hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【134】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(37)天竜浜名湖鉄道運転区 その4 天浜線の気動車紹介  


天竜浜名湖鉄道では、1日上下各39本、合計78本の列車を運行している。
全区間運行の他、掛川、天竜二俣、新所原寄りの区間運行も多いのが特徴で、
ローカル線と通勤通学近郊路線の性質を併せ持っている、第三セクター鉄道になってる。

ここで、天浜線の車両紹介をしたいと思う。
新しいローカル線用の気動車は、昔の国鉄型ほど、あまり注目されていないが、
最新技術も積極的に採用されており、研究すると面白い分野である。

平成23年(2011年)春現在、3形式16両の気動車(ディーゼルカー)が在籍しており、
全車、第三セクター転換後に導入された新型軽快気動車になる。
主力形式は、白地塗装に青、緑、橙の鮮やかな細帯があるTH2100形が14両、
団体・イベント対応車両のTH9200形「宝くじ号」1両、
通称「さわやか色」と言われるトロッコ列車専用塗装のTH3000形1両である。

天浜線では、車掌は乗務しておらず、運転士のみのワンマン運転の為、
路線バスと同様に整理券発行機や車内精算設備(運賃箱)、自動放送設備が設置されている。
有人駅以外では、後部ドアから乗車して整理券を取り、前部ドアから下車し、
下車時に運賃を支払うので、路線バスと同じ乗り方になる。
また、1両のみの運行(単行)が基本なので、車両の両端に運転台がある。

◆TH2100形(TH2101-2114・14両)◆

新潟トランシス(一次車のみ新潟鐵工所)製の18m級新型軽快気動車で、現在の主力形式である。
ハイパワーな350馬力カミンズエンジンと性能の良い変速機を搭載。
エンジンブレーキも良く利き、アップダウンの多い天浜線の線形に向く仕様になっている。
遠州エリアと浜名湖をイメージした、明るく清々しい車体塗装である。
なお、初期車であるTH2101,2102,2103の3両は、ブレーキ二重化の安全対策工事実施後に、
元のTH2000形から、TH2100形に改番された。

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車内は、白色を基調とした明るく清潔感の高いデザインで、
座席の座り心地はやや硬めだが、シートピッチも広めで快適性が高い。
側窓は一枚窓で開閉は出来ないが、大型窓で明るく、展望が大変良い。
ロングシート横の大きな柱は、エンジンの排気管部になる。

◆TH9200形(TH9200・1両のみ)「宝くじ号」◆

新潟トランシス製の18m級新型軽快気動車で、TH2100形のイベント仕様。
平成15年(2003年)に、宝くじ助成車両として、一両だけ製造された。
テレビやカラオケ等の設備を搭載しており、団体やイベントに利用される他、
団体等の運用が無い時でも運行されている。大胆な特別塗装デザインが特徴。
警笛は、通常の空気式汽笛の他、簡易型のミュージックホーンも搭載。

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車内の座席は、青色の全席転換クロスシート、車椅子も対応可能。
両端のデッキ部には、扉の無い簡易デッキ仕切りがある。
また、車内の山側に絵画等の展示スペースもあり、イベント用に工夫されている。
(あいにく、車内写真は無し。ご容赦願いたい。)

◆TH3000形(TH3501・1両のみ)◆

富士重工業が、鉄道車両製造から撤退前の末期に製造された、18m級軽快気動車。
350馬力のカミンズエンジンを搭載した、元・トロッコ列車専用牽引車。
鉄道ファンの間では、通称「さわやか色」と言われるトロッコ列車専用塗色で、
現在の天浜線のマスコット的存在の車両でもある。
イベント等で活躍するが、通常の運行にも使われている。

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車内は、昭和風のシックなエンジ色座席、下段が開閉出来る上下二段窓が特徴。
エンジンの車内透過音が大きく、TH2100形とは違う音色に聞こえる。
富士重工業の鉄道車両製造部門は、戦後60年の歴史と数々の名車を生み出してきたが、
平成15年(2003年)に事業撤退し、新潟トランシスに設計や技術等を譲渡している。

◆天竜浜名湖鉄道現役気動車一覧◆(平成23年春現在。)※転載や複製は禁止。
形式TH2100形TH9200形TH3000形
車両数14両1両1両
車番TH2101-2114TH9200TH3501
発注会社天竜浜名湖鉄道天竜浜名湖鉄道
※宝くじ助成
天竜浜名湖鉄道
製造会社新潟鐵工所
(一次車のみ)、
新潟トランシス
(二次車以降)
新潟トランシス富士重工業
製造年平成13年
(2001年)から、
平成17年
(2005年)まで。
平成15年
(2003年)
平成7年(1995年)
最高時速85km/h85km/h85km/h
車体構造鉄道用車体
普通鋼製
鉄道用車体
普通鋼製
鉄道用車体
普通鋼製
運転台両運転台
ワンマン運転仕様
前面貫通扉有り
両運転台
ワンマン運転仕様
前面貫通扉有り
両運転台
ワンマン運転仕様
前面貫通扉有り
全長18.5m18.5m18.5m
全幅2.8m2.8m3.1m
高さ4.1m4.1m4.1m
自重(空車時)30.0t30.7t30.2t
エンジン

最高出力
カミンズ社製N14R
直列6気筒・横置き
14L・燃料直噴式、
ターボ・
アフタークーラー付
ディーゼルエンジン
350馬力/2,100rpm
カミンズ社製N14R
直列6気筒・横置き
14L・燃料直噴式、
ターボ・
アフタークーラー付
ディーゼルエンジン
350馬力/2,100rpm
カミンズ社製NTA855R1
直列6気筒・横置き
14L・燃料直噴式、
ターボ・
インタークーラー付
ディーゼルエンジン
350馬力/2,100rpm
変速機液体式
変速1段・直結3段
変直切替自動
液体式
変速1段・直結3段
変直切替自動
液体式
変速2段・直結1段
変直切替手動
常用ブレーキ電気指令式
空気ブレーキ
電気指令式
空気ブレーキ
SME三管式直通
空気ブレーキ
塗色白地塗装に
青、緑、橙の細帯
特別デザイン
白地に青、緑、橙
茶色系ツートン
レトロ風
トロッコ列車専用色
通称「さわやか色」
座席・色セミクロスシート
シート色は青色
転換クロスシート
シート色は青色
デッキ部との
簡易仕切りあり
セミクロスシート
シート色はエンジ色
定員(立席含む)120名103名115名
冷房装置ありありあり
車椅子対応
車内トイレなしなしなし
特記現在の主力形式
6次車まであり
NDCシリーズ
TH2101-2103は、
TH2000形から改番。
「宝くじ号」
イベント・団体用
テレビ等設備有り
宝くじ助成車両
NDCシリーズ
元トロッコ列車牽引車両
富士重工業製気動車
カミンズエンジン搭載
パノラミックウインドウ
LE-DCシリーズ
形式TH2100形TH9200形TH3000形


【TH2100形・9200形の車体塗装デザインについて】

一般公募を元に決定したもので、遠州エリアと浜名湖をイメージし、
配色の意味は、茶の緑、天竜川の青、浜名湖の白、みかんのオレンジ色となっている。
特に、イベント向け車両のTH9200形は沿線風景のイメージを、大胆にデザインしている。
また、車内外共に、白を基調とした清々しく明るいデザインで、
全国の第三セクター鉄道の車両の中でも、秀逸なデザインだと思う。

両形式は、形式番号や座席配置は違うが、エンジン等の基本的な仕様は同じで、
新潟トランシスのローカル線向け標準設計の軽快気動車である、
NDCシリーズ第三世代初期型の車両になってる。
このシリーズとして初めて、各種制御器のデジタル化・IT化の採用や、
補機駆動部のベルトレス化を行い、運転や整備がし易い設計になっているとの事。

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(天竜浜名湖鉄道運転区の扇形車庫に入庫するTH2110とTH9200。)

ヘッドライトは最上部左右に各二灯、スリットタイプの尾灯が運転席窓下に一対、
貫通扉上部にLED表示器(行き先表示器)が設置されている。
TH2100形は貫通扉に社の略号「THR」(Tenryu Hamanako Railroadの略)と形式番号、
TH9200形はマークや形式番号は無く、左下部に「宝くじ号」と表記し、
正面床下のスカートも付いているが、開口部が大きい。

【TH2100形・9200形の運転台について】

車内の運転台は、半開放タイプで、ワンマン運転時の精算業務がし易くなっている。
運転台の左レバーがマスコン(アクセルに相当)、その奥が前後進行切替レバー、
右レバーはブレーキになり、変速機の変直切替のタイミングは、コンピューターの自動制御である。

また、TICS(ティスク/Train Information Control Systemの略)と言われる
列車制御システムを搭載し、大きな液晶画面に車両状態等の情報が表示され、
運転士はタッチパネルで指示操作が可能だ。
気動車であるが、電車風の運転台であるのが特徴で、従来の国鉄型気動車とは、全く違う。

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(TH2100形の運転台。)

参考に、国鉄急行用気動車キハ58の運転台展示モデルと、比べてみよう。
ハンドルの配置は、ほぼ同じになる。
なお、電車と気動車のハンドル配置は、左マスコン、右ブレーキであるが、
蒸気機関車・電気機関車・ディーゼル機関車は逆である。

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(国鉄キハ58-23の運転台カットモデル。JR奥羽本線東能代駅にて撮影。)

また、制御のデジタル化が進んだ為、運転台の計器類が少なくなっているのと同時に、
ジャンパ線数も従来よりも少なくなり、省力化されているとの事。
電車と同じ電気的制御方式なので、部品共通化が進み、コストダウンにもなっている。

【TH2100形のドアチャイムとシート色の濃淡について】

また、導入時期が約四年半の間の六回に分けられている為、
座席生地の青色の濃淡やドアチャイム等の若干の仕様の違いが見られる。
(※転載や複製は禁止。)

TH2101-2103
(元・TH2000形)
一次車
3両
平成13年(2001年)2月導入、新潟鐵工所製。
当初はTH2000形として導入したが、
翌年にブレーキ二重化の改良をし、TH2100形に改番。
乗降ドア横の横長のLED案内器は無し。
シート色は濃い青色(TH2101・2102で確認)。
TH2104-2106二次車
3両
平成14年(2002年)2月導入、新潟トランシス製。
二次車以降は、ブレーキ二重化、LEDドア案内器有り。
シート色は濃い青色(TH2106で確認)。
TH2107-2109三次車
3両
平成15年(2003年)1月導入、新潟トランシス製。
TH9200形も三次車に相当。
シート色は薄い青色(TH2107・2109で確認)。
TH2110・2111四次車
2両
平成15年(2003年)11月導入、新潟トランシス製。
ドアチャイムを変更。
TH2112・2113五次車
2両
平成16年(2004年)12月導入、新潟トランシス製。
シート色は薄い青色(TH2112・2113で確認)。
TH2114六次車
1両
平成17年(2005年)12月導入、新潟トランシス製。
ドアチャイムを変更(ダブルチャイムに変更)。
シート色は薄い青色(TH2114で確認)。
※四次車は乗車出来なかった為、シートの濃淡は不明。

【TH1形(派生形式TH2形・TH3形・TH4形)について】

第三セクター転換時に導入された富士重工業製レールバスTH1形(1-4形)は、
TH2100形の順次導入により、平成17年(2005年)11月に、
TH106とTH211の最後の二両が引退して、全車廃車になっている。
ウィキペディア公開ファイル(天竜浜名湖鉄道TH1形TH104・101kbyte)

TH1形は、富士重工業製のLE-Carシリーズのレールバス。最大時は15両在籍した。
主な諸元は、最高速度80km、車長15.5m、自重23.5t、定員100名、
日産ディーゼル製PE6HT・水平対向6気筒・排気量11.7L・ターボ付・
230馬力ディーゼルエンジンを搭載。
コストダウンの為、バス車体や部品を流用しているので、耐久性が低かった。
なお、TH2型、TH3型、TH4型の派生型式があるが、シート配置が違うだけで、同じ形式である。
TH2型(211)はトロッコ列車用として、後に改造されている。

【TH3501について】

平成7年(1995年)10月に、TH3501とTH3502の二両が、富士重工業から同時に導入され、
天浜線では、第二世代の新型導入車両であった。
平成3年(1991年)に発生した信楽高原鐵道列車衝突事故で、レールバスが大破した事を踏まえ、
衝突安全性と耐久性を考慮し、メーカーも従来の鉄道用車体を採用している。
なお、クリーム地に赤と橙塗装の姉妹車TH3502は、休車状態となっていたが、
平成22年(2010年)9月に廃車解体されている。現在の同形式は、TH3501の一両のみの在籍である。

運転席窓は、サイドまでガラスが回り込むパノラミックウインドウ、
ワンマン表示や方向字幕(行き先表示器)も、運転席ガラス内にある独自のデザインで、
往年の富士重工製軽快気動車らしいデザインだ。
なお、常用ブレーキシステムが違う為、TH2100・9200形と併結運転は出来ない。

また、富士重工業製気動車のエンジンは、日産ディーゼル製が基本であるが、
この車両には、JR東海の特急用気動車キハ85系で採用されて好評だった、
350馬力のカミンズエンジン(NTA855R1)を搭載している。

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(木造旅客上屋の天竜二俣駅1番線ホームにて、発車時刻を待つ掛川行きTH3501。)

元は、廃車されたTH3502と同じクリーム地に赤・橙の塗色だったが、
トロッコ列車専用気動車として、このツートン塗色に塗り替えられた。
下部には、レトロ風の金色装飾線が付いている。
ヘッドライトと尾灯はボックスタイプの一体型で、左右各一灯が運転席窓の下に付いており、
富士重工業製軽快気動車の共通デザインである。

TH3501の運転室は完全閉鎖タイプとなり、引き戸式の扉が付いている。
運転台左の小さなT型レバーがマスコン、中央上は前後進行切替レバー、
中央下は変速機の変直切替(手動式)、右のレバー差し込み口がブレーキ
(ロックされており、運転時にハンドルを装着)で、
富士重工業製軽快気動車・LE-DCシリーズの標準的な運転台である。

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(TH3501の運転台。)

運転席後ろには、後方確認用のHゴム支持の縦型小窓があり、
往年の鉄道車両らしいレトロ感が、随所にあるのが特徴だ。
また、TH2100・9200形、左右の乗降ドア位置が電車の様に揃っているが、
TH3000形は斜めにずれている。

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(TH3501の乗降口。)



相互リンクをさせて頂いている、しなの7号さんのブログに、
TH1形、TH3000形の現役当時の写真と記事が紹介されています。是非、ご覧下さい。
昭和の鉄道員ブログ「【216】少し前の天浜線」(2011-11-3アップ記事)

また、国鉄二俣線時代の国鉄型気動車の貴重な写真と記事も、紹介されています。
是非、ご覧下さい。二俣線のC58形蒸気機関車についても、触れておられます。
昭和の鉄道員ブログ「【215】国鉄二俣線を走っていた車両たち」
(2011-10-31アップ記事)




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【謝礼】
天竜浜名湖鉄道営業部さま、車両諸元、エンジンスペック等の不明確箇所の
ご教授・ご照会を頂きまして、ありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

しなの7号さま、リンクのご快諾を頂きまして、ありがとうございます。
厚く御礼申し上げます。

2016年1月7日再編集
2016年7月24日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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