hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【140】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(43)車窓編 その5 三ヶ日駅から、利木トンネルへ。  


三ヶ日駅(みっかび-)は、天浜線の五大主要駅で最も西にあり、
かつては、この駅での折り返し列車もあった。
また、古い木造駅舎は、登録有形文化財に指定されている。

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(三ヶ日駅舎。春訪問時に撮影。)

三ヶ日町は、浜名湖の支湖である猪鼻湖(いのはなこ)の最奥部にあり、
古くは、西に本坂峠を控えた、姫街道(本坂通り)の宿場町として栄えた。
現在は、この猪鼻湖エリアの中心地として、公官庁や公民館等が置かれている。
また、ウォータースポーツ、観光や三ヶ日みかんの産地としても有名だ。



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【停車駅】青→文化財駅、◎→列車交換可能駅、〓→主な鉄橋、】【→トンネル
三ヶ日◎1641〓==奥浜名湖===尾奈==】(利木隧道)【==知波田◎
下り333列車・普通新所原行(TH2114・単行)
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三ヶ日駅からの天浜線は、猪鼻湖に沿って南寄りに進路を変えるが、
湖畔まで山が迫り、内陸部を走るので、湖畔線から山線の雰囲気になってくる。

5分間、三ヶ日駅の下り2番線ホームに停車する。
ゆっくりとした雰囲気の中、2、3人の乗降を済ませ、
上り142列車・掛川行きのTH2101と列車交換後、後発で発車になる。
駅を出ると、国道踏切を渡り、左カーブの大きなプレートガーター鉄橋を渡る。

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走行音とエンジン音の反射音を大きく轟かせながら、スムースに通過して行く。
三ヶ日町内を流れる宇利山川と日比沢川が合流する地点で、水量も多く、
この付近の標高は1m程度の低地の為、川面も大変近い。

この鉄橋は、上流側に手摺付通路が付き、三ヶ日駅方に低い側板仕様が三連、
新所原方に高い側板仕様が一連の計四連で、全体が大きく左カーブしている。
上流側に、56kmポストが、煙突の様に取り付けられているのが、面白い。
なお、天浜線は橋梁が大変多く、大小合わせて200箇所以上あるとの事。

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(橋梁を通過する。)
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(国道橋と猪鼻湖。春訪問時に撮影。)
 
鉄橋の向かいの三ヶ日の西方には、南アルプスの末端部である湖西連峰(標高300-400m)が、
南北に長く聳えている。その為、三ケ日駅から線路は南に大きく変えて、猪鼻湖西岸を走る。
川の堤防部から降ると、次の駅まで、緩やかな長い登り勾配が続く。

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(三ヶ日駅から奥浜名湖駅間の鵺代付近。下り新所原行き最後尾から三ヶ日方を撮影。)

この付近は、三ヶ日町鵺代(ぬえしろ)と言う、難しい読みの地名になっている。
鵺(ぬえ)とは、昔、夜に不気味に鳴く物の怪(妖怪)と言われ、
凶事の象徴として忌み嫌われていた。実際に、夜に不気味に鳴く夜鳥だったらしい。

徳川家康の遠江進出までのこの一帯は、源氏子孫の浜名氏が治めていたそうで、
浜名氏の祖である源頼政(みなみとのよりまさ/西暦1104年生-1180年没)は、
得意の弓矢での鵺退治を評価され、この三ヶ日周辺の土地を帝から賜った事から、
この一帯を「鵺代」と呼ぶ様になったと言われる。
また、鵺を退治した時に、頭が落ちてきた場所と言う伝説もある。
後に、浜名氏は、大崎半島の猪鼻湖畔に遠江佐久城を築き、本拠地とした。
マピオン電子地図(三ヶ日町大崎遠江佐久城址・1/21,000)

緑の多い住宅地の中の1.2kmを、約2分で走ると、奥浜名湖駅に到着。
単式ホームと簡易屋根のみの駅は、国道や家々の裏手の高台にあるが、
湖側には大きな建物が建ち並んでいいて、湖面は良く見えない。
なお、第三セクター化された1年後の昭和63年(1988年)3月に、新設された駅である。
丁度、三ヶ日駅到着前に見えた、あの白いホテルの裏手になる。

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(奥浜名湖駅。最後尾から三ヶ日方を撮影。)
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奥浜名湖駅を発車すると、築堤の上を右カーブしながら湖寄りから離れ、
雑木林の中の小さなサミットを越えて行く。
登り坂よりも長い下り坂を降り、第四種踏切、警報機と遮断機のある踏切を通過すると、
尾奈駅(おな-)に到着する。

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(奥浜名湖駅から尾奈駅間の小ピーク。最後尾から三ヶ日方を撮影。)
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(尾奈駅に進行する。)

尾奈駅は、昭和11年(1936年)12月の国鉄二俣西線開業当時の古い駅になる。
国道側の駅出入口が低く、駅舎内の階段を上がると、
二階部分にホームと待合室がある築堤高架駅になってる。
起点の掛川駅からは58.1km地点、所要時間約1時間50分の無人駅になっている。
駅舎横には、名物の鰻トイレがある。

尾奈は、「山中」、「東向」と言われる、駅東側の四角く突き出した小さな半島と、
猪鼻湖に注ぐ西神田川沿いに、東西に長細い谷間の平野が広がった山に囲まれた土地である。
川沿いは田圃があるが、内陸部の農地や山の斜面は、一面のみかん畑になっている。


(国土地理院国土電子Web/尾奈・本城山・利木峠付近。)

尾奈駅と知波田駅間は内陸に入り、宮口駅とフルーツパーク駅の区間と並ぶ、
大きな峠越え区間になっていて、気動車の力行が楽しめる見所だ。
浜名湖畔まで迫り出している本城山(標高136.7m)と、
それに連なる120m級の横山の尾根が東西に伸びて、湖側は難所となっている為、
山の北麓の西神田川の支流伝いに南下して、利木峠(りきとうげ)を越えて行く。

西神田川のプレートガーター鉄橋を越えて、堤防から降りると、
峠越えの長い登り急勾配となり、エンジンも大きく轟き始める。
谷間は意外と広く、雑木林もあるが、左右と進行方向の三方の山の斜面には、
特産の三ヶ日みかんの畑がいっぱいで、壮観だ。

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(登り始め付近。谷間一杯に特産の三ヶ日みかん畑が広がる。)

尾奈駅から峠のトンネルまで、高低差約30mを力強く登る。
最初は13‰、後に、25‰の登り急勾配となるが、
カーブ半径が大きい上に、気動車の馬力があるので、速度は60km位出ている。
また、尾奈駅から知波田駅までは、天浜線最長の駅間距離4.8kmとなっており、
他の駅間は1.0-2.0km程度なので、特に長く感じる。

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長い勾配を登り切ると、少し下り勾配になってから、利木トンネルに入る。
天浜線最長の663mの長さがある、開通当時の古いトンネルで、国登録有形文化財である。
マピオン電子地図(天竜浜名湖鉄道利木トンネル)

◆国登録有形文化財リスト「天竜浜名湖鉄道利木隧道(りきずいどう)」◆
所在地静岡県浜松市北区三ヶ日町下尾奈字瀬戸山2262-32
~湖西市利木字赤羽根507-11
登録日平成23年(2011年)1月26日
登録番号22-0145
年代昭和11年(1936年)
構造形式コンクリート造、延長663m、幅員4.8m。
特記静岡県西部の内陸部に建設された旧国鉄二俣線の施設。
断面は馬蹄形で、緩やかに湾曲するコンクリート造隧道。
退避所を十四ヶ所設け、保線用に照明器具を掛ける金具が残る。
延長663mあり、天竜浜名湖線沿線では最長の隧道である。
・文化庁公式HP国指定文化財等データベース該当ページ(写真あり)
・グーグルマップ天竜浜名湖鉄道利木トンネル
※文化庁公式HPから抜粋、編集。



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三ヶ日駅から新所原駅までは、午後は逆光気味になり、撮影困難だった為、
同年秋の再訪問時に撮影した画像を主に使っています。
また、線路写真は、同年秋の再訪問時、上り掛川行き列車から新所原方を撮影。

2016年1月11日再編集
2016年7月23日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道2日目 22話

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