hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【220】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐡道(28)大間々駅下車観光[その3]間々から、町並みを望む。  




岡直三郎商店の醤油工場見学を終え、国道西側にある、河岸段丘の方に行ってみよう。
なお、現在の国道122号線こと、本町通りにあった常夜灯は、合計三基が里帰りしている。
残りの二基は、岡直三郎商店の向かいと、その南の交差点脇にある。

岡直三郎商店向かいの四丁目常夜灯【青色マーカー】は、
江戸時代後期の文化9年(1812年)設置のもので、「四丁目」も右横書きになっている。


(四丁目常夜灯。)

その南の交差点脇にある、五丁目常夜灯【赤色マーカー】は、
江戸時代後期の文化10年(1813年)設置のものだそうだ。

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(五丁目常夜灯。)

五丁目常夜灯の交差点向かいには、造り酒屋の近藤酒造【酒マーカー】がある。
明治8年(1875年)、近藤玉吉氏が越後から大間々にやって来て、創業したそうで、
元々は、蔵働人(酒造働人)の出稼ぎ酒造店(※)として、スタートしたそうだ。
近藤酒造公式HP


(近藤酒造。)

代表銘酒は、大間々駅ホーム吊り下げ駅名標の広告にもなっている、「赤城山」である。
端麗、辛口、すっきりとした飲み心地の男性風の日本酒だそうで、
南部杜氏(なんぶとうじ※)の伝統技法を用いた酒造りを継承し、
全国新酒鑑評会において、連続受賞する程の出来栄えになっている。


(裏の工場入口の大看板。)

なお、江戸時代の酒造は、幕府の酒株制度による免許制であり、
各藩の城下町で発達し、後には、地方町や農村にも造り酒屋が発達した。
明治時代になると、酒株制度は廃止され、新規参入が多くなっていった。



大間々町役場(現・みどり市役所大間々庁舎)前を通る、
役場前大通りの「まま通り」を、西に歩いて行くと・・・
町を南北に縦断する、大間々の河岸段丘【カメラマーカー】がある。
ビル五階建て相当の大きな段丘で、段上には、大間々高校や中学校がある。
この崖こそが、地名由来になっている、「まま(間々/河岸段丘の事)」である。

45度程ある斜面は、階段と植生が整備されているので、登る事が出来る。
ここからは、大間々の街並みを西から見渡せる、ちょっとした展望地になっている。
岡直三郎商店の煉瓦煙突も良く見え、向こうの山並みは、高津戸城があった要害山になる。

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(間々からの大間々の町並み。下は、市役所の駐車場になっている。)
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(岡直三郎商店の仕込み蔵とレンガ煙突。※光学ズームで撮影。)

間々を降り、岡直三郎商店の裏手【工場マーカー】に行ってみよう。
本町通り(国道)側からは見えない、古い仕込み蔵の全景を見る事が出来る。
大きな仕込み蔵が、南北に三列、敷地いっぱいに連なっている。
木桶を置いてから、蔵を建てたそうなので、古いものは明治時代の建物になる。


(岡直三郎商店の醤油仕込み蔵。)

一番南側にある重厚な仕込み蔵は、屋根部分が厚く、煙出し風の屋根上窓がある。
屋根の傾斜も急で、重そうな瓦屋根が美しい。


(屋根上窓のある仕込み蔵。)

岡直三郎商店には、三本の煉瓦煙突があり、中央の角錐形煙突が一番高い。
デザインも一本毎に違い、この大間々町のシンボルにもなっている。
他、奥村酒造の煉瓦煙突や、近藤酒造のコンクリート製煙突もある。


(仕込み蔵と煉瓦煙突。)

市役所の駐車場の一角には、大谷石の古い石蔵【黄色マーカー】もある。
マンホール蓋等が置いてあり、今でも、みどり市の倉庫として使われている様だ。


(市役所駐車場の古い石蔵。鉄扉が取り付けられている。)



そのまま、コノドント館の裏手【汽車マーカー】に、歩いて行く。
コノドント館の駐車場には、何故か、腕木式信号機とトロッコが・・・
説明板等が無く、由来は不明であるが、国鉄足尾線のものと思われる。

レール上に小さなトロッコが置かれており、前後方向の木製緩衝器(バンパー)がある。
台縁に金枠が取り付けられており、製造年や形式は判らない。
また、腕木式信号機、転轍機操作てこや鉄道電話箱も保存されている。


(コノドント館駐車場一角の鉄道保存施設。)

(かなり古いトロッコ。)

このコノドント館駐車場からは、隣の奥村酒造の煉瓦煙突と酒蔵も見る事が出来る。
岡直三郎商店とは、また違う造りで、興味深い。


(奥村酒造の酒蔵と煉瓦煙突。※現在、廃業の為に取り壊された模様。)



岡直三郎商店の北側の壁際には、白壁小路【水道マーカー】と言う、小さな路地がある(※)。
駅への近道になっているので、通ってみよう。

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(裏通り側から。地面は土のままである。)

(本通り側から。この岡直三郎商店の土蔵の白壁が、小路の由来だ。)

幅1.5m程の土のままの真っ直ぐな小路が、蔵に沿って続いており、
その途中に、「三方良しの井戸」がある。

昔、地域の生活用水として、岡直三郎商店が作った井戸で、
周辺の住人が井戸組合を作り、無料で開放されている。
この井戸水で、お金を洗うと、三方良しのご利益が付くとの言い伝えがあるそうだ。
大間々にやって来た、近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」と言う、
三方良しの心意気を伝えるものである。


(三方良しの井戸。)

三方良しの井戸の向かいには、なんと、銭湯「千代乃湯」がある。
煙突も細く、懐かしい昭和下町銭湯の様な風情が堪らない。
創業は100年を超えるそうで、男湯の湯船絵は、東京芸術大学の学生が描いたそうだ。
地元の人しか知らない界隈に、ひっそりとある小銭湯で、旅の途中のひと風呂も良いかも。

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(銭湯千代の湯。内装も、昭和のままらしいので、古い銭湯好きには必見との事。)

時刻は15時半を過ぎた所だ。一旦、大間々駅に戻る事にしよう。
駅と国道を結ぶ停車場通りには、古い洋風建築の民家もあった。


(停車場通りから、大間々駅を望む。)



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(※出稼ぎ酒造所)
昔、冬の酒の仕込みの時期には、出稼ぎの蔵働人が、住み込みで来ていた。
灘(なだ/兵庫県尼崎市)、丹波(京都府中部・兵庫県北東部)、丹後(京都府北部)、
南部(青森県南部・岩手県北部)からの出稼ぎが有名。
(※南部杜氏/なんぶとうじ)
岩手県石鳥谷(いしどりや)町を拠点とする、日本酒を造る酒造技術者集団。
日本最大の杜氏組合を有し、国内を代表する杜氏集団である。
(※白壁小路)
平成23年12月に、岡直三郎商店の古い醤油木樽を再利用し、木道が整備された。
手動ポンプも、井戸の揚水が出来る様になった。

2016年1月14日再編集
2016年12月10日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: わたらせ渓谷鐵道1日目 29話

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