hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【146】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて、再訪。・・・天竜浜名湖鉄道(49)寸座駅 前半の部  


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【乗車経路】
新所原834======910寸座
上り122列車・普通掛川行(TH2103・単行)
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もう一度、天浜線の終点の新所原駅(しんじょはら-)に戻り、
折り返しの新所原8時34分発、上り122列車・掛川行きに乗車し、
天浜線西側の無人駅の寸座駅(すんざ-)に向かおう。

今日の天気は、晴れ時々曇り、最高気温20度の予報で、
この時期としては、かなりの暖かい1日になりそうだ。
暖かな陽気の中、一両編成の列車は、トコトコとローカル線を走って行く。



乗車して約35分、寸座駅に自分一人だけが下車する。
列車は汽笛を一声後、直ぐに発車して行く。

寸座駅は気賀駅(きが-)から新所原方に二駅目、新所原駅からは10駅目になり、
単式ホームに小さな待合室だけの、小さなローカル駅である。
国鉄二俣線時代の昭和30年(1955年)5月に、地元の要望で追加設置され、
起点の掛川駅から27駅目、49.4km地点、所要時間約1時間30分、
所在地は浜松市北区細江町気賀、標高14mにある終日無人駅だ。

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(寸座駅を発車する掛川行き上り122列車。)

天竜二俣方は、一直線に下り坂が降りて行く。
勾配は4.2‰しかないが、直線距離が長く、それ以上の急坂に見える。
また、正面の台形状の山は、向山と言い、最高点の標高は67mある。
線路は、向山北側の谷の部分をトンネルで潜って、1.7km隣の西気賀駅に向かう。

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(天竜二俣方と向山。)

新所原方は、登り4‰となり、この先の右カーブを曲がりながら、
寸座峠(標高26m)のトンネルに入って行く。

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(新所原方。右側は国道である。)

坂上の新所原方から、駅全景を見てみると・・・
左手は、国道362号線の急坂と山、右手土手下は、寸座の集落となっており、
駅は山の南向き斜面の高台にある。
なお、背後に山が直ぐに迫り、東西も山に挟まれているので、平地があまり無い感じである。


(国土地理院国土電子Web・寸座駅。)

国鉄型車両が四両停車出来た80m級、幅約2mの単式ホームとなっており、
昔ながらの盛土式で、待合室の前以外は砂利のままだ。
ホーム部分は、2.9‰の微勾配となっており、安全の為に傾斜を緩くしてある。

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(新所原方から寸座駅全景。)

ホームの中央部には、小さな待合室と背が高い国鉄風建て植え式駅名標、
ホーロー製柱式も木製電柱とセットで残っている。
手前の鉄道電話箱の上に、掛川駅からの路線キロ「49k450」と記されている。

なお、建植式駅名標は、全てが鉄製ではなく、柱と看板が鉄製、
背面の板や上部の梁は木製になっているので、看板を貼り付けた構造になっている。
昔の木製の駅名標を補修し、利用したのかもしれない。

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(建て植え式駅名標、ホーロー柱駅名標と鉄道電話箱。)

この寸座の地名の由来は、平安時代の征夷大将軍・坂上田村麻呂が、東北蝦夷征伐(※1)の際、
この絶景を魅入り、ちょっと座って(ちょっと=一寸、座る=座)眺めた事からとの事。
後世の徳川家康も、同様に一寸眺めたらしい。
また、楠(くすのき)の大木があった事から、「くすのきびら」と言われていた事や
「洲沢(すさわ)」と言われていたのが、訛った説もあるとの事。

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(地名由来を解説している、立派な観光案内看板がある。)

観光案内看板の横に置いてある、この丁度良い大きさの岩が、
坂上田村麻呂が座ったと言われる岩である。
ちょっと、座ってみる・・・歴史の偉人の気持ちに近づけるかもしれない。

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(伝説の寸座岩。)

更に今年の9月に、寸座をする為の腰掛けが、新たに設置されている。
チェーンアーティストの中谷博彦氏が製作した「たまるベンチ」である。
なお、静岡文化芸術大学の大学生のデザインが、コンペで選ばれたそうだ。

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(アートベンチ「たまるベンチ」。)

触ってみると、非常に手触りが滑らかで、木目が不思議な美しさがある。
高さはかなり低く、ローソファの様な感じだ。
「人がたまり、心がたまり、ゆめがたまり、そして、地域の希望がたまるベンチ。」
がコンセプトだそうで、座る部分は微妙な凹みがふたつあり、雨水が溜ると変化して流れる。

これは、「ツリー・バイ・アート」と言い、無人駅にアートベンチを設置する企画で、
地域活性化を図る事を目的としており、一般社団法人の創造再生研究所(※2)が企画をし、
天浜線が全国の鉄道会社の中で、初めて応じたとの事。
今後、天浜線沿線の印象的な無人駅の合計10駅に、設置されていく予定だ。
全て揃えば、新たな天浜線の見所が、また増えるだろう。
一般社団法人創造再生研究所公式HP

下車して6分後、東隣の西気賀駅で列車交換をしてきた、
下り新所原行き・111列車が、紫煙を上げながら、長い坂を登ってやって来る。
先程、地元の若い女性が駅に来ており、乗車して行く。

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寸座駅から見える引佐細江(いなさほそえ)は、小さな入り江に集落が密集し、とても良い雰囲気だ。
雄大さは無いが、この様な湖畔の小さな風景も見とれる。

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(寸座駅から引佐細江。完全逆光の為、同年春の寸座駅停車中の車窓から撮影。)



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(※1)
平安時代、アイヌ系民族の蝦夷は東北まで南下しており、征伐軍が派兵された。
(※2)
創造再生研究所は、東京都港区麻布にある一般社団法人で、
農林水産業事業のプランニング、それに関連した文化事業を行なっている。

2016年1月12日再編集
2016年7月27日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道再訪編 13話

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