hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【217】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐡道(25)車両紹介[後半の部]新型気動車とトロッコ列車。  


【WKT-500形/WKT-501「けさまる号」・1両のみ】

平成23年(2011年)導入、新潟トランシス製軽快気動車NDC、
18m級車体、自重32.0t、330馬力エンジン、定員119名、ロングシート、トイレなし。

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(WKT-501。)

わ89形の老朽化により、順次更新される計画によって、17年ぶりに導入された新型気動車。
今までの、わたらせ渓谷鐡道の気動車イメージを覆す程のお洒落さである。
オリジナルカラーの銅色をベースに、窓周りはクリーム色のツートン塗色になり、
窓下に金帯を装飾した、高級感のあるデザインになっている。
また、車体側面のイノシシのシャドーイラストの他、
Wataraseの英語ロゴとカエデの葉も描かれ、車体正面にも描かれている。

オールロングシートの車内は、シックなシートと床面、木目調の内装で明るく、
電車と部品を共通化しているので、今までの気動車とは雰囲気が全く違い、電車に近い印象がある。
なお、トイレ設置されていない。


(WKT-501の車内。左側向こうのシートを隔てる大きな柱は、ディーゼルエンジンの排気管。)

(WKT-501のシート。細かなモザイク状の模様は、沿線名物の紅葉を模している。)

乗降扉は大型の片開き引き戸式で、従来よりもステップが更に低くなり、
駅ホームに対しても、平行になっている。
また、わ89形は、左右の扉位置がずれていたが、電車の様に揃う様になっている。
扉横上の2号車の表示は、トロッコ併結時、間藤方がトロッコ気動車の1号車になる為である。

なお、ローカル線用気動車は、単行運行が基本である為に床下機器が多く、
大きなディーゼルエンジンエンジンも搭載しなければならない。
蒸気機関車時代の高さ760mm客車ホームや、気動車導入路線の一般的な920mmホームを、
嵩上げしないでの車内床面の完全フラット化は難しい。
しかし、技術革新により、ステップはかなり低くなっている。


(WKT-501の乗降扉。)

WKT-501のディーゼルエンジンは、最大出力330馬力のみの公式発表であり、
メーカーや主な諸元(しょげん/仕様)が公表されていない。
しかし、新潟トランシス製の新型軽快気動車NDCに搭載される標準エンジンである、
新潟原動機・DMF13HZ・排気量12,700c.c.・インタークラー付きターボ・
燃料直噴式・直列6気筒横置きエンジンと思われる。
わ89形のドッドッドッとワイルドな印象のある、水平対向エンジンの音よりも、
きめが細かく、シャカシャカとした高速で軽快な音に変わっている。


(WKT-501のエンジン部。)

屋根上の冷房装置は、薄型タイプを2基搭載している。
同社製(元・新潟鐵工所)のJR東日本キハ110系に似ており、角型蓋タイプの通風器三基の他、
信号炎管、列車無線アンテナ、カバー付き空気式汽笛を、運転室屋根上に装備する。
また、より大音量で鳴る、電車用タイフォンも併装している。


(WKT-501の屋根上部。)

運転台も電車風であり、気動車らしくないのが特徴だ。
列車制御系はTICS(ティクス)と言うシステムでデジタル化され、コンピューターでサポートされる。
運転席前に大きなタッチパネル式液晶画面があり、車両全体の制御状況を表示したり、
車内照明や冷房等をコントロールする事が出来る。

運転士のマスコン(主幹制御器)やブレーキハンドルの操作は、直接駆動式ではなく、
コンピューターで認識され、電気的信号に変換されて各機器に伝達される。
液体変速機の変速段・直結段切り替えも、コンピューターが自動で行こなうので、
従来よりもスムースで、きめ細かな制御と経済的な運転が可能になっているとの事。
なお、常用ブレーキは、電車と同じ電気指令式空気ブレーキであり、
従来のSME三管式直通空気ブレーキ採用の「わ89形」と併結は出来ない。


(密閉タイプの運転室で、扉下部は料金箱を引き込んで塞ぐ。)

運転台の前後操作型のハンドルは、左はマスコン(マスターコントローラー/主幹制御器)、
右がブレーキになるのは、従来の気動車と同じ配置である。



この新型気動車は、群馬県、栃木県や沿線自治体の補助金で新製され、
車両費は1両1億円弱掛かっている。
この金額に驚くが、1両毎の製造の上、20-30年間使える高耐久性が必要である為で、
20年間運用した場合の車両費は、年間650万円程度になる。
なお、気動車の法定償却年数は、11年になっている(※)。

最初の1両目である為、トロッコ気動車の併結車(悪天候急変時等の安全避難用)として
使われているが、単行の普通列車としても、運行される時がある。
また、愛称の「けさまる号」と車体イラストのイノシシは、
廃車になった「わ89-202(わ89形200番台)」を受け継いだものである。
専用ヘッドマークはないが、乗降扉横に山のイラストと愛称名が塗装されている。

車体の塗装デザイン案は公募され、乗客の投票で決定されたそうだ。
なお、1年毎に1両を新製し、普通列車用の「わ89形」を更新する話もあり、
今後の新製車両も、この塗装デザインになる予定である。

車番愛称・由来導入年車体イラスト
WKT-501けさまる/間藤駅西方の袈裟丸山(1,961m)から
※廃車された「わ89-202」から、愛称を受け継ぐ。
平成23年イノシシと
カエデ(植物)


■トロッコ用車両■

2編成のトロッコ列車を所有し、全国の第三セクター鉄道会社の中でも、特に裕福な状況である。
近年のハイシーズン時は、以前から運行しているトロッコ列車が満席になる場合が多く、
対応しきれなくなった事や、将来の更新も踏まえて、平成24年春にトロッコ気動車を導入している。

【WKT-550形/WKT-551「わっしー号」・1両のみ】

平成24年(2012年)導入、新潟トランシス製軽快気動車NDC(トロッコ仕様)、
18m級車体、自重32.7t、定員52名、木製ベンチシート(クロスシート配置・テーブル付き)、
トイレあり(洋式バリアフリー・車椅子対応可能)、冷房なし、売店カウンターあり。

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(WKT-551。)

(WKT-551のエンジン部。)

トロッコ車両ながら、自走単行も出来る両運転台の気動車になっている。
銅色をベースカラーに、窓周りを赤と橙のストライプ、金帯付きとする派手な塗装であるが、
これも画期的だと思う。

メーカーやエンジン等の基本的な車両性能は、WKT-501「けさまる号」と同じで、
車内は従来のトロッコ客車に準じた木製ベンチを、クロスシート状に配している。
なお、WTK-501「けさまる号」を併結車(悪天候急変時等の安全避難用)にして、
2両編成で運行されている。
わたらせ渓谷鐡道公式HP内「わっしー号案内」(車内写真の紹介あり)

勿論、トロッコ仕様なので、側窓は全て開放されている。
随所のデザインの細かな工夫と最新の接客設備を持つ車両になっており、
わっしー号専用の大型円形ヘッドマークを掲げて、運行されている。


(WKT-551の特製トロッコわっしー号ヘッドマーク。)

冷房装置は無いので、とても平滑な屋根になっている。
両サイドには、細長い天窓が幾つもあり、採光と展望がより良くなっている。


(WKT-551の屋根上部。)

車内には、アテンダントの詰所を兼ねた売店カウンターも設置されており、
また、間藤方運転席横には、子供達が楽しめる様に模擬運転台が設置され、
速度計も動く仕様になっている。
これは、廃車された「わ89-202 けさまる号」の運転台を、再利用したものとの事。

第三セクター鉄道に納入されたトロッコ気動車としては、台風による被災で、
平成20年(2008年)に全線廃止になった、宮崎県の高千穂鉄道以来と思われる。
しかも、事実上のワンメイク車であり、中古気動車のトロッコ改造例はJRでもあるが、
新製は大変珍しい。車両価格は、約1億6千万円だそうだ。

また、冬季の12月から3月にかけては、脱着式の側窓ガラスを装着出来るそうで、
トロッコ列車ならぬ、ワイドビュー列車としても、運行出来る工夫がしてある。
客車のトロッコ列車は春から秋の運行だが、このトロッコ気動車は通年運行しており、
冷房は無いが、暖房は装備している。


(桃桜が競り咲く春盛りの神戸駅から、終点の間藤駅に向けて発車する、
   「トロッコわっしー1号」。神戸駅2番線ホームから、後追い撮影。)

車番愛称・由来導入年車体イラスト
WKT-551わっしー/オリジナルキャラクター名から平成24年カエデ(植物)


【わ99形5000番台/トロッコ客車・合計4両】

第三セクター転換後の平成4年(1992年)から、渡良瀬川の風光明媚な渓谷風景を売りに、
JR東日本からトロッコ車両を借り入れて、トロッコ列車を運行していた。
その後、JRの都合で、一時中止となったが、客車を平成10年(1998年)に自社購入して再開した。
なお、トロッコ客車は、動力を搭載していない為、ディーゼル機関車に牽引される。

編成は足尾方から、わ99-5010(WR1/座席車)+わ99-5020(トロッコ車)
+わ99-5070(トロッコ車)+わ99-5080(WR2/座席車)の4両編成になっている。
前後の座席車は、悪天候急変時等の安全退避用で、2両のトロッコ車両を挟む編成になっている。
「かわせみ」と「やませみ」の愛称があり、車体にイラスト入りのマークが描かれている。

足尾方の「わ99-5010(WR1/元・国鉄スハフ12-150)」と
「わ99-5020(元・京王デハ5020)」の乗降扉は全て撤去されたが、
戸締め表示灯が残っているのが、ユニークである。
なお、トロッコ車両への乗車は、前後の座席車との貫通路を使う。



上り桐生行き普通列車最後尾から撮影した、桐生方からの編成全景。
トロッコ車両は前後の座席車よりも、屋根の高さが低い。



全て中古車であり、座席車はJR東日本から譲渡された国鉄12系客車を、
オリジナルカラーの銅色と装飾金帯に塗装変更して、そのまま使っている。
また、この12系客車は、同形式の中でも最末期に製造された車両グループに当たり、
スハフ12-150こと、わ99-5010に冷暖房・サービス用ディーゼル発電機を搭載している。
なお、元の車番が床下機器に残っている。

トロッコ車両は、京王電鉄5000形電車を大改造したもので、
辛うじて、戸締め表示灯が車体側面上部に残る位であり、電車の面影は殆ど見られない。
冷房装置、パンタグラフや床下電装品の撤去、台車の交換、ブレーキシステムも、
座席車の12系客車と同じものに交換してある。

車番種車愛称特記
わ99-5010国鉄スハフ12-150かわせみ緩急車・床下発電機搭載
わ99-5020京王電鉄デハ5020かわせみ改造車両・乗降口なし
わ99-5070京王電鉄デハ5070やませみ改造車両・乗降口なし
わ99-5080国鉄スハフ12-151やませみ緩急車・大間々駅乗車口


[わ99-5010・5080の主な諸元]
元・国鉄12系客車(スハフ12-150・151)、緩急車、20m級車体、
昭和53年(1978年)製造、新潟鐵工所(現・新潟トランシス)、
冷房あり(集約分散式)、折戸式自動乗降扉、クロスシート、トイレあり。

[わ99-5020・5070の主な諸元]
元・京王電鉄5000形(デハ5020)・5050形(デハ5070)、
昭和45年(1975年)製造、日立製作所、京王重機改造(平成10年)、
自重15.0t、定員91名(わ99-5020)・94名(わ99-5070)、
木製ベンチシート(クロスシート配置・大型テーブル付き)、冷房なし、トイレなし、
飲料自動販売機あり(わ99-5020のみ)。

【DE10形ディーゼル機関車/1537号機・1678号機・合計2両】

1537号機は、平成10年(1998年)のトロッコ列車の自社運行開始時に、
JR東日本より譲渡された、国鉄DE10形ディーゼル機関車である。
なお、1678号機は予備車として、平成12年(2000年)に追加譲渡された。

川崎車両・昭和46年製造の1537号機は、トロッコ列車専用塗色の銅色に金帯を纏う。

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(神戸駅に到着した、春の臨時列車・花桃号を牽引する1537号機。)

日本車両・昭和49年製造の1678号機は、国鉄色のままになっている。


(通洞駅に停車中の下りトロッコわたらせ渓谷号・1678号機。)

[国鉄DE10-1500番台 主な諸元]
最高時速85km(高速側)/45km(低速側)、セミセンターキャブ(凸型車体)、
全長14.2m、全幅3.0m、全高4.0m、自重65.0t、AAA-B軸配置、軸重13.0t、
V型12気筒ディーゼルエンジン1基(DML61ZB 61,070c.c. 1,350馬力/1,550r.p.m.)。

これらのトロッコ列車は、わたらせ渓谷鉄道の看板観光列車として、大変人気がある。
近年、テレビ等のメディアに良く紹介され、一般観光客の間でも有名になり、
ハイシーズンのトロッコ乗車整理券(500円)の入手が困難な日もある。
全国の赤字ローカル線から転換した、第三セクター鉄道の中でも、
最も観光客誘致に成功していると言える。

なお、平成24年春からの運行が始まった「トロッコわっしー号」は、
両運転台がある気動車で、折り返し駅での機回しが不要である事から、
起点の桐生駅から終点の間藤駅までの全区間運転になっている。
しかし、国鉄DE10形ディーゼル機関車が牽引する、「トロッコわたらせ渓谷号」は、
始発駅と終点駅での機回しが必要の為、大間々駅から足尾駅の区間運転になっている。

◆わたらせ渓谷鐡道新型気動車・主要諸元(平成24年夏現在)◆

※転載や商用利用は厳禁。


WKT-500形WKT−550形
車両数1両1両
車番501551
発注会社わたらせ渓谷鐡道わたらせ渓谷鐡道
製造会社新潟トランシス新潟トランシス
導入年平成23年(2011年)平成24年(2012年)
車体構造鉄道用車両鉄道用車体(トロッコ気動車)
運転台両運転台・密閉タイプ
前面貫通扉あり
両運転台・密閉タイプ
前面貫通扉あり
全長18.5m18.5m
自重(空車時)32.0t32.7t
エンジン・最高出力330馬力/2,000r.p.m.(※)330馬力/2,000r.p.m.(※)
台車形式名不明・二軸駆動
軸距2,100mm 車輪径860mm
ボルスタレス空気バネ
形式名不明・二軸駆動
軸距2,100mm 車輪径860mm
ボルスタレス空気バネ
変速機形式名不明・直結二段式形式名不明・直結二段式
常用ブレーキ電気指令式ブレーキ(※)
抑速ブレーキ
電気指令式ブレーキ(※)
抑速ブレーキ
塗色銅色とベージュのツートン
窓下に金帯
ロゴ・シャドーイラスト付き
銅色に橙色と赤色の三色ストライプ
窓下に金帯
ロゴ・シャドーイラスト付き
座席・シート色ロングシート・茶色木製ベンチシート・木目仕上げ
(クロスシート配置・テーブル付き)
定員(立席含む)119名52名
冷房装置ありなし
車椅子対応
車内トイレなしあり
特記新潟トランシスNDC
TICS搭載
最高時速95km/h
新潟トランシスNDC
TICS搭載
側窓ガラスユニットを嵌め込むと、
冬季運転が可能で暖房装備。
雨除けカーテン装備
天窓と売店カウンター設備あり。

WKT-500形WKT−550形

(※)
新潟トランシスの新型気動車用ディーゼルエンジンは、新潟原動機製の330馬力と思われる。
新潟原動機のHPで紹介されている鉄道用ディーゼルエンジンで、
330馬力のエンジンは、DMF13HZ、12,700㏄横型直列6気筒、
インタークーラー付ターボディーゼルエンジン(330馬力/2,000rpm)が該当するが、
このエンジン形式が搭載されているかは未確認。
(追記・2両目のWKT-502に、DMF13HZを搭載している事が、メーカーHPに発表された。)
(※)
わ89形気動車とは、常用ブレーキ方式が違う為、併結は不可。



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在籍と車両データは、平成24年(2012年)夏時点になります。

(※鉄道車両の法定償却年数)
蒸気機関車と電気機関車は18年、電車は13年、気動車とディーゼル機関車は11年。
実際には、20〜30年位使っている。きちんとメンテナンスさえすれば、
蒸気機関車は100年間使え、実際に全国各地の復活蒸気機関車として活躍している。
なお、電車や気動車は、最長で40〜50年間程度。

2016年1月14日再編集
2016年12月9日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: わたらせ渓谷鐵道1日目 29話

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