hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【6】SL列車とレトロ駅訪問の旅・・・大井川鐵道2010(6)SL急行かわね路号 新金谷駅から家山駅へ。  


大勢の乗客を乗せる為、5分程、新金谷駅に停車する。
到着する蒸気機関車を撮影する為に、ホームの北端に居たので、最後尾の1号車に急いで向かう。

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【駅】※急行の為、家山駅まで全て通過。
新金谷1158==代官町==日切==五和==
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定刻の11時58分になると、汽笛を鳴らして発車になる。
前の車両から、ドーンと次々に連結器に牽引が伝わり、乗客から歓声が上がる。
電車には無い、ゆっくりとした発車で、これも懐かしい。

新金谷駅から千頭駅までは、39.5kmあり、約1時間の旅になる。
ここから終点の千頭駅までは、標高差が300m程ある為、線路はずっと登り調子になる。
また、春の桜の時期なので、今日は大変混んでいるそうだ。

IMGP1432.jpg
(2号車の車内風景。満席である。家族連れ客よりも、年配客が意外と多い。)

此処で、簡単に大井川鐵道の歴史について、触れておきたい。
大正7年(1918年)に静岡で設立された、駿府鉄道(すんぷ-)がその始まりになっている。
最初は、名古屋にある紡績会社と地元の人達により、静岡から千頭までのルートで計画された。
大正12年(1923年)の関東大震災後、復興の為の木材の需要が高まり、
大井川上流の奥大井から木材を輸送する機運が高まった為だった。
そこで、起点駅を国鉄島田駅に変更し、大井川東岸を北上するルートに変更されたが、
資金難の為に着工が出来なかった。



そこで、金谷に住む地元有力者達が新たに参加し、
大正14年(1925年)3月に、大井川鐵道が設立されている。
これにより、現在の金谷駅から大井川の西岸を北上する路線に変更された。
そして、翌年に着工し、昭和2年(1927年)に、金谷駅から横岡駅間の6.5kmが開通した。
当初は、蒸気機関車2両、客車4両と貨車4両で、客貨混合列車の運行を開始したそうだ。

その後、大井川流域の電力開発を進めたい電力会社も協力し、資本金も増資されて、
昭和4年(1929年)以降、大井川を北上しながら徐々に延伸開通し、
昭和6年(1931年)12月に、約4年の歳月をかけて、終点の千頭駅まで開通している。
また、昭和5年(1930年)からは、ガソリンカーや気動車も併用運行を始めた。
終戦直後は、石炭の入手が困難だった為、昭和24年(1949年)に電化され、蒸気機関車を廃止。
昭和51年(1976年)の復活まで、一旦、姿を消すことになる。

◆路線データ◆
金谷駅から千頭駅まで、路線キロ39.5km、駅数19駅、所要時間約1時間10分、
軌間1,067mm、全線単線、直流1,500V電化、普通列車はワンマン運転、SL列車は急行運転。

◆略史◆
昭和2年(1927年)6月 金谷駅から横岡駅(現在は廃止)まで初開業。
昭和4年(1929年)12月 家山駅まで開業。
昭和5年(1930年)7月 塩郷駅まで開業、内燃機関車両の併用開始。
昭和6年(1931年)12月 終点の千頭駅まで開業。分岐点から横岡駅間の休止(1939年廃線)。
昭和24年(1949年)11月 全線電化、電気機関車導入。
昭和26年(1951年)8月 電車の運行を開始。
昭和51年(1976年)7月 蒸気機関車の運行再開(日本初の復活蒸気機関車による運行)。
昭和58年(1983年)10月 鉄道貨物営業の廃止。
昭和59年(1984年)12月 一部列車をワンマン化。
平成15年(2003年)8月 神尾駅構内で、大規模土砂崩れ災害発生し、不通となる。
平成15年(2003年)10月 五和駅から神尾駅間に横岡駅(仮設)が復活、代行バスの連絡駅となる。
平成16年(2004年)3月 全線の運行再開、横岡駅(仮設)の廃止。

初開業の区間は、金谷駅から五和駅の北900m地点(現・五和変電所付近)の本線から分岐し、
そこから大井川の船着場に伸びていた横岡支線の横岡駅までになる。
家山駅まで延伸した後は、本線からスイッチバックをして、支線の横岡駅まで運行していたそうだ。
その後、昭和6年(1931年)に休止線となり、その8年後に横岡駅も横岡支線も廃止されたが、
横岡駅は、平成15年(2003年)の災害復旧工事の際、代行バスの連絡駅として一時復活した。
但し、旧駅の場所ではなく、五和駅から400m先の東名高速道路高架橋の下に設置された。
なお、五和駅から横岡駅(仮設)間は、昔ながらのスタフ閉塞方式で運行されたそうだ。
平成16年(2004年)の全線復旧後、横岡駅(仮設)は、用途廃止になっている。

新金谷を出発すると、道路沿いの金谷の町の中を暫く走る。
途中の家山駅からの車窓が良いので、名物駅弁「汽車べんとう」を先に食べよう。
本物の旧型客車に乗って食べるのも、格別だ。

IMGP1431.jpg

中身は幕の内風、桜えび揚げやワサビ漬けがご当地風で、ご飯は菜めしになってる。
味はややあっさり風味で、凄く美味しい。なお、醤油差しはSLの形をしている。
税込1,350円と高いが、量が1.5人前位で、オリジナルお茶缶も付いている(※)。

IMGP1429.jpg

乗車している1号車スハフ42-304のボックス席の草臥れた感じは、
長年現役で使われた生きた証拠で、旅情を感じさせる。
車内灯は、走行距離が少ないことから、バッテリー保護の為に半分減灯しており、
少し薄暗い感じになっている。

IMGP3627_2016073014005681b.jpg

窓下の栓抜きとJNRマーク付き灰皿が残っている。今の若い人は知らないかもしれない。
なお、禁煙になっているので、使う事は出来ない。

IMGP3628.jpg

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【駅】※急行の為、家山駅まで通過。】【→トンネル 〓→橋
=五和=】【=神尾=】【=福用=】【=大和田=〓(支流)=1224家山
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恒例の専務車掌氏の沿線解説や鉄道唱歌の披露、ハモニカ演奏が始まり、車内は大変賑やかだ。
今日はノリが良く、隣の車両の年配の団体客が、ハモニカに合わせて歌ったりしている。

列車は、三つ目の五和駅(ごか-)を過ぎると、金谷の町並みを離れ、
鬱蒼とした高台の木立の中から、山のを左に、大井川を右に見ながら、狭い川辺りの線路を走る。
15‰の長い登り勾配が始まり、時速40km位のゆっくりとした速度で、激しく横に揺れながら、
「カッタン、カッタン」と言うジョイント音と鉄の車輪がレールの上をゴロゴロと転がる感じが、
シートからはっきりと判る。

本線で一番の秘境駅である神尾駅を通過し、少し長い地蔵坂トンネルを抜けて、
福用駅を通過すると、撮影地で有名な「福用のS字カーブ」がある。
しかし、撮影に失敗・・・「乗ると撮れず、撮ると乗れず。」で難しい。
大きく、ゆっくりとくねりながら、長編成の列車が通過する様は、見所になっている。

再び、山間に入って行き、16.7‰の登り勾配ときつくなって来る。
罐をどんどん炊いているので、煙が最後尾まで流れる。

IMGP1434.jpg
(福用駅先の登り勾配。小川もある細長い小谷になっている。)

この坂のサミットにあるトンネルを抜けると、右窓に大井川がまた見える区間になり、
大和田駅を通過して、次の停車駅の家山駅を目指す。
線路際にも、茶畑が増えて来ている。

IMGP1435.jpg
(福用駅から大和田駅間。狭い場所に茶畑があるのも、面白い。)

左右の視界が急に開けて、大井川支流の家山川の鉄橋を渡ると、家山駅に到着する。
バスで来ている団体ツアー客は、この駅で下車する。

IMGP1439.jpg
(桜並木が並ぶ家山駅に到着する。)
IMGP1440.jpg
(家山駅。)

この家山駅は、昭和4年(1929年)延伸時に開業、起点の金谷駅からは17.1km地点、
所要時間約30分、所在地は島田市川根町家山、標高141mで新金谷から72m登って来ている。
木造平屋駅舎のある社員配置有人駅で、南北に配した島式ホームと側線2本がある。
1日の乗車客は約300人で、映画等のロケや旅行番組でも、良く紹介される駅である。

此処は、旧・川根町の中心地として、大井川支流の家山川が合流する湿地に発達した町だそうで、
現在も、市役所の支所や銀行等が置かれ、この付近の中心地にもなっている。
また、駅構内や少し離れた場所には、桜の大並木があり、大井川鐵道沿線一の名所となっている。

駅舎側の側線を見ると、オハニ36-7が留置されている。
原型を留めている現役の客貨合造客車は、今では大変珍しい。
鉄道手小荷物輸送が盛んだった頃、輸送密度が低いローカル線向けに作られた、
半分客室、残り半分荷物室の合造車である。
現在は、在来線特急車両等で、普通車とグリーン車の合造車が見られる。

この車両は、国鉄時代末期に山陰本線で活躍し、福知山区で昭和62年(1987年)に廃車され、
その後は日本ナショナルトラストに譲渡された。
現在は、大井川鐵道に委託され、イベント列車で活躍している。
また、JR東日本の高崎車両センターにも、同形式のオハニ36-11が在籍している。

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(オハニ36-7。至近距離の為、新金谷駅で昨年撮影。)

家山駅を過ぎたら、下車した団体客が乗車していた車両に移動しても大丈夫だ。
此処からは、進行方向左側の景色が良くなり、団体客向けの車内放送も無いので、
静かに汽車旅を楽しめる。
暫くすると、汽笛が大きく鳴り響き、家山駅を12時29分に出発する。



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非常に混んでいた為に撮影が難しく、昨春の訪問の写真を一部利用しています。

2015年11月21日再編集
2016年6月26日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)
2017年3月14日再編集(画像調整)

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category: 大井川鐵道本線2010 全15話

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