hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【208】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐡道(16)上神梅駅[前編]ホーム見学  


花輪駅に戻って来た。時刻は正午前である。
待ち時間が少しあるので、農協販売所で購入したペットボトルの緑茶を飲みながら、
駅待合室のベンチで一服しよう。

待合室の掲示板には、色々と掲示してあり、経営が厳しいローカル第三セクター鉄道では、
色々と知恵を絞って、増収の企画を立てている。
これは、群馬特産の達磨を、わたらせ渓谷鐵道のイメージカラーで塗った、特製品らしい。

わたらせ渓谷鐡道沿線は、沿線は風光明媚な上に観光地も多く、
トロッコ列車も自社所有しているので、全国の第三セクターの中では、かなり幸運な環境と思う。
それでも、長年の赤字に悩まされているので、必死である。

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この「わ鐵だるま」は、高崎のだるま市で有名な群馬特産の達磨をオリジナルカラーで仕上げ、
鉄の車輪とレールの間に撒く、スリップ止めの砂が付いている。
「七転び八起き」の諺から、受験生向けのお守りとして販売しているとの事。





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【停車駅】◎→列車交換可能駅、★→登録有形文化財駅
花輪1218===水沼◎===本宿===1239上神梅★
上り718D列車・桐生行き(わ89-313「わたらせII号」単行)
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遠くからのエンジン音とレールの響きが徐々にしてくると、
花輪駅12時18分発の上り7187D列車・桐生行きがやって来る。
わ89形313「わたらせII号」単行に乗車し、この花輪の町とも、お別れになる。


(花輪駅に到着する、わ89形313「わたらせII号」。)

乗客は数人で、クロスシートに腰掛けると、昔ながらの窓テーブルが付いており、
パステル調の可愛らしいイラストが、描かれているのに目が止まる。
これは、「わたらせアートプロジェクト(WAP)」のアーティストグループによる作品で、
平成18年(2006年)から、わたらせ渓谷鐡道沿線を舞台に美術活動をしている。
30人以上の精鋭アーティストが、地道に活動しているそうだ。
わたらせアートプロジェクト公式HP



花輪駅を力強いエンジン音と共に発車した列車は、
ずっと、下り調子の線路を抑速ブレーキ(※)を利かせながら、時速40km位で走る。
列車には、若い女性アテンダントと制服姿の中年男性社員が乗務しており、
検札や車内販売を行なっている。どうやら、実務研修中の様だ。


(車窓の向こうに、花輪の町並みが見える。)

途中の水沼駅で、わ89形312「あかがねII号」の下り列車と交換をし、
本宿駅(もとじゅく-)を過ぎ、所要時間21分で、上神梅駅(かみかんばい-)に到着する。
この駅で下車してみよう。自分ひとりだけを降ろすと、列車は直ぐに発車して行く。

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(上神梅駅を発車する。)

この上神梅駅は、足尾鐡道が間藤駅まで開通した大正元年(1912年)12月開業で、
起点の桐生駅から5駅目、12.4km、所要時間は約25分、みどり市大間々町上神梅、
標高232mにある、終日無人駅になっている。
わたらせ渓谷鐡道に現存する木造駅舎のある駅の中でも、
開業当時の状態の最も良い駅舎が残り、勿論、国登録有形文化財に指定されている。


(駅名標と大型観光案内看板。)

現在は、上り南・下り北に配置された単式ホームと木造駅舎だけであるが、
国鉄時代末期までは、相対式二面二線の列車交換可能の有人駅だった。
なお、廃止された2番線ホームは、道路になっていて面影は全く無く、
駅の向かい側には、低層4階建ての市営神梅団地(かんばいだんち)が建っている。

ホームは、乗降部分のみ舗装されているが、
殆どが、砂利敷きの嵩上げの無い客車ホーム「760ホーム」で、長さは108mになっている。
擁壁は、間知石(けんちいし※)の割石積みで、四段積みのうち、二段が露出している。
中央部には、2番線への構内踏切跡が残っている。


(桐生方からホーム全景。)

北側の間藤方ホーム端に、行ってみよう。
廃止されたY字ポイントと2番線レールの一部が残り、赤錆びているのが、哀愁を誘う。

駅を出ると、直ぐに、長い勾配が始まる。
大間々から上神梅の区間も険しい地形だが、渡良瀬川の渓谷入口前の区間であり、
わたらせ渓谷鐡道の王道的風景は、この駅が玄関口だと言える。
また、左側に大きな無料駐車場があり、線路際の枝垂れ桜が、この駅の名物になっている。
駐車場は、かなり広いスペースなので、集積場等があったのだろう。


(間藤方。)

南側の桐生方は、警報機と遮断機のある踏切を越えると、左カーブして下って行く。
踏切右横には、地元高校生達が使う自転車置き場がある。
桐生方の貨物ホームや側線は、残っていない。
なお、隣駅の大間々駅までは、難所の「七曲り」と三つの短い有形文化財トンネルを越え、
駅間キロ5.1kmある沿線三番目の長区間になっている。

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(桐生方。)

この駅も、春の鉄道撮影地として、大変有名である。
駅舎南側の長い花壇には、菜の花が咲き、スロープ部や線路際にも、小さな花々が咲き乱れている。
地元のボランティアが手入れをしているそうで、訪問者を楽しませてくれる。


(ホーム柵に長く植えられた菜の花。)

(スロープ部の花もとても綺麗だ。)

(元・2番線にも、小さな花が植えられている。)

天気も上々、気温も大分上がって心地良く、時々、少し冷たく、乾いた風が通り抜ける。
とてもホッとする、春のひとときが過ぎて行く・・・。

◆国登録有形文化財リスト◆
「わたらせ渓谷鐡道上神梅駅(かみかんばいえき)本屋及びプラットホーム」
所在地群馬県みどり市大間々町上神梅193-2 他
登録日平成20年(2008年)7月8日
登録番号10-0264
年代大正元年(1912年)築/昭和5年(1930年)増築
構造形式[本屋]木造平屋建、鉄板葺、建築面積56㎡。
[プラットホーム]コンクリート造、延長108m。
特記足尾と桐生を結ぶ旧足尾鉄道の駅舎。桁行7間、南半を梁間3間の事務室、
北半を梁間2間の待合室とした木造平屋建で、
東・西・北面に1間幅の庇をめぐらす。
東方には、側面布積としたプラットホームを接続。
鉱業で繁栄した往時の姿を今に伝える。
(文化庁公式ページの国指定文化財等データベースを参照・編集。)



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(※抑速ブレーキ)
気動車では、ディーゼルエンジンや液体式変速機の回転抵抗を利用したブレーキ。
自動車のエンジンブレーキと同じである。専用のスイッチを操作して、作動させる場合が多い。
(※間知石/けんちいし)
6個並べると1間(1.8m)になる石材で、正面は平面だが、背後は角錐型になっている。

2016年1月14日再編集
2016年12月8日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: わたらせ渓谷鐵道1日目 29話

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