hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【135】遠州湖北を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(38)天竜浜名湖鉄道運転区 その5 鉄道歴史館  


扇形車庫内の北側にある、修繕作業室と思われる部屋には、
天竜浜名湖鉄道オリジナルの鉄道歴史館が、併設されている。
以前は無かったが、地元鉄道ファンと国鉄二俣線のOBの協力も得て、
平成22年(2010年)5月29日に開館したそうだ。

車庫1番線横の高さの低い出入口の木戸を、頭を少し屈めて、中に入る。
出入口真上には、「安全第一」の錆びたホーロー標識と、「出入口」のプラ標識が・・・
かつてのレールバスの廃部品らしい。

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(鉄道歴史館出入口。)

十畳位の最初の部屋には、加熱炉と遠江森駅(現・遠州森駅)の建植式国鉄駅名標が保管され、
大きな写真付きタペストリーが掲げられ、この資料館のエントランスとなっている。
タペストリーの蒸気機関車列車は、国鉄二俣線で活躍したC58-99号機牽引の貨物列車である。

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(エントランスにある、加熱炉と大型タペストリー。)

車庫側壁面には、紺色の木製駅名標も展示されており、かなり古いものだ。
左の佐久米駅(さくめ-)は、塗り替えられて佐久米駅となっており、
"INAKITA"と下地が判読出来る事から、現在のJR飯田線伊那北駅の駅名標と推測出来るが、
何故か、佐久米駅の駅名標になったのかは、不明である。
また、木製駅名標の下には、苗字が書かれた古いネームプレートとフック跡がずらりと並んでいる。
何かを掛けておいた跡だろう。まるで、国鉄時代の形見に感じる。

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(壁面の木製駅名標とフック跡。)

次の部屋は、白熱電球がほんのりと灯る六畳程度のふたつの小部屋が、
向かって左右に並んでおり、その右の部屋を通る。
左手奥の小部屋には、木製テーブルが置いてあり、三ヶ日駅(みっかび-)での
桑田佳祐氏のCM撮影時由来の品々等も、展示してある。

そして、一番奥に四十畳はあると思われる、大きな部屋に入ると・・・
ここがメインの展示室なっている。

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(中部屋から、メインの展示室。)

中央には、国鉄C58形蒸気機関車の大型模型や鉄道模型の大型レイアウト、
それを取り囲む様に、往年の鉄道用品や標識等が所狭しと大量に展示されていて、圧倒される。

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木製の鉄道気象告知板とカンテラ(合図灯、夜間用の合図用・懐中電灯)。
気象告知板は、青は大雨、黄色はその他(濃霧・大波・気温上・気温下・空気乾燥等)、
赤は強風・強風雨・暴風雨・強風雪・暴風雪の風関係、
緑は大雪・吹雪・雪崩・電線着雪の雪関係の警戒標示に使い、
中央の縦黒板部にチョーク等で該当事項を記入の上、
ホーム進行方先端の軒下等に標示し、運転士が確認した。

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国鉄時代の鉄道線路図(路線図)や乗務員・検修区員向けの国鉄教本類、
仕業表(運行時、運転台に掲示する運転士時刻表)、記念乗車券等。

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国鉄駅名標と乗務員腕章。

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外線黒電話、腕木式信号機の腕木(テーブル上の赤い木)、
タブレットカバンキャリー(壁掛けの輪)と
タブレット(机の黄色い台の円盤)、タブレット発行機(右手の赤い箱)等。

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(ホーロー製の柱駅名標。国鉄末期のものだ。)

国鉄時代の鉄道用品や写真等を中心に展示され、各駅の古い駅名標も多数展示されている。
現地の駅にあるのが、雰囲気が一番出るが、風雨でどうしても痛んでしまうので、
この様に屋内保存した方が良いかもしれない。
しかしながら、この古い板壁と鉄道資料とのマッチングが、
良い雰囲気を醸し出しているのは、大変驚く。

また、補修部品製作等に使用したと思われる、工作機械も幾つか展示されており、
当時、機関車等の補修や交換に必要な部品も、必要に応じ、製作していたそうだ。
使い込まれた感じと染み込んだ様な油の跡やイラスト付き使用注意書きが、
昭和の薫りと風合いを出している。

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(大型旋盤。金属工作物を回転させながら、軸対称状に切削する機械である。)
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(グラインダー。研磨盤とも言い、研磨仕上げに使う機械。)

JR東日本やJR東海の鉄道博物館は、エンターテイメント性が強いが、
この資料館は、鉄道現場の歴史により近づいた本物感がある。
また、ローカル線の鉄道会社が開設した鉄道博物館としては、
トップレベルの規模と展示内容で、国鉄時代からの鉄道ファンにも十分に納得出来、素晴らしい。

興奮気味に資料館を一巡した後、外に出てみよう。
扇形車庫窓の手前に、分岐器(ポイント)の向きを現示する転轍機標識が置かれている。
本来は、頂上に四方向二色の夜間用ランプも装着され、線路上から見て、
青地に白線の円形標識と青ランプは定位時、橙地に黒線の羽形標識と橙ランプは反位時となり、
運転士や操車場係が、分岐器の向きを確認する為のものだ。
また、夜間ランプの仄かな光が、構内に点在する光景は、とても鉄道的風情がある。

なお、本体には、逆三角形の大きなマークと"SANKOSHA"が刻印されており、
東京渋谷にある踏切機器・鉄道用信号機の老舗メーカー・三工社製である。

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(三工社製の転轍機標識。)

また、平成10年(1998年)に、初めて国登録文化財に指定された時の案内板も設置されている。
事務室棟、浴場、休憩所、転車台、扇形車庫の五つが指定され、
天浜線各駅の駅舎等は、平成23年(2011年)に追加登録されている。

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(案内板の指定日は10月16日だが、登録日は12月11日である。)

扇形車庫の北側の窓も、大きくて立派な田型の木枠窓が連続してあり、
通路を挟んで、コンクリート製の倉庫や施設倉庫もある。
木造建築が多い中で目立つ、このコンクリート製の倉庫は、現在も使われているそうだ。
可燃物や危険物を保管しているのだろう。

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(鉄道歴史館側壁の大型縦窓。)
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(この運転区では、珍しいコンクリート製倉庫。)

あっという間の感じだが、ここまでの見学で、約40分経過している。
満足感が高く、昭和の鉄道風景と雰囲気がたっぷり楽しめた。
また、訪問したいと思う。案内役のK氏に引率され、天竜二俣駅に戻ろう。

天竜浜名湖鉄道公式HP・転車台・鉄道歴史館見学ツアー



相互リンクをさせて頂いている、しなの7号さんも、今秋に日帰り訪問されています。
是非、ご覧下さい。新所原方面から乗車し、沿線西側の観光も兼ねてだそうです。
記事は、前後編の二部構成になっています。
昭和の鉄道員ブログ「【209】「50代5000円でGO!」2011.10.1:天浜線の旅(前篇)」
(2011-10-10アップ記事)  




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2016年1月7日再編集
平成28年7月24日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道2日目 22話

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私は青春18きっぷが発売される時期になると、職場のオッサン2人(いずれも非鉄の方です)とともに3人で、車中で酒を飲みながら、お城、温泉、酒蔵を巡る日帰り旅に出ていました。回を

昭和の鉄道員ブログ | 2011/11/10 06:34