hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【106】遠州湖北と国鉄遺産を訪ねて・・・天竜浜名湖鉄道(9)遠州森駅 後半の部  


上り1番線ホームから改札を通り、待合室に入ってみよう。
改札を通った瞬間、木造駅舎独特の匂いと、ひんやりとした空気を感じる。

待合室の広さは20畳位あり、中央部がアイボリーに塗られた長板張りの高い天井は、
外縁部よりも少し凹んでいる簡素な化粧天井になっている。
また、改札上には、駅としては珍しい縦板スリット状の欄干があり、
床はコンクリートの打ち放しで、細溝で枡形に模してある。
戦時中の建物なので、過度な装飾の無いシンプルなデザインは、機能的に感じる所だ。

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(改札口と待合室。)

西側の二段窓に沿って、木造ロングベンチが据え付けられているのは、
国鉄二俣東線として同時に開業した桜木駅や原谷駅と同じだ。
奥が少し低い横板の張り方、擦り切れた角や塗装の草臥れが、歳月を感じさせる。

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(天竜二俣方の窓下にある木造ロングベンチ。)
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(待合室。)

また、待合室中央には、モダンな肘掛けが付いた木製ベンチが置いてあり、
非常にレトロな雰囲気を放っている。
反対側のベンチには肘掛けが無く、脚部の構造も違うので、造られた時期が違う様だ。

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(待合室中央にある木造ベンチ。此方側の方が、古く感じる。)

改札横に出っ張った出札口は、今でも使われており、昔のままである。
今では、ローカル線の中小鉄道会社にとって、重要な収入源になっている
オリジナルグッズや記念切符等も、沢山取り揃えてある。
勿論、硬券切符も発券しており、入場券と主な目的地駅行きのみの数種類との事で、
その中には、大井川鐵道接続駅のJR金谷駅(かなや-)までの片道連絡切符もある。

また、今よりも乗客が多かった国鉄二俣線時代の昭和36年(1961年)5月から、
昭和41年(1966年)9月までの約5年間は、この駅まで遠州鉄道経由の直通列車があった。
遠州鉄道が、国鉄の払い下げ気動車を使って、浜松から西鹿島・天竜二俣経由で列車を運行し、
一時は、かなりの利用客があったそうだ。

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(出札口。ローカル線向けに、出札業務と改札業務が兼任できる設計になっている。)

鉄道小荷物の窓口は、板で閉鎖されているが、手前には大きな箱状の台が残っており、
テーブルでないのは珍しいかもしれない。
その横には、自動券売機が一台置いてあり、早朝と夜間は駅長氏が不在の為、
その時間帯は発券を休止する為に木扉が付いている。
暫くすると、子供ふたり連れ母子が、切符を買い求めに来た。

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(鉄道手小荷物窓口跡と自動券売機。出札口の営業時間は、夕方16時半までになる。)

壁の上の方を見ると、かつて天浜線を走っていた車両の写真も・・・
地元の鉄道ファンが撮影したものだろう。
左は、富士重工製レールバスのTH1形、右は、廃止されたTHT形トロッコ列車である。
レールバスの撮影日は、第三セクター転換時に導入された頃の平成8年(1996年)2月20日、
3両編成のトロッコ列車は、平成12年(2000年)5月12日との事。

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(第三セクター転換時のTH1形軽快気動車とトロッコ列車。)

天浜線のトロッコ列車は、「そよ風号」の愛称で人気を博し、
平成12年(2000年)3月26日から運行を開始したが、
トロッコ車両の老朽化の為、平成19年(2007年)に運行廃止になっている。
残念ながら、トロッコ列車用客車THT100とTHT200は、廃車になってしまった。
なお、無動力のトロッコ客車2両を、エンジンを搭載した専用塗色のレールバスTH211が、
平成17年(2005年)頃からは、TH3501が後ろから推進(後押し)をして、
この遠州森駅から三ヶ日駅まで走っていたそうだ。

トロッコ車両は、国鉄貨車の無蓋貨車トキ25000を大改造したもので、
コストダウンの為、高価な運転台等は長良川鉄道の廃車再利用品を使い、
客席は木製椅子のクロスシート配置、小さなテーブル付きだった。
客車1両の車長は約14m、改造後の自重は約18tである。
三ヶ日方の先頭のトロッコ客車には、制御客車として運転台が設置され、
最後尾の気動車を遠隔制御出来る様になっており、
三ヶ日駅からの折り返しの上り列車は、先頭の気動車が客車を牽引した。

なお、乗車には、普通運賃の他、トロッコ乗車券400円(定員制の自由席)が必要で、
別料金260円(1台)を支払えば、最大6台迄の自転車を乗せる事も出来た。
末期には、「トロッコ列車弁当」(当時1,000円)も発売されている。
天浜線は、懐かしいローカル線風景や風光明媚な浜名湖が眺められる事から、
是非とも、復活して欲しい所だ。



駅前に出てみよう。
駅出入口には、重厚な木製引き戸があり、これも開業当時のままだろう。
五枚の横板がはめ込まれており、上の二枚はガラスになっている。

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駅舎は、桜木駅や原谷駅と同じ大きな二段窓があり、下部が板張りで、上部が白漆喰の外壁である。
車寄せは、三角屋根のトタン葺きで、特製の駅名標が掲げられている。

入口横の小さな土蔵風建物は、電話ボックスである。
その横に、丸い赤ポストも、さり気なく寄り添っている。

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(駅舎全景。)
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(特製の駅名標。)

出入口横から見ると、大きな二枚窓の木の窓枠と腰板が、良く判る。
嵌め込まれているガラスも、僅かに歪みがあるアンテークガラスだ。
なお、外壁は大変綺麗なので、補修されている様である。

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舗装された広い駅前広場は、普通の自動車ならば、そのまま転回出来る。
大きな観光案内板や花壇も。設置されている。

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(駅前にある観光案内板と花壇。地元の人達が手入れをしている。)
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(駅に面する道路。)




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2015年12月3日再編集
2016年1月3日再編集
2016年7月14日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: 天竜浜名湖鉄道1日目 23話

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