hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【105】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(8)遠州森駅 前半の部  




起点の掛川駅から、最初の有人駅である遠州森駅に到着する。
改札にいる初老の駅長氏に、1日フリー切符を見せ、撮影と見学の許可を取ろう。
駅長氏の職場でもあるので、ローカル線の有人駅では、挨拶するのがマナーだ。

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(下りホームの国鉄風駅名標。裏側は、天浜線バージョンになっている。)

遠州森駅は、起点駅と終点駅を除き、天浜線の五本指に入る主要駅になっている。
国鉄二俣線の初開通区間の東線として、昭和10年(1935年)4月に、
掛川駅からこの駅まで開業した。
起点の掛川駅からは9駅目、12.9km地点、所要時間約25分、
所在地は周智郡森町森(しゅうちぐん-)、標高39mの列車交換可能駅である。

この遠州森は、南アルプス最南の末端の稜線の間を
北東から南西に流れる太田川右岸に発達した大きな町であり、
周囲に森林が多い事から、そのままの森町の地名になってる。
町役場、高校や消防署等の公共機関も多く、新東名高速道路のインター(※)も近い事から、
この付近の中心地になっている。
かつては、秋葉街道の宿場町と遠州灘で作られた塩の輸送で栄え、
寺院や窯業の町としても有名である。


(国土地理院国土電子Web・遠州森駅。)

駅構内は大変広く、西側の天竜二俣寄りに、乗降ホームと開業当時の木造駅舎が残っている。
また、金指駅(かなさし-)まで延伸した、昭和15年(1940年)6月までの約5年間は、
国鉄二俣東線の終着駅であった。
なお、国鉄時代は、遠江森(とおとうみもり)の駅名で、第三セクター転換後に改称されている。

乗車してきた下り117列車・新所原行きが、先発であるが、少し遅れている模様だ。
タイフォンで挨拶を交わし、上下列車は、ほぼ同時に発車して行く。

過密ダイヤの都市通勤路線では、少しでも遅れると、後続列車に影響するが、
ローカル線のワンマン運転では、無人駅での精算対応もある為、停車時間がかかる事がある。
1-3分程度の遅れは、許容範囲内であり、1時間に1-2本程度のダイヤなので、問題は無い。

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(下り117列車新所原行きが、定刻から少し遅れて、発車して行く。)

2番線ホーム東寄りから、駅全体を見ると・・・
駅舎側の上り1番線は単式ホーム、下り2・3番線は島式ホーム一面二線の千鳥式配置で、
遮断機の無い構内踏切が改札口前にある。
一番外側の3番線は、この駅折り返しの列車に使われている様子だ。
また、駅舎の東側には、広大な空き地が広がり、駐車場になっている。

長さ90m程度の下り2・3番線ホームは、アスファルト舗装がされており、
旅客上屋やベンチも新しく、近代化されている。
建て植え式駅名標の2番線側は国鉄風、3番線側は天浜線バージョンになっており、
花の鉢植えもホーム上に並んでいる。

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(遠州森駅全景。)

東の掛川方は、砂利の盛り土ホームが残り、右カーブの先に太田川橋梁がある。
駅舎並びの空き地は、貨物側線や貨物ホームがあったと推測出来るが、
レールは全て取り外されており、その形跡は残っていない。
なお、この駅の貨物取り扱い廃止は、昭和45年(1970年)になっている。

3番線側のホーム縁部は、土留めが無く、傾斜した土手状になっている。
国鉄時代の3番線も、この状態でだったそうで、2両編成の短い編成しか停まれなかった様だ。

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(掛川方。予算不足だったのか、3番線ホームは有効長が短い。)

駅舎改札口前の構内踏切を渡って、上り1番線ホームと駅舎に向かおう。
この駅舎と隣接する上り1番線ホームは、国登録有形文化財に指定されている。

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(2番線ホームから。)
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(構内踏切から。)

◆国登録有形文化財リスト「遠州森駅本屋及び上りプラットホーム」◆
所在地静岡県周智郡森町森字十七夜前980-2
登録日平成23年(2011年)1月26日
登録番号22-170
年代昭和10年(1935年)3月
構造形式遠州森駅本屋(木造平屋建、瓦葺一部鉄板葺、建築面積146㎡)
上りプラットホーム(コンクリート造、延長86m)
特記森町の中心に位置し、桁行16m、梁間6.0mの木造平屋建。
切妻造桟瓦葺で、正面に切妻屋根、ホーム側に庇を付け、
86m長のプラットホームを設ける。
西を待合室、東を事務所とし、標準的な駅舎の一例。
※文化庁公式HPから抜粋、編集。

1番線ホームにある構内踏切の階段には、中央に仕切りがある。
国鉄当時、長編成の列車が停車した際、鉄板を引き出して、乗降に支障が無い様にしていた。
鉄板は左右二枚あり、ガイドとストッパーの部分がある事から、
引き出した際に鉄板を下から支える部分になっている。
また、蝶番(ヒンジ)が付いた鉄板を跳ね上げて降ろすタイプが主流であったが、
乗降が多い主要駅である事から、左右二枚に分けて大型とし、支柱を造ったのだろう。

なお、駅構内にある構内踏切は、本来ならば、駅利用時以外の通行は制限されるが、
地元の人の往来の便宜上、自転車に乗った人や犬の散歩の人も普通の踏切代わりに通り、
駅長氏に挨拶を交わしていく。ローカル線の有人駅らしい、ほのぼのとした光景だ。

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(上り1番線ホームの構内踏切階段。このゼブラ塗装も、国鉄風味である。)

西の天竜二俣方は、ホームに接続する3本の線路の他、南側にもう1本の線路があるが、
途中で切れており、実際は使われていない模様だ。
現在、駅南側には、大きな工場が建っているが、貨物側線があったのだろう。

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(上り1番線ホームから天竜二俣方。駅舎並びの土蔵風の建物は、公衆トイレである。)

遠州森駅の駅舎は、ひと回り大きい中型木造駅舎になっており、
桜木駅や原谷駅と同じ配置で、西から、待合室、駅事務室、倉庫になっている。
昭和10年(1935年)の開業当時から、ずっと有人駅だった事もあり、
駅事務室の引き戸、白漆喰の壁や二段窓等は良い状態が保たれている。

また、傷みやすい窓枠が、開業当時の木製のままであるのは、今では貴重である。
老朽化の為、アルミサッシの窓枠に交換されている駅が多い。

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(改札周辺。改札は、簡易な鉄製ポールに交換されている。)

改札横の柱には、乗越精算時の運賃早見表と改札鋏(かいさつきょう※2)が、
吊り下げられているのも、有人の木造駅舎らしい。

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(運賃早見表と改札鋏。)

駅事務室の柱には、一句の木札が・・・渋い木の質感と合わさり、良い感じだ。
横の防火用水が入った赤ドラム缶や金属バケツも、昔のままである。

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(駅舎の一句と防火用水。)



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(※)訪問時は、未開通。平成24年(2012年)4月開業。
(※2)切符に、検札済みの切れ込みを入れる鋏。

【謝意】
しなの7号様、構内踏切についてのご教授、ありがとうございます。

2016年1月3日再編集
2016年7月14日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道1日目 23話

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