hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【120】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(23・1日目最終回)宮口駅 後半の部  


やや薄暗い待合室に入ると・・・
10畳位の広さ、高い天井、コンクリート床でひんやりとしていて、
木製のロングベンチが、東側の窓沿いに幅一杯に据え付けられている。

出札口は、板に覆われており、面影は全く無い。
また、周辺の踏切が遠い為、駅構内は踏切代わりに使われており、
地元住民や学生が、構内を頻繁に横断して行く。

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(改札口と待合室。)
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(東側の天竜二俣方に木造ロングベンチが据え付けられている。)

駅時刻表を見ると、列車は1時間に1-2本の割合で、
平日は4本の天竜二俣行きと1本の掛川行きが、この駅からの始発になっている。
始発列車は、駅舎側のホームから発車し、反対方面の新所原行き始発列車は無い。
また、掛川駅と天竜二俣駅から、この駅止まりの区間運転列車もある。

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(駅時刻表。)

登録有形文化財のパネルや、沿線観光地図も掲示されている。

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(国登録有形文化財の案内板。)
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(天浜線沿線マップ。)

駅事務室は改装され、テナントの駅サロン「はままつ88」が入店している。
本来の店のコンセプトは、高齢者向けの地域ケアとの事だが、
駄菓子に釣られて地元の子供達に大人気の様で、中から子供達の笑い声が聞こえる。
店頭のメニューを見てみると、とても安い。
合同会社はままつ88公式HP

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(はままつ88。)

看板を見ると「はまたま」(120円)と言う、目玉焼きをトルティーヤに包んで、
味付けしたスナックが名物らしい。

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(店頭の案内板とメニュー表。)

元出札口と思われる入口横の壁には、
地元の小さな子供達が描いた、カラフルな鉄道の絵が展示されている。
少し寂しい感じがする無人駅を、賑やかにしてくれている。

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(地元の子供達の天浜線の絵。なかなか、力作である。)

駅舎は南に面しており、駅舎の西側はテナント入店の為、
外壁が補修交換されているのが、残念な所だ。
先程、訪問した岩水寺駅には、これとそっくりな駅舎があったとの事。
また、地元には、天浜線応援団があり、花壇の手入れや清掃等を行っている。

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(駅前側からの宮口駅。)

舗装された広い駅前広場があるが、駅前は、数軒の住宅のみで商店街は無い。
また、本数は少ないが、地元の温泉施設や病院行きのバスが発着している。

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(駅前の様子。)

この宮口には、かつて、現在の遠州鉄道浜北駅(当時は遠州貴布祢駅)からこの町まで、
営業キロ4.2km、軌間762mmの西遠鉄道と言う軽便鉄道が伸びていて、
この宮口駅の南にある浜北宮口郵便局の南に、駅と車庫があった。
当時、古くからの街道に面して栄えた宮口に、鉄道が通らない事に危機感を感じた町の人達が、
軽便鉄道敷設を計画し、大正13年(1924年)7月に開業した。

しかし、路線も短く、沿線人口も少なかった為、赤字経営であった。
開通の4年後、遠州鉄道(当時は、遠州電気鉄道)に経営委託されたが、
昭和15年(1940年)に旧国鉄二俣線が開通する事になり、
経営困難になると予想された為、昭和12年(1937年)10月に廃止になっている。
現在も、その軌道跡は、「けいべんみち」と言われる市道になっているそうだ。

また、宮口は、多数の寺社や古墳が多く残る歴史の町でもあり、
徒歩数分の所に、庚申信仰で有名な庚申寺(こうしんじ)と言う古刹がある。
マピオン電子地図(浜松市宮口・庚申寺)

庚申信仰とは、平安時代から大正時代まで、特に江戸時代に盛んだった民俗信仰である。
元来は、中国の道教に由来し、人間の体内には、生まれながらに三匹の虫である
「三尸(さんし)」がおり、60日に一度の庚申の日に眠ると三尸が体から抜け出し、
地獄の閻魔大王にその人間の罪悪を告げて、寿命を縮めると考えられている。

それを防ぐ為に、庚申の日には、集落内での夜通しの宴会が行われた。
所謂、庶民に医学が発達していなかった時代の延命長寿の信仰である。
また、庚申信仰は仏教の青面金剛や帝釈天、神道の猿田彦神と言う日本古来の神の「猿」に結びつき、
シルクロードを通じて、中国から伝習した考えにも習合した。

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(見ざる、聞かざる、言わざる、思わざる。)

駅舎側ホームの駅名標の上に観光看板があり、猿の表情がなかなかリアルだ。
有名な「見ざる、聞かざる、言わざる」(看板では順序が違う)だが、
看板の一番右は宝珠を持つ猿になり、宝珠が何でも願いを叶えると言う考えから、
「思わざる」を表すとされている。



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【宮口駅からの乗車経路】※車窓ロケと夕食の為
宮口1645==下り335列車・新所原行き(TH2102単行)==1758新所原
(引き返す)
新所原1831==上り152列車・掛川行き(TH2109単行)==2043掛川
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時刻は、16時半を過ぎた所だ。
早朝一番列車からと、下車観光を精力的に廻ったので、若干、疲れてきた。
早めに、ビジネスホテルにチェックインしても良いが、
明日は、この宮口駅より西側を廻るので、事前の車窓ロケを兼ねて、
終点の新所原駅まで行く事にしよう。また、ある物が目当てだ。

宮口駅を16時45分発の新所原行きに乗車、新所原まで片道約1時間の旅になる。
シートにどっしりと座り、メモを片手に車窓の見所をチェックして行く。

17時58分、終点の新所原駅に到着・・・実は、お目当てはこれだ。
駅テナントの鰻屋「やまよし」のうなぎ弁当(一尾入り・大・税込1,575円)である。
やまよしは、鰻の養殖をしていた店主が、経営する地元産鰻専門店になっている。

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(やまよしのうなぎ弁当。大は一尾入り。うなぎうどんも名物。)

車内で食べたいが、通勤通学ラッシュ時間帯になるので、駅ベンチで頂く事にする。
時間が早いが、これが今日の夕食になる。店主から、茶の差し入れも頂いた。

外はカリカリ、中がジュッと柔らかく、香ばしさがたっぷりの関西風の蒲焼になっている。
身の厚みがあり、とても食べ応えがある。この味と量を考えると、格安だ。
関東の蒲焼と比べると、甘みや油分が少ない感じで、ややさっぱりとした感じになっている。
・天竜浜名湖鉄道公式HP・新所原駅・やまよし
・食べログ静岡「駅のうなぎ屋・やまよし」
※昼11時から17時半までは店内で食べられるが、それ以降は、弁当(駅弁)のみ。
 駅弁の店売りは、10時半から18時半頃まで(鰻が無くなり次第、終了)。



起点駅の掛川駅に、戻る事にしよう。
明日の行程を考えると、天竜二俣が宿泊地に丁度良いが、
町中にビジネスホテルが無く、一般旅館では、早朝の一番列車乗車が難しい為だ。
上り152列車・18時31分発掛川行きに乗車し、20-30人の通勤通学客を乗せて走り、
駅に停車する毎に、少しずつ下車して行く。30分程走ると日没になる。

景色は何も見えないが、漆黒の闇の中を走る夜汽車も良い感じだ。
途中の金指駅(かなさし-)を過ぎると、ついに、乗客は自分だけになり、
エンジン音の軽快な響きと心地良い疲労もあって、うつろうつろになって来る。

天竜二俣駅とその東側の駅で、数人の乗客を乗せ、
乗車時間約2時間、20時43分に掛川駅天浜線2番線に無事に到着。
JR新幹線口横のコインロッカーに預けた荷物を回収し、
今夜は、掛川駅南口の地元ビジネスホテルに宿泊して、明日に備えよう。

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(掛川駅に20時43分に到着する。)

(天浜線編1日目おわり/2日目につづく)

◆天竜浜名湖鉄道一日目乗車記録◆

下り列車8本、上り列車2本(遠江一宮→掛川、新所原→掛川)に乗車。

【駅訪問】
9駅(掛川、桜木、原谷、遠江一宮、遠州森、天竜二俣、二俣本町、岩水寺、宮口。)
※うち、登録有形文化財駅は7駅。二俣本町駅は途中下車観光時に貸自転車で訪問。
※登録有形文化財の駅スタンプラリーにも参加。

【途中下車観光】
3ヶ所(遠州森2時間、天竜二俣3時間、岩水寺1時間)

【グルメ】
田舎蕎麦(800円、二俣本町駅・葉月)、鰻弁当(1,575円、新所原駅・やまよし)。

【運賃】
1,500円(天浜線1日フリーきっぷを利用)

【旅程】
掛川0632 107列車・新所原行き
0639
桜木0701 601列車・遠州森行き、登録有形文化財駅
0711
原谷0731 109列車・新所原行き、登録有形文化財駅
0748
遠江一宮0810 114列車・掛川行き、登録有形文化財駅
0848
掛川0857 117列車・新所原行き
0920
遠州森1121 125列車・新所原行き、登録有形文化財駅・途中下車観光
1142
天竜二俣1441 331列車・新所原行き、登録有形文化財駅・途中下車観光
1449
岩水寺1549 333列車・新所原行き、登録有形文化財駅・途中下車観光
1552
宮口1645 335列車・新所原行き、登録有形文化財駅
1758
新所原1831 152列車・掛川行き
2043
掛川



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2016年1月6日再編集
2016年7月20日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道1日目 23話

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