hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【234】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鉄道(42)足尾駅[その1]駅舎本屋とプラットホーム。  




古河掛水倶楽部の正門を出て、県道を左に少し歩くと、足尾駅に到着する。
県道から小坂を上がった山際に、大きな駅前広場と駅前商店が一軒だけある、
懐かしいローカル駅の雰囲気になっている。

なお、終点の間藤駅では、日光方面行きバスが連絡しているが、
この足尾駅や通洞駅(つうどう-)まで運行されているので、接続乗り換えも出来る。

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(足尾駅前。)

駅前萬屋(よろずや)の北村商店は、野菜や食料品等の他、コロッケ等の揚げ物惣菜も扱っている。
周辺には、コンビニエンスストア等の商店が殆ど無いので、
飲料調達や列車待ちの空腹時にとても助かる。
実は、わ鐵を良く訪れる鉄道ファンには、良く知られている店である。


(駅前の北村商店。)

この足尾駅は、今では、足尾町中心部の外れにある感じだが、
古河掛水倶楽部に鉱山会社の本社が置かれ、馬車軽便鉄道の拠点地でもあったので、
開業当時は、現在の通洞駅(つうどう-)以上に賑わっていたのだろう。
正真正銘の足尾銅山の玄関駅としての貫禄を、今でも感じる。

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(足尾駅。)

この駅は、大正元年(1912年)12月開業、起点の桐生駅から42.8km地点、15駅目、
所要時間約1時間30分、所在地は栃木県日光市足尾町掛水、標高638mにある。
二棟並んだ開業当時からの木造駅舎に、駅舎側単式ホームと島式ホームが対になる二面二線の配置で、
構内西側の貨物側線や鉄道関連木造建物が数多く残り、
わたらせ渓谷鉄道の駅の中でも、開業当時の雰囲気が一番残っている駅になっている。

先ずは、正面出入口から、駅舎本屋に入ってみよう。
二棟の建物が並んで隣接し、ひとつの大きな木造駅舎になっているのが珍しい。
待合室や改札口があるのは、向かって右の北側にある屋根の低い建物になる。

木枠装飾がされた出入口を潜ると、待合室は大変広い。
わたらせ渓谷鐵道の本社駅である、大間々駅と同じ位の広さがある様だ。
国鉄風プラスチックベンチが中央に置かれ、出札口と鉄道手小荷物窓口跡も、そのまま残っている。
また、長い木製の壁据付ベンチも、東側の間藤方にある。

なお、有人駅であるが、平日朝の通勤通学時間帯だけなので、大半の時間帯は無人になっている。
春・夏・秋は8時から9時40分まで、12月1日から3月19日の間は火曜日のみの営業(同時間)となり、
硬券切符の発券もあるが、大変入手し難い駅である。
駅舎内は綺麗な状態を保っており、まめな手入れや、地元住民が定期清掃をしているのだろう。


(鉄道手小荷物窓口跡はカウンター越しではなく、引き戸がある。取扱量が多かったのであろう。)

駅時刻表を見ると、上下列車共に1時間に1本程度であるが、無い時間帯もある。
ディーゼル機関車牽引の「トロッコわたらせ渓谷号」は、この駅が終点となっている。
なお、上り桐生行き最終列車は19時49分発と早く、下り間藤行きは21時16分発が最後である。


(駅時刻表。)

駅出入口の直線先に、鉄パイプ製のコの字型の改札口がある。
床をコンクリートで埋めた跡があり、元の木製ラッチを交換したのであろう。


(丸パイプの改札口。)

ホームに出てみよう。
改札横に駅事務室があり、ホーム確認用の出窓もある、標準的な国鉄ローカル線の駅舎になっている。
改札前の切り欠け式構内踏切も、幅員のある大きなタイプだ。

備前楯山を背に、渡良瀬川側の南東に面して駅舎が建ち、上り桐生行き単式ホームが隣接し、
向かいの島式ホームが下り間藤方面になる。
島式ホームの3番線は、早朝の足尾発間藤行き区間運転列車の夜間滞泊に使われている。
なお、夜間滞泊する二本の列車は、間藤発の上り桐生行き1番列車と2番列車になる。

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(駅事務室と出窓。壁の駅名標も、昔ながらの紺色だ。)
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(構内踏切。)

上下線ホームは、嵩上げされていない、高さ760mmの客車ホームが、完全な形で残っている。
ローカル線の列車交換出来る主要駅では、近代化やバリアフリー化の為、
完全に残る駅は大変少なくなっている。
また、旅客を取り扱うホーム部分よりも、貨物側線のスペースが大きく、
貨物取り扱いの方が重要だったのだろう。

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(桐生寄りから、足尾駅ホーム全景。)

間藤方を望むと・・・大きく左にカーブしながら、片渡りスプリングポイントで、線路が纏まる。
時速20km制限となっており、脇に転轍機小屋も残っている。


(上り1番線ホーム端から、間藤方。)
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(間藤方のスプリングポイント。)

桐生方は、広く開けており、幾つかの木造建物が山側に並んでいる。
留置線からの線路は分断されており、本線と副本線のみが、単線の本線に繋がっている。
なお、ホームの線路は、上りが本線、下りが副本線の一線スルー配置になっている。

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(1番線から、桐生方。)

駅舎の旅客上屋周辺を見てみよう。
二棟の駅舎が隣接しており、屋根の構造・高さや傾斜角が違う為、東西で構造が異なっている。
屋根の広さに対して、柱が少なく、太さも華奢で、ホーム幅が広いのが特徴だ。

駅舎からの出庇状になっている為、ホーム縁に旅客上屋が掛かっていない。
また、下り島式ホーム上には、旅客上屋や待合所は設けられていない。

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(駅舎側上り1番線ホームと旅客上屋。)

南端の桐生方には、転轍機操作てこ扱い所跡のスペースがある。
ドラムやワイヤーを通した部分は、コンクリートで埋められている様だ。


(転轍機操作てこ扱い所跡。)

駅事務所棟として使われていた、西側駅舎のホーム側外壁に、
クッション付きの大変古い木造ベンチと吊り広告付灰皿スタンドが、ポツンと置かれている。
吊り広告部分はもう無いが、国鉄時代に良く見かけたタイプで、大変懐かしい。
水皿下のコケシの様なシェイプが、昭和時代を感じさせる。


(古い木造ベンチと、こけし型の灰皿スタンド。)

暫くの間、ホームの見学と撮影をしていると・・・
上り720D列車・桐生行きの「わ89形101・こうしん号」が、終点の間藤駅から、折り返して来た。
列車交換は無いが、3分間停車し、運転士や同乗する保線係が、少しばかりの休憩を取っている。

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(発車を待つ、わ89形101「こうしん号」。)

穏やかな春風と共に、静かで、のんびりとしたローカル線の時が流れている・・・。

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鉄道足尾駅本屋とプラットホーム」
所在地栃木県日光市足尾町掛水字上掛水2316番地
登録日平成21年(2009年)11月2日
年代[本屋・上り線ホーム]大正元年(1912年)、昭和13年(1938年)改修。
[下り線ホーム]大正元年(1912年)
構造形式[駅舎本屋]木造平屋建、コンクリート製瓦葺、建築面積209m²。
[上り線ホーム]石造、延長109m。[下り線ホーム]石造、延長109m。
特記[駅舎本屋・上り線ホーム]
駅舎本屋は桁行20m、梁間6.4m、木造平屋建、
外装下見板張及び真壁造とし、東半を待合室、西半を駅事務室にし、
本屋北側に109m長のプラットホームを設ける。
足尾鉱業所の中心地に所在し、沿線で最大級規模の駅舎。
[下り線ホーム]
本屋の北西に位置する。南面を三段の間知石布積とし、
東西の各端部4.3m部分を斜路状(スロープ状)に築いた
延長109mのプラットホーム。
表面に砂利舗装を残すなど創設時の姿を留める。駅を構成する要素のひとつの
プラットホームが当時のままに残るなど、往時の繁栄が偲ばれる
(文化庁文化遺産データベースを参照・編集。)



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2015年12月5日再編集
2016年12月14日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: わたらせ渓谷鐵道2日目 15話

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