hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【年末年始特番2017】知多蔵めぐりの旅(1)名古屋鉄道豊橋駅から知多半田駅へ。  


静岡県東部の岳南電車(がくなん-)と名古屋鉄道蒲郡線(がまごおりせん)の取材の途中、
丸一日は、あまり訪れる機会のない、愛知県内の観光をしようと考えた。

名古屋鉄道沿線をキーポイントとし、候補地はいくつか考えたが・・・
知多半島か有名な犬山城や明治村、もしくは、名鉄線を利用せずに渥美半島にしようかと悩む。
とりあえず、愛知県東部の玄関駅である豊橋駅まで向いながら、考えよう。
今旅のベースホテルとしている、掛川駅前のビジネスホテルには連泊をするので、
着替えなどの大きな荷物はホテルに置き、たすき掛けの小型カメラバックだけの軽装だ。

朝一番の下り東海道本線岐阜行きの列車に乗車し、7時前に豊橋駅に到着。
平日の朝なので、駅のコンコースは慌ただしく、通勤通学の人々が往来している。
実は、豊橋到着時でも、まだ行き先を決めかねていて、改札前で暫く思案していたが・・・
改札横に名古屋鉄道の有人出札口があるので、ちょっと聞いてみよう。

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(朝の豊橋駅在来線改札口。新幹線停車駅でもあるので、立派な駅になっている。)

朝の慌ただしい中、恐る恐る、「どこか、お勧めの場所はないですか?」と尋ねてみると、
発券業務の合間に3-4人の出札係が総出で対応してくれた。
色々と話を聞くと、「初めての訪問ならば、知多の半田周辺が良いですよ。」との事。
知多半島には、焼き物で有名な常滑(とこなめ)もあるが、意外と見所が少ないそうで、
半田ならば、歴史のある蔵も沢山見られるそうだ。

出札係の人達の勧めで、半田方面に行くことにしよう。
愛想の良い中年の出札係氏が、観光パンフレットと名鉄路線図を引き出しから探して渡してくれ、
名鉄の1日フリー乗車券「まる乗り1DAYフリーきっぷ」(大人3,100円)も、発券して貰う。
また、8時を過ぎれば、名古屋方面行きの列車の混雑も少なくなるとアドバイスを受け、
もう少し待ってから出発することにする。
お礼を言い、朝食をまだとっていなかったので、改札内コンコースにある喫茶店に入る。





焼き立てパンとコーヒーをとりながら、パンフレットを見て、大まかな予定を立てる。
半田とその南の武豊(たけとよ)も、蔵の町らしいので、両方行ってみようと思う。
散策マップや詳しい情報は、駅か現地の観光案内所で入手するつもりだ。

8時を過ぎたので、人々の流れに乗って、名古屋鉄道の3番線ホームに向かう。
朝の8時台と言っても、東京程の窮屈な感じはなく、列車のホーム到着時に混む感じで、
車内も新聞が広げられる程度の混雑だ。
名鉄の車両はロングシートの通勤型電車であるが、特急列車にはリクライニングシートの
特別車両が併結されているそうで、別に特別車両券(360円)を買えば、利用できるとのこと。
名鉄では、「ミュー(μ)チケット」と言うらしい。

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(右隣1・2番線はJR飯田線ホームになっており、名鉄は乗り入れている感じになっている。
   なお、線路配置の関係で、名鉄線と飯田線は入線と発車に相互制限がある。)

名鉄線3番線とJR飯田線1・2番線ホームは、頭端式の様になっている。
丁度、名鉄岐阜行き特急の発車間際であり、どんなものかと思ったので、
ホーム頭端にある特別車両券出札口に行き、前の乗客に倣って購入しよう。
特別車と言う言葉も関東では聞き慣れず、戸惑ったので、運転室窓から身を乗り出した
車掌氏に聞くと、そのまま最後尾方の車両に乗車すれば良いだけとのことだ。
普通の通勤電車に、関東で言う通勤ライナーの指定席の車両が、付いているみたいな感じである。

豊橋寄りの2両が、乗降デッキ付きの特別車になっており、座席も指定になっている。
乗車率は30%程で、通勤客と観光客が半々の感じだ。座席は国鉄やJRよりも低いのに驚く。
車内は昭和の特急デザインが満載で、豊橋方先頭車両は展望車(パノラマカー)になっている。

なお、名鉄全線乗り放題の「まる乗り1DAYフリーきっぷ」は、10時から16時まで、
特別車フリーの特典が付いているのが面白く、関東民鉄には見られないサービスである。
但し、席の指定は出来ず、空いている席に座れば良いとのことだが、
指定席客が来た場合は席を譲るルールだそうだ。

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(名古屋鉄道本線特急の特別車の様子。懐かしい昭和の雰囲気と厚いシートが良い。)
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(名鉄まる乗り1DAYフリーきっぷとミューチケット。)

半田最寄りの知多半田駅までは、この豊橋駅から名古屋方面に向かい、途中の神宮前駅で下車し、
河和線(こうわせん)に乗り換えになる。神宮前駅からは、特急も含めて行けるそうだ。

定刻の8時15分に豊橋駅を発車して暫くすると、車掌氏の車内検札が始まる。
名鉄特急の車内放送は、学校風電子チャイムの後に肉声の案内であるのも、
懐かしい昭和のままのスタイルである。

列車は豊橋市街を抜けると、山がちな緑の多い車窓になり、名鉄特急の本領発揮となる。
国鉄時代から名古屋・豊橋間のスピード競争で有名な名古屋鉄道本線は、
同じ狭軌路線ながら、直線区間では飛ぶように走り、度肝を抜かれる。
デッキ扉上の速度表示器は、時速100km前後で、長い直線区間では115kmを示すこともあり、
新設路線を除く国内在来線の最高時速上限120kmに近い(※)。
これと比べると、関東大手民鉄の古い路線は、割りとのんびりと走るものだ。
また、名古屋鉄道本線に乗車するのは初めてであり、見知らぬ駅ばかりなので、
注意深く、貰った路線図と現位置を確かめる。

なお、名古屋鉄道は、中小の地元鉄道会社が頻繁に合併を繰り返した会社なので、
本線の歴史は複雑であるが、愛知電気鉄道として、大正6年(1917年)に
神宮前駅から四駅豊橋方の笠寺駅(現・本笠寺駅)まで、開業したのが始まりである。
昭和2年(1927年)には、神宮前駅から吉田駅(現・豊橋駅)までが開業し、
昭和10年(1935年)に、現在の名古屋鉄道に社名変更をしている。



特急は、国府(こう)・東岡崎・新安城(しんあんじょう)・知立(ちりゅう)の四駅のみに
途中停車し、豊橋駅から62.2km・所要時間約45分で、神宮前駅に到着する。
もうここは、名古屋市内の駅であり、三駅先(特急は二駅先)は名鉄名古屋駅である。

二面四線の中規模駅であるが、半田方面の河和線と中部国際空港セントレア方面の空港線が
分岐しているので、名古屋方面との直通列車の発着は数分おきと非常に忙しく、
発着の度にホームも混雑している。
しかし、暫く眺めていると、6-8両編成の特急が発着するかたわら、ローカル線並みの2両編成の
普通列車や準急が、この繁忙な本線を走って来るのも、関東では見られず、面白く感じる。
また、名鉄と言えば、吸い込まれるようなスカーレット一色の車両が有名であるが、
最近の車両には白色、銀色や帯付きもあり、列車種別などに応じて、
2両、4両、6両、8両編成と柔軟に編成されているのが特徴だ。

なお、JR東海道本線が横に走っているが、ここでは旅客接続はせず、
500m名古屋寄りにあるJR熱田駅が、最寄りの接続駅になっている。
時折、JR東海313系電車が、けたたましく猛スピードで通過して行く。

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(神宮前駅を発車する特急名鉄岐阜行きパノラマスーパー1000系。運転席は1階にある。)
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(伝統色スカーレットトレインの普通金山行き6800系2両編成が到着。)

9時18分発の河和線・知多新線特急内海行き6両編成に乗り換えになる。
知多半田駅までは三つ目なので、特別車には乗らず、転換クロスシートの一般車に乗車する。
河和線は終点のひとつ手前の駅まで、複線になっており、太田川駅で空港線と分岐すると、
時速100km前後の高速運転と普通列車を追い抜き、田畑が混在する町中を走って行く。
この付近は、なだらかな丘陵地帯になっている様だ。

次第に田んぼが多くなり、長閑な車窓になってくると、所要時間約20分で知多半田駅に到着。
半田駅は高架駅になっており、駅の階段を降りると、大きなロータリーがある。
気温は低く、風も少しあるが、日差しは暖かい快晴なので、今日一日大丈夫であろう。
なお、時刻は9時40分を過ぎた所だ。

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(知多半田駅に到着。丁度、特急同士の行き違いになる。)
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(名鉄知多半田駅の東口。)

橋上の改札口から、半田の中心地方面の東口に降りてみよう。
階段下には、ふたつの観光案内板があり、駅周辺の見所を簡単に紹介している。
運河や蔵の他、レンガ建物もあるそうなので、行ってみよう。
また、童話「ごんぎつね」で有名である、昭和初期の児童文学作家・新美南吉(にいみなんきち)の
故郷になるとのこと。確か、小学校の教科書に載っていた覚えがある。

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(YouTube【ごんぎつね】新美南吉の童話朗読・動く絵本/日本の昔話。※音量注意、再生3分38秒。)

(つづく)



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(※在来線の速度上限)
旧来の在来線の最高速度上限は、時速120km(一部に130kmあり)であるが、
新設の在来線では、時速160km運転をする路線があり、国内在来線の最高速度になっている。
京成成田空港線のスカイライナー、北越急行ほくほく線の特急はくたか(現在は廃止)がある。
時速90km以上の走行は、踏切安全性や高い線路保守技術、車両の高ブレーキ性能が求められる為、
コストも掛かり、主要幹線を除いて、開業の古い路線やローカル線は難しい場合が多い。

【参考資料】
名鉄沿線のご案内・名鉄路線案内図(名古屋鉄道発行・2015年)
知多半島ぶらぐる散歩(知多半島観光圏協議会・名古屋鉄道発行)

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category: 三河知多蔵めぐり 全6話

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