hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【114】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(17)天竜二俣駅下車観光[その2]鳥羽山城址・天竜川橋梁と清瀧寺。  




二俣本町駅の近くにある、鳥羽山公園【赤色マーカー】に行ってみよう。
鳥羽山は、天竜川が逆コの字に大蛇行した内側にある、標高108mの独立した山で、
東西は中央が括れた砂時計型になっており、川の近くまで迫り出している。
この地形から、要害として好立地であり、戦国時代末期に城が建てられた場所だ。

二俣本町駅から、旧秋葉街道である、本町公民館前の広い道を南西に走り、
約400m先の左手にある踏切を渡って、その先の急坂を登る。
ここは、暖かい場所の為か、坂の桜並木が咲いている。

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(踏切と鳥羽山公園に上がる坂道。)

この急坂を登り、10分程で、鳥羽山公園の駐車場に到着。
日頃の運動不足もあり、息切れがするので、日頃からもっと鍛えないと感じる所だ。
また、桜の名所らしいが、山の上の方は、まだ咲いていない。
駐車場の上の広場が本丸跡で、広大な公園として整備されており、かつての城の面影は無い。

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(鳥羽山公園案内板。)
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(駐車場から見た本丸跡。)

古来からの交通の要衝地であった天竜二俣は、軍事的にも重要な土地として、
戦国時代には、今川家、徳川家、武田家の熾烈な攻防の舞台となっている。
かつて、三つの城があったと言われ、「二俣三城」とも言われている。
現在の天竜区役所付近に、笹岡古城と言われる平城(城館)があったそうで、
これが最も古い城になり、天竜川に近い鳥羽山城と二俣城のふたつの山城は、
戦国時代の永禄3年(1560年)以後の築城と伝えられている。

天正3年(1575年)、徳川家康が、武田氏に押さえられていた二俣城を攻略する際、
幾つかの砦や城を作って包囲し、本陣を置いたのが、この鳥羽山である。
ちなみに、もうひとつの二俣城は、この北東約500m先の城山と言われる山中にある。
二俣城の奪還後は、徳川家の城として、天正18年(1590年)に豊臣配下の堀尾家が入城し、
大改修をして、鳥羽山城を完成させたと言われている。
また、ふたつの城は、同等の規模と建物を擁したそうで、双子城の様だったそうだ。
しかし、安泰な江戸時代になると、城の必要性も無くなり、共に廃城となっている。

本丸西奥にある、見晴らし展望台から眺めると、
かなりの急崖で、木々が多い為に川面は余り見えない。
ここには、ロング滑り台が設置され、子供連れの母親達が大勢来ており、
地元の子供達の元気なはしゃぎ声が上がっている。
なお、此処から二俣城に行けるが、途中の道が狭くて、自転車を牽いては無理そうだ。

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(鳥羽山公園見晴らし展望台からの天竜川。)

駐車場に戻ると・・・
木立の間から、天浜線の大きな鉄橋が見えるので、近くまで行ってみよう。

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(木立の間から見える大鉄橋。)

急坂を下り、踏切先の道を左折に行くと、国道である鳥羽山直下のトンネルを通る。
トンネルを出て、東側の住宅地の路地に入り、大堤防【カメラマーカー】まで行く。

大堤防の上から、天竜川を眺める・・・水量も莫大で、雄大に流れる大河である。
向こうの下流にある赤い橋は、飛龍大橋になる。
現在の二俣川の合流地点は、この東側にあるが、
木々が生い茂った河岸を切り通してあるので、この場所からは見えない。

なお、江戸時代末期までは、二俣本町駅近くの二俣川橋梁付近から、二俣川は西に流れ、
二俣城と鳥羽山城の間を流れて、天竜川に注いでいた。
増水時は、天竜川からの逆流に拠る水害が甚大な為、二俣村の名主・袴田善長が多額の私財を投じて、
二俣川の付け替え工事(瀬替え)を行い、現在の合流位置になったそそうだ。
元の合流地点には、堤防が築かれている。

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(大堤防から天竜川下流を望む。)

天浜線の天竜川橋梁は、橋桁が十連もある大鉄橋になっている。
北側の天竜二俣方は三連のトラス橋、南側の新所原方は七連のデッキガーター橋で、
トラスのスパンは62.4mあり、水面からの高さは約15mになる。
トラス部の橋脚上部は二本柱タイプで、昭和初期の建築としては、珍しいかもしれない。

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(大堤防から天竜川橋梁。)
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(歩道橋上から三連トラス部。)
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(歩道橋上から七連デッキガーター部。)

天浜線に並行して架橋している、国道橋の下流側に併設されている歩道橋を渡ってみよう。
幅は約1.5mしかなく、見た目よりも高く感じ、足下の莫大な水量に圧倒される。
今日は風も強く、高い所が苦手なので、渡るのも恐る恐るだ。

◆国登録有形文化財リスト「天竜浜名湖鉄道天竜川橋梁」◆
所在地静岡県浜松市天竜区二俣町鹿島485-2、554番地
登録日平成23年(2011年)1月26日
登録番号22-0160
年代昭和15年(1940年)
トラス部は昭和11年(1936年)、東京石川島造船所製。桁長62.4m。
ガーター部は昭和10年(1935年)、横河橋梁製作所東京工場製で、
八幡製鉄所と日本鋼管株式会社の鋼材を使用。
構造形式鋼製三連トラス及び鋼製七連桁橋、橋長403m、橋台及び橋脚付
特記二俣本町駅から1km先にある天竜川に、南北に架かる。
起点駅の掛川から27.9km地点になる。
橋長403mの単線仕様、北側の三連トラス橋と
南側の鋼製七連桁橋からなる。橋台及び橋脚は鉄筋コンクリート造。
天竜浜名湖鉄道における最長の橋梁で、唯一のトラス橋である。
※文化庁公式HPから抜粋、編集。

上流側に並行して設置してある、国道152号線の銀色トラス橋【黄色マーカー】も立派だ。
名称は鹿島橋(かじまばし)と言い、戦中の昭和12年(1937年)に架橋され、
横の歩道橋は昭和43年(1968年)に追加設置されたものである。
全長は220mあり、天竜川河口から14番目の橋になる。

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(国道橋の鹿島橋。)

実は、この国道橋は、国内に現存する戦前最大のトラス橋になっている。
国内初のカンチレバートラス(ゲルバートラス)橋と言われ、
大きな橋脚が左岸・右岸側に各1本あるが、中央部のトラスに橋脚が無く、
両端のトラス部に支持されている。
その為、両端側は上部構造が複雑で吊り上がりがあり、力強い印象になっている。
その横の歩いて来た歩道橋は、吊り鉄橋になっており、国道橋の橋脚を共用している。

また、橋の北岸近くには、田代家【白色マーカー】という旧家がある。
天正8年(1580年)、徳川家康から御朱印を与えられ、天竜川の水運を取り仕切っていた筏問屋で、
江戸時代には、ここの名主と渡船場も管理していた。
今でも、大きな旧家と立派な庭園が残っているそうだ。
(土日祝日のみの公開になり、今回は平日の為にパス。)



暫く、このふたつの大鉄橋を眺めた後、今度は、駅の女性駅員氏に勧められた
旧市街地に行ってみよう。鳥羽山城下のトンネルを戻り、北に向かって走る。



自転車を漕ぎ、約10分で到着する。
町を南北に走る秋葉街道に並行した、一番西側の静かな通りに面しており、
特に古い町並みが残っているので、城下町時代からの中心地なのだろう。
通りの西側の山中には、二俣城があるが、石垣が残るだけになっている。

ここには、信康山清瀧寺(のぶやすさん・せいりゅうじ)【万字マーカー】があり、
急坂を少し登った町が見渡せる小高い場所に、小さな山門と本堂が構えている。
京都知恩院に属する浄土宗の末寺で、御本尊は阿弥陀如来になっている。

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(清瀧寺山門。)
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(清瀧寺本堂。人気は少なく、緑の多い山寺になっている。)

徳川家康が、自刃した嫡男である信康の為に建立し、寺名を付けた由緒ある寺院だ。
天正7年(1579年)9月、徳川家康の嫡男(跡取り/長男)の信康と母の築山殿は、
当時、家康が仕えていた織田信長から甲斐武田家との内通(スパイ)と謀反の疑いをかけられ、
信康は21歳という若さで、二俣城内にて自刃した。本堂の奥には、信康の霊を供養する信康廟がある。
(※墓地は、撮影しない方針の為、ご容赦願いたい。)

信長の長女の徳姫が信康に嫁いでいたが、姑の築山殿と仲が悪く、信康とも不仲になった為、
不仲な件と内通(スパイ)をしていると、父の信長に伝えてしまったのが原因と言われている。
また、信長の元に弁明に行った、家康の重臣・酒井忠次も、庇いきれなかったそうだ。
これは、徳川家が、織田家の宿敵だった駿河今川家の血筋を汲む事や、
織田家に使える前に武田家と同盟関係があった事、信長には嫡男の信忠がおり、
若いながら名武将の誉が高かった信康を警戒していた為・・・と言われている。

家康も嫡男がこのような処遇になり、絶句しただろう。
生きながらえていたならば、江戸幕府二代目将軍になっていた可能性も高い。
毎年秋には、「信康まつり」と言う祭りがあり、戦国時代の仮装行列などが行われ、
非業の死を遂げた信康を偲んでいる。



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2016年1月5日再編集
2016年7月20日再編集(文体変更・文章講座・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道1日目 23話

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