造、延長79m。
【下り線プラットフォーム】石造、延長99m。
特記両端を斜路状に築いた石造構造物。線路側の擁壁は練積、
軌道敷から高さ69㎝で、当初の姿を残す。
(文化庁文化遺産データベースを参照・編集。)

駅舎側の上りホーム間藤寄りにある待合所は、昭和4年(1929年)に建てられたもので、
屋内に残っている財産標も、昭和4年登録になっている。

四方に大きな格子窓が嵌め込まれており、グラッシーな雰囲気である。
出入り口は中央一箇所の引き戸で、無垢の木造ロングベンチが設置されている。
天井は無く、屋根裏や梁が剥き出しのままになっている、質素な造りだ。

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(上りホーム待合所。標準的な国鉄ローカル線向け待合所である。)
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(懐かしい半円形の「くずもの入れ(ごみ箱)」も残っていた。)

渡良瀬川側の下りホーム中央付近にある待合所は、
上り待合所よりも早い、昭和2年(1927年)の建築だ。
上りホーム待合所は、駅舎がある為に後に建てられたらしいが、間口や意匠の違いは殆ど無い。

こちらの方が古いが、軒下の国鉄時代の建物財産標は、「待合所2号」となっている。
軒下の木札にも、「乗降場待合所・停第二号」と記されており、上り下りの関係だろう。

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(下りホーム待合所と建物財産標。
   昭和4年の刻印だが、上り待合所が造られた時に、取り付けられたのだろう。)

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鉄道沢入駅上り線ホーム・下り線ホーム待合所」
所在地群馬県みどり市東町沢入甲962-1、962-2他
登録日平成21年(2009年)11月2日
年代【上り線側】昭和4年(1929年)竣工
【下り線側】昭和2年(1927年)竣工
構造形式共に、木造平屋建、瓦葺、建築面積9.9m²。
特記中央に桁行5.5m、梁間1.8m、木造平屋建、
切妻造セメント瓦葺の待合所を設ける。
側中央間を出入口とし、その他は腰板壁で、各間に引違いガラス戸をたて、
明るく開放的な造りとする。天井を張らず小屋組を見せる。
(文化庁文化遺産データベースを参照・編集。)

渡良瀬川側には、「ふれあいパーク」と言う遊歩道が整備され、紫陽花の見所になっている。
毎年7月中旬には、2,300株の紫陽花が咲き、「あじさい祭」が開催され、
模擬店やライトアップもされる程、人気があるとの事。
また、標高が高い為、遅咲きの桜並木もあり、神戸駅と同様に花の駅になっている。

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(沢入駅ふれあいパーク。平成20年7月に整備されたらしい。)
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(間藤方にある木造小屋。待合所と同じデザインになっており、鉄道宿舎か保線小屋だろう。)

暫く、見学撮影をしていると・・・
16時19分発の下り723D列車・間藤行き「わ89形101・こうしん号」が、待合所の前に停まる。
この古い待合所と銅色(あかがねいろ)のレールバスも、中々、似合っている。

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(こうしん号と下りホーム待合所。)



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【参考資料】
群馬駅ぶらり旅「わ鐵沢入駅」(みどり市公式HP)

2016年1月14日再編集
2016年12月16日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)
2017年4月30日文章加筆・校正

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category: わたらせ渓谷鐵道2日目 15話

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