hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【195】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐵道(3)相老駅  


緩やかな半径400m程の右カーブに入ると、左側に東武線の線路が寄り添ってきて、
相老駅(あいおい-)に到着する。
この駅は東武鉄道桐生線との接続駅であり、時間は限定されているが、有人駅になっている。
なお、わたらせ渓谷鐵道が駅業務や管理を行っている。



相老駅は、わたらせ渓谷鐵道の前々身、足尾鐡道が開通した明治44年(1911年)4月の開業で、
起点の桐生駅から3駅目、3.1km地点、所要時間約5分、所在地は桐生市相生町、標高136mになる。
この付近は住宅や工場が多く、わたらせ渓谷鐵道、東武鉄道、上毛電気鉄道の線路が、
複雑に交差している鉄道の要衝地になっている。

なお、所在地は、「相生(あいおい)」であるが、兵庫県にある相生駅との錯誤を避ける為、
開業1年後に、「生」を「老」に置き換えた、漢字置き換え駅になってる。
かつて、全国にある幾つかの同じ漢字の駅名は、この様に置き換える場合があった。

第三セクター化されると、地元の意向を汲み、本来の漢字に戻す場合が多いが、
わたらせ渓谷鐵道では、そのままの置き換え漢字を使用している。
おそらく、東武鉄道も乗り入れている為、変更をすると、
東武鉄道全駅の運賃表等の交換費用が莫大に掛かる為だと思われる。

IMGP3111.jpg
(南側の跨線橋上から、駅と間藤方を望む。)

改札に行き、駅長氏に1日フリーきっぷを見せ、見学と撮影許可を貰っておこう。
ホームは、わたらせ渓谷鐵道は相対式二面二線、東武鉄道は島式一面二線の三面四線で、
南北方向に平行して配されている。
構内踏切は廃止されており、ホーム南側に屋根の無い鉄骨製跨線橋が、各ホーム間を結んでいる。

先に、駅前に出てみると・・・中規模の木造平屋駅舎が、東に面して建つ。
最近、近代化工事がされた模様で、雨雪除けの新しい車寄せ屋根が取り付けられており、
駅前ロータリーも綺麗に整備されている。


(相老駅と駅前ロータリー。)

(駅出入口付近。)

駅出入口の右上に、開業前年の明治43年(1910年)の刻印がある、建物財産標が残っている。
国鉄時代のものだが、新しい感じがするので、後から付けられたものだろう。
駅舎は大規模に補修・改修されているので、見た目は昭和風駅舎であるが、元は明治時代のものである。


(国鉄時代の建物財産標。)

待合室はやや狭く、有人の出札口と小さな改札口、自動券売機が二台設置されている。
反対側に、コの字に配された木造ベンチがあり、とても古い風合いであるので、
元々、据え付けられていたものだろう。


(出札口と自動券売機。わたらせ渓谷鐵道の切符も、自動券売機で購入できる。)

(待合室の木造ベンチ。壁はベニアで補修されているので、チグハグ感がある。)

改札口を通り、ホームを見てみよう。
改札口に面した1番線ホームは、わたらせ渓谷鐵道の上り桐生行きのホームで、
気動車6両分程の約120mと長いホームであるが、幅はとても狭い。
今では信じられないが、かつての国鉄足尾線は、列車に乗り切れない程のラッシュがあったそうだ。

間藤方を望むと、遥か北の彼方に群馬の県境を連ねる山々が見え、
その山に向かって進んで行く線路は、ロマンを感じる所だ。
また、向かいのホームとの間には、スペースと朽ちた木枕木が残り、中線が1本あったのだろう。


(間藤方と中線跡。)

1番線ホーム駅舎前の柱には、二種類の柱駅名標が並んでいるのが面白い。
明朝体のホーロー製とゴシック体の木製で、改札側のホーロー製の方が古そうだ。
跨線橋側の木製の方は、厚みと文字の部分が彫刻されており、凹んだ作りになっている。


(ホーロー製柱駅名標。おそらく、戦前のものと思われる。)

(木彫刻製柱駅名標。こちらの方が、国鉄風である。)

ホーム南側にある開放式の鉄骨製跨線橋を登り、2番線ホームに降りると・・・
東武鉄道乗り継ぎ用のIC乗車券簡易入出場機、わたらせ渓谷鐵道の沿線観光案内看板や、
わたらせ渓谷鐵道オリジナルキャラクター「わっしー」の看板が設置されており、
東武鉄道経由でやって来た観光客の玄関駅の役割がある様だ。


(わっしー看板と新しい建て植え式駅名標。)

(わたらせ渓谷鐵道沿線観光案内看板。)

(ICカード簡易入出場機。なお、わたらせ渓谷鐵道では、ICカードは使えない。)

2番線ホーム南端から、上り桐生方を眺めると、
半径400mのカーブになっており、中線の道床幅と砂利も、そのまま残っている。
ここの木製電柱にも、古い明朝体ホーロー製駅名標が残っている。


(桐生方。)

群馬の冬は、山から吹き下ろす凍てつく様な空っ風が強く吹くので、
下り2番線ホーム中央部にプレハブ建ての待合所も設置されている。
待合所内は、木造ロングベンチが設置され、使われなくなった木机が、ぽつんと置かれていた。


(下り2番線ホームと待合所。)

(待合所内。)

一番西側にある3・4番線は、東武鉄道桐生線の島式ホームとなっている。
桐生線は東武鉄道のローカル支線のひとつで、足尾鐡道開業2年後の大正2年(1913年)3月に開通し、
太田から赤城までの8駅・20.3kmの単線電化路線になっている。

こちらは、近代的な設備となっており、わたらせ渓谷鐵道ホームとの対比も面白い。
東武鉄道の古い鉄骨製トラスの架線柱も残っており、
ホーム土台の組み石は、大谷石の様な切り出し石材になっているのが特徴だ。


(東武鉄道桐生線3・4番線ホーム。)



にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ

この旅では、相老駅に下車しませんでしたが、
後日の追加取材時に訪問しましたので、駅の様子をご紹介致します。

2016年1月13日再編集
2016年12月6日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

© hmd all rights reserved.
記事や画像の転載、複製、商業利用等は固くお断り致します。

category: わたらせ渓谷鐵道1日目 29話

thread: 鉄道旅行 - janre: 旅行

tb: --   cm: --