hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【129】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(32)金指駅 前半の部  


気賀駅(きが-)、気賀関所の見学と昼食も済ませた。
ふたつ東隣の駅、十一の登録有形文化財駅の最終訪問駅である金指駅(かなさし-)に向かおう。
今度の天竜二俣方面の上り列車は、11時59分発になる。

駅のホームには、二十人近い大勢の人が待っており、
賑やかな感じは、天浜線本社のある中核駅の天竜二俣駅以上に感じる程である。
それは、上下列車共に同じホームで発着する事、両隣の西気賀駅や金指駅で列車交換をする為、
上下列車の発車時刻の時間差が小さい事や、春夏は、駅舎の待合室で待つ人が少ない事が理由の様だ。

往来の多い構内踏切に差し掛かると、タイフォンを大きく鳴らして、列車がホームに進入して来る。

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(上り128列車掛川行きTH2108が、到着する。)

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【停車駅】◎→列車交換可能駅 ★→国登録有形文化財駅
気賀★1159==気賀高校前==1204金指◎★
上り128列車・普通掛川行(TH2108・単行)
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到着した上り列車から、数人下車し、十人程が乗車する。
短時間の乗車なので、最後尾に立席で良いだろう。
駅スタンプラリー用の回数券も、忘れずに取っておく。

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(気賀駅を発車する。最後尾から撮影。)

定刻に発車、ローカル線としては、乗客は二十人位で程々に混んでいる。
町中心部の東境である、井伊谷川(いいのやがわ)のプレートガーター鉄橋を渡ると、
都田川に沿って走り、第三セクター転換後に新設された気賀高校前駅(現・岡地駅)に停車する。
此処からは、川は離れて、国道と共に山際に寄って行き、
進行方向左手に多数の建物が見えてくると、金指駅に到着する。

なお、姫街道は、気賀より進路を南東に取り、県道216号線に沿って、
三方原(みかたはら)の遠州鉄道西鹿島線自動車学校前駅の方に向かう。
線路に並走している、この区間の国道362号線は、秋葉街道になる。



気賀駅から所要時間5分で、金指駅に到着。
なお、この上り列車は列車交換の為、8分間停車する。
何人かの乗客も、一服する為に降りて来ている。

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先程、乗車したTH3501が下り新所原行きとして、2番線に到着すると、
三、四人の乗客が乗降する。

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(さわかや色のTH3501と列車交換をする。)

この金指駅は、昭和13年(1938年)4月に、二俣西線の三ヶ日駅(みっかびえき)から、
延伸開通した際に開業した駅である。
国鉄二俣線が全線開通する昭和15年(1940年)6月までの約二年間は、二俣西線の終着駅だった。
今でも、列車交換の為、数分間停車する事が多い。

また、現在も有人駅として、天浜線の主要駅のひとつになっている。
起点の掛川駅から23駅目、41.9km地点、所要時間約1時間20分、標高7m、
終点の新所原駅(しんじょはら-)からは14駅目、25.8km地点、約50分になる。
所在地は浜松市北区引佐町金指(-いなさちょうかなさし)になり、
駅前に広がる金指地区と、駅北側の山向こうの小盆地の井伊谷地区(いいのや-)の
ふたつの地区の玄関駅になっている。

この駅は有人駅なので、先に、駅長氏に撮影の許可を貰おう。
構内は、東西に配された島式ホーム一面二線の列車交換可能駅となっており、
一本の側線と木造駅舎も残っている。

東側の天竜二俣方の東端は、乗降に使われておらず、昔の盛り土部と背の低い樹木が植えられている。
現在は、ホーム西寄りの約3/4、最大三両編成の乗降が出来る様に嵩上げされている。
また、構内ポイントはY字ポイントではなく、北側の上り1番線が本線、
南側の下り2番線が副本線となる片開きポイントになってる。

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(天竜二俣方。)

ホームには、高さが低い国鉄風駅名標と観光案内板がある。
おそらく、ホームの嵩上げ時に建て植え直されず、そのまま工事された為だろう。
何だか、短足であるのが可愛く見える。

両隣の駅名が学校前名と言うのも、全国的に珍しいかもしれない。
隣の木製の道標型駅名標は、天浜線開業十周年記念として、設置されたものだ。

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この駅の最大の見所は、ホーム西寄り短い旅客上屋である。
中央一列の柱を三角形に組み、上部は変形トラスが組まれている、独特な構造である。
昨日、訪問した岩水寺駅も一列柱だが、それよりも、複雑な構造をしている。

また、ホームの南側を見渡すと、かつて、構内がとても広かった印象を受ける。
側線も一本残っており、天竜二俣方で行き止まりになっているが、
かつては、複数の貨物側線があったそうだ。

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側面の切羽板は岩水寺駅と似ているT形、屋根は天井板が無いストレート葺き、
梁は弥次郎兵衛の様な構造になっており、面白い。
柱の間には、木製ベンチや国鉄風プラスチックベンチも置かれている。

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(天浜線の木造旅客上屋としては、戦後の建て替えで、一番新しい。)

この上下線両用の現役島式ホームは、天浜線唯一になっている。
ちなみに、遠州森駅、天竜二俣駅と三ケ日駅にある島式ホームは、下りホームになっており、
天竜二俣駅上りホームと気賀駅は、片側のみ使用している。

また、土台のプラットホームは、開業時の昭和13年(1938年)のものだが、
旅客上屋は、戦後の昭和23年(1948年)に、建て替えられている。
開業当時の旅客上屋があったそうだが、建て替えの理由は不明だそうだ。

◆国登録有形文化財リスト「天竜浜名湖鉄道金指駅上屋及びプラットホーム」◆
所在地静岡県浜松市北区引佐町金指字東金指1033-2
登録日平成23年(2011年)1月26日
登録番号22-0152
年代[旅客上屋]昭和23年(1948年)建築(建て替え)※注
[プラットホーム]昭和13年(1938年)建築
構造形式[旅客上屋]木造平屋建、スレート葺、建築面積48㎡。
[プラットホーム]コンクリート造、延長82m。
特記西端に建つ上屋は切妻造スレート葺。
内側に傾斜した二本の柱を桁行に、4.6m間隔で配置し、
繋梁で固め、小屋をトラス組とする独特の構造になる。
プラットホームはコンクリート造で、延長82m。
※文化庁公式HPから抜粋、編集。
※文化庁では、昭和13年になっているが、天竜浜名湖鉄道に確認した所、
 昭和23年に建て替えられたとの事。

かつて、この金指駅には、遠州鉄道奥山線(元・浜松軽便鉄道/遠州鉄道に合併)と言う、
軌間762mmの軽便鉄道が浜松から敷設され、車長10m程の小さな気動車が走っていた。
大正3年(1914年)に、浜松駅から金指駅までの15.9kmが開通。
大正12年(1923年)に、井伊谷と古刹・方広寺近くの奥山駅までの25.7kmが延伸開通し、
東京オリンピック開催年の昭和39年(1964年)までの五十年間、運行していた。
当時、徒歩で、片道半日近く掛かった所要時間を、約1時間に短縮したそうだ。
その為、金指駅は、奥山線の開業の方が早く、国鉄二俣線は後から乗り入れている形だった。

奥山線金指駅のホームは、今では、全く跡形もない。
現在の天浜線ホーム南隣にあったそうで、長さ30m程の低床島式ホーム、
上部が朝顔状にカーブした廃レール柱の旅客上屋と天竜二俣方に待合室(?)、
当時の国鉄二俣線唯一の連絡跨線橋が、新所原方に設置されていたそうだ。
また、駅の西方の引佐高校の近くには、この両線が交差した高架橋が残されており、
井伊谷地区内には、現在も軌道跡が残っている。

奥山線の線路は、気賀駅を出発すると、国鉄二俣線に並走して気賀方に西進し、
井伊谷川の辺りにあった気賀口駅(現・ハローワーク付近)に停車、
此処から90度曲って、北に進路を取り、井伊谷川と神宮地川に沿って、
盆地の西寄りに入って行ったそうだ。



西側の新所原方は、新所原方は嵩上げと近代化工事がされ、乗降に使われている。
天浜線として、唯一の遮断機付き構内踏切や乗務員詰所が線路脇に並んでいる。
なお、金指駅から毎日、早朝5時31分発の下り新所原行き列車があり、
夜間滞泊も行われているので、今でも、使われているかもしれない。

また、遠く向こうの線路右側のスペースは、駅北側の山の向こうの井伊谷地区にあった
住友セメント浜松工場まで延びていた工場引き込み線跡で、
国鉄二俣線内で最も遅い昭和60年(1985年)まで、貨物の取り扱いがあった。
現在、セメント工場は撤退したが、線路跡やトンネル等が残っているとの事。

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(新所原方。この構内踏切は、跨線橋取り壊し後に設置されたらしい。)

構内踏切と連絡通路を通って、駅舎を見てみよう。
気賀駅と同じ赤い洋風瓦の中型木造駅舎である。

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(ホームからの駅舎。国鉄開通後は、奥山線も共用していた様だ、)



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【謝意】
天竜浜名湖鉄道本社営業部さま、文化財資料の確認照会の件、ありがとうございます。
厚く御礼申し上げます。

2016年1月7日再編集
2016年7月22日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道2日目 22話

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