hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【230】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐡道(38)終点・間藤駅  




時刻は8時半前。わたらせ渓谷鐵道終点の間藤駅(まとう-)に、無事到着する。
渡良瀬川支流の松木川の南北に伸びる、やや狭い谷間に駅があり、
高さ100mもあろうかと思われる、切り立った崖の真下にある。

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(建て植え式駅名標と、わ89形101「こうしん号」。)

足尾鐡道が開通した、大正元年(1912年)12月に開業し、
起点の桐生駅から16駅目、44.1km地点、所要時間約1時間30分、標高669mの終日無人駅であり、
所在地は栃木県日光市足尾町下間藤になる。駅の東側は、大きな崖なので、午前中の日当たりが悪い。

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(間藤駅に到着した列車。駅舎屋根上の時計タワーが面白い。)

20パーミル前後の急勾配の途中に設置された、幅2m程のコンクリートパネル単式ホームの棒線駅で、
側線やポイント(分岐器)はない。
国鉄時代に造られたホームの長さは、100m以上もあり、長大貨物列車対応の為だろう。
なお、国鉄末期の旅客列車は、気動車2両編成で運行されていた。


(桐生方と長いホーム。)

桐生方のホーム南寄りには、平成24年(2012年)から、「軽食もしかし亭」がオープンしている。
コーヒー、うどん、おむすび、大学芋、味噌じゃが、味噌こんにゃく等の軽食が食べられ、
列車内への持ち帰りも可能だそうだ。

近年、テレビや雑誌等で良く紹介される様になり、一般観光客や女性客も増えている様子で、
この駅まで来て、そのまま折り返す乗客も多い。
人が来れば、地元活性化と雇用創出にもなり、駅周辺に飲食店も無いので、大変助かる所だ。
(11時から16時30分まで営業、定休日は不明。)


(軽食もしかし亭。※2012年夏の追加訪問時に撮影。)

反対側のホームの北端は、わたらせ渓谷鐵道の終末部車止めになっている。
この先も、足尾本山駅までの貨物線が延びているが、現在は廃線となっている。

線路脇の26.7パーミルの勾配標は、国鉄時代からの名残である。
この勾配標のペンキだけが、塗り直されているのが、この先にまだ行けそうな感覚にさせる。


(わたらせ渓谷鐵道終末部と勾配標。)

また、20パーミルを超える急勾配の途中に設置された駅だった為、
かつては、行き止まりの線路に、駅舎側単式ホームと側線、スイッチバックが設置されていた。

開業当初から、旅客列車はこの駅までの運行であったが、
貨物駅の足尾本山駅行き下り貨物列車は、スイッチバックをして、更に北上していた。
しかし、昭和45年(1970年)の動力近代化(※)により、スイッチバック設備は廃止され、
足尾本山駅へ向かう本線脇に現在のホームが移設されている。
因みに、昭和62年(1987年)まで、貨物列車が運行されていた。

なお、現駅舎とその北側付近が、元々の旅客ホームと駅構内だったそうだ。
駅舎に面した単式ホームと、その奥に引き込み配置の貨物側線、ホーム向かいに側線が1本、
足尾本山への線路は一段高い築堤上にあった。
スイッチバック配置は、X(エックス)型で、一度、行き止まりの駅ホームに入り、
ホームから桐生方の引き上げ線にバックし、引き上げ線から、足尾本山方への本線へ入って行った。


(桐生方のスイッチバック引き上げ線跡。小さな築堤と道床がある。)

ホーム中程の植え込みの中を良く見ると、開業当初のホームの縁石を見る事が出来る。
今よりも、ホームが西に寄っていた事が判る。
また、駅舎近くの建て植え式駅名標は、開業当時の旧ホーム上にあるらしい。


(旧ホームのスロープ部。後ろの直角に配されたコンクリート壁は、埋め立て時の土留めらしい。)

(旧ホームと現在のホームの間は埋め立てられていて、植栽や花壇になっている。
   その中に旧ホーム端の石材が一列に並んでいる。※共に、今春の追加取材時の午後に撮影。)



ホーム中央には、ログハウス風の見晴台と公衆トイレがある。
この深い谷間の見晴台に登っても、景色は特段に良くないが、
この駅に訪問したら、登るのがお約束だ。

駅の西側には、古川金属グループの鋳物製造会社・古川キャステック間藤工場があり、
その背後にゴツゴツとした岩山が迫っている。
これが、足尾銅山こと、備前楯山(びぜんたてやま/標高1272.4m)である。
非常に大きな山で、ここから見えるのは、その東側山麓の一部になるそうだ。
また、雪を頂いた日光連山も遠くに見え、あの山々の向こうには、有名な中禅寺湖がある。

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(見晴台からの備前楯山。植生が少ないので、迫力がある。)
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(見晴台からの日光連山と古河キャステック間藤工場。)



ホーム北に戻り、駅舎本屋を見てみよう。
ホーム北端にある駅舎は、アルプス山小屋風に建て替えられており、近代的になっている。
国鉄時代の最盛期には、20人近い駅員が勤務していたそうだが、現在は終日無人になっている。


(時計台がある駅舎。)

アルミサッシの引き戸を開けると、大きな待合室があり、地元のコミュニティ施設も併設している。
また、有名鉄道紀行作家の宮脇俊三氏が、著書「時刻表2万キロ」の国鉄全線完乗を達成した、
記念すべき駅でもあり、原稿の一部や資料が展示されている。


(待合室。)

宮脇氏が、この間藤駅に到着したのは、今から35年前の昭和52年(1977年)5月28日。
国鉄足尾線の足尾発14時21分、間藤着14時25分の区間運転列車が、最終だったそうだ。
宮脇氏の影響を受けた、鉄道旅行派の鉄道ファンも大変多く、非常に感慨深い。
なお、残念ながら、平成15年(2003年)に他界している。



(宮脇氏の展示資料。※夏の追加取材時に撮影。)

駅時刻表と運賃表を見ると、1日の始発列車数は12本で、大凡、1時間に1本になっている。
桐生駅からの普通運賃は、大人片道1,080円なので、間藤までの往復乗車ならば、
1日フリーきっぷ(1,800円)は、かなりお得になっている。
なお、折り返しの21時24分発足尾行きが、最終列車になっており、ひと駅だけの区間運行である。


(駅時刻表と運賃表。)

この駅のシンボルである、カモシカの大きなステンドグラスも立派だ。
この付近では、天然記念物のニホンカモシカが、生息しているそうだ。


(ニホンカモシカのステンドグラス。※2013年夏の追加取材時に撮影。)

駅前には、日光・中禅寺湖方面に接続をしている、路線バスの停留所がある。
週末や夏秋のハイシーズンには、日光方面への接続駅として、一般観光客も多く利用する。


(県道からの間藤駅。)

間藤駅からの上り列車に乗らず、ここで、下車観光をしよう。
更に、松木川上流の足尾本山周辺を散策する。



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(※動力近代化)
蒸気機関車を廃止し、電気機関車、ディーゼル機関車、電車や気動車にする事。
扱いが簡単で、蒸気機関車よりもパワーもあり、スイッチバックの必要も少なくなった。

2016年1月12日再編集
2016年12月12日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: わたらせ渓谷鐵道2日目 15話

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