hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【294】塩田平を行く、信州の鎌倉へ・・・上田電鉄別所線(1)上野駅から、上田駅へ。  


長い冬が明け、大分暖かくなった5月中旬である。
恒例の春旅は、やや遅くなったが、信州方面のローカル線に行こうと思う。
近年、廃線の再危機から、存続活動が盛んである、長野県中部の上田電鉄別所線に行こう。

朝5時前に早起きし、先ずは、北への出発駅の上野駅まで向かう。
中央改札口横のびゅうプラザで、別所線の起点の上田駅までの切符を手配する。
首都圏から片道約200㎞しかないが、信越本線の横川駅から軽井沢駅間は廃線となって、
交通難所化で時間がかかる上、日帰りの予定なので、長野新幹線(北陸新幹線)を使う事にしよう。

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(上野駅中央改札口。やはり、北への旅立ちは、この駅が似合う。)

朝食のサンドイッチや飲料を手配後、新幹線改札を通って、地下20番線ホームに向かう。
6時30分発の長野行き「あさま501号」の自由席に乗車する。
新幹線は6時台から、北の各方面への朝一番の新幹線速達列車は約5分刻みの発車で、
遠方に早く到着するには、夜行列車を利用した時代が長かった事を考えると、今は本当に楽である。
車窓は全く楽しめないが、地方ローカル線訪問時に便利なので、新幹線を上手に利用したい所だ。

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(新幹線発車電光式案内盤。)

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上野630=======751上田
長野新幹線下りあさま501号・長野行き
E2系N3編成8両編成・1号車自由席4A席
(片道運賃料金・合計5,940円)
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20番線ホームで待っていると、東京始発のあさま501号が、滑り込んで来る。
朝一番の長野行きであるが、意外と空いており、自由席も二割位の乗車率だ。
長野新幹線開業時に新製されたE2系は、意外と足元が広くて快適であり、
モーター音よりも空調音等の方が大きいのは、この東京方先頭車の1号車が付随車だからだろう。

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(上野駅20番線ホームに、長野行きあさま501号が到着。)

上野を定刻に発車し、東北方面との分岐駅である大宮駅を過ぎると、高速運転に入る。
大宮駅からは、ビジネス客が多く乗車して来て、座席の半分が埋まった。
在来線では2時間もかかるが、北関東の鉄道要衝地である高崎駅に約50分で到着すると、
高崎で半分近くの乗客が降りるが、入れ替わり乗車で四割位の乗車率となる。
ここからは、山に向かって走り、幾つものトンネルと急勾配を登って、
碓氷峠(うすい-)を軽々と通過すると、上野駅から約1時間で軽井沢駅に停車。
そこから、浅間山を右窓に少し望みながら、軽井沢から約20分で上田駅に到着する。

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(上田駅新幹線2番線ホームに到着する。通過線の無い、対向式ホームになっている。)

なお、国鉄信越本線時代の長野・直江津行き特急あさま号は、上野駅を毎時1本発車し、
繁忙期は臨時列車も多く運転され、軽井沢行き急行軽井沢号等も運転されていた。
また、信越本線経由の金沢行き特急白山号も、若干運転されていた。
上野から上田までの特急利用で2時間30分かかり、全て普通列車利用の場合は、
上野から高崎までと高崎から上田まで各2時間を要したので、計4時間近くかかっていた。





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(上田駅は、JR東日本の管轄駅である。)

日本海に向かう北国街道(ほっこく-)の宿場町だった上田は、千曲川上流の主要都市となっている。
地勢は、東西は地溝帯、南北は山に挟まれ、市中に千曲川が流れる寒冷な内陸盆地で、
年間降水量900mm程度の国内有数の少雨地域であるが、水利は良い土地柄だ。

千曲川右岸に旧市街が発達し、長野県内で三番目に大きな市の人口は15万人程で、
上田城を擁する城下町になっている。
また、六文銭の家紋や大阪冬の陣で名を轟かせた、真田一族の生まれ故郷であり、
関ヶ原の戦いに向かっていた、徳川秀忠(ひでただ/後の徳川幕府第二代将軍)の4万に近い大軍を、
その約1/20の兵力で、この上田に完全に引き止めた史実も良く知られている。

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(新幹線ホームからは、上田の町並みが見える。山々に囲まれているのが、良く判る。)



ここで、上田電鉄別所線の歴史に少し触れてみよう。
この上田駅より、塩田平(しおだだいら)と言う平坦地を横断し、古湯の別所温泉郷を結ぶ、
路線キロ11.6kmの小さな民営ローカル線である。



沿線の近代化と別所温泉への湯治客輸送の為、地元有力者達が発起したのが始まりで、
上田温泉電軌こと、通称「温電」として、大正10年(1921年)6月に開業した。
当初、上田駅に乗り入れておらず、千曲川を渡った先の三好町駅(現・城下駅北側付近)から、
現・国道143号松本街道に沿った、青木駅までの10.6㎞の併用軌道線(路面電車線)であった。
なお、途中の上田原駅から別所温泉駅(当時は別所駅)へ分岐した8.7㎞は、川西線になっていた。
開業から3年後、千曲川に架かる鉄橋が架けられ、上田駅に乗り入れている。
後に、上田原駅から青木駅間の本線は廃線になり、支線であった川西線が別所線になった。

また、昭和18年(1943年)には、上田市内から信越本線大屋駅(現・しなの鉄道)を経由し、
丸子町まで南下していた、丸子鉄道(通称・丸鉄)を合併した。
別所線、西丸子線、丸子線、真田傍陽線(-そえひ-)の四路線48㎞の大きな地方民営鉄道になり、
戦後の昭和30年代頃に最盛期を迎えたそうだ。

その後、戦後のモータリゼーション化によって、別所線以外は廃線となってしまった。
別所線自体も、昭和48年(1973年)に廃止方針が決定したが、
存続運動と補助金による存続が図られ、90年代に補助金を返上する程、持ち直している。
しかし、平成14年(2002年)頃になると、多発する地方鉄道の重大事故により、
国土交通省指示で鉄道安全設備の整備が必要になった事から、存続問題が再発した。
そこで、鉄道事業のみを分社化し、安全設備費と修繕費の公的支援を受ける事になった。

なお、開業当初から、東京の玉川電気鉄道から譲渡された電車で運行しており、
蒸気機関車や気動車は運行されなかった路線である。
玉川電気鉄道が後の東京急行電鉄に合併された事や、昭和の頃に経営再建の資本参加を受けた事から、
東急グループに属する地方鉄道会社のひとつになっている。

◆路線データ◆
民営鉄道、上田駅から別所温泉駅間、路線キロ11.6km、駅数15駅、所要時間約30分、
狭軌1,067mm、全線単線、全線1,500V電化、ワンマン運転。

◆略史◆
大正10年(1921年)6月 上田温泉電軌青木線(三好町駅-上田原駅-青木駅間)と
             支線の川西線(上田原駅-別所温泉駅間)が、同時に全線電化で開業。
             全線、軌道法による、路面電車規格で開業する。
大正13年(1923年)8月 千曲川橋梁が架橋され、上田駅に乗り入れる。
昭和2年(1927年)12月 青木線の三好町駅から上田原駅間の併用軌道を廃止し、専用軌道化。
昭和13年(1938年)7月 青木線(上田原駅-青木駅間)廃止、上田駅-別所温泉駅間が川西線になる。
昭和14年(1939年)3月 軌道法から地方鉄道法による、一般鉄道に変更。川西線を別所線に改称。
昭和18年(1943年)10月 丸子鉄道を合併し、上田丸子電鉄となる。
昭和28年(1953年)9月 架線電圧を直流600Vから750Vに昇圧。
昭和38年(1963年)10月 西丸子線廃止。
昭和44年(1969年)4月 丸子線廃止。
昭和44年(1969年)5月 上田交通に社名変更。
昭和47年(1972年)2月 真田傍陽線廃止。営業路線は、別所線のみになる。
昭和59年(1984年)11月 鉄道貨物廃止。
昭和61年(1986年)10月 架線電圧を直流750Vから1,500Vに昇圧。
平成16年(2004年)12月 国・長野県・上田市から、鉄道安全設備と修繕費の公的支援決定。
平成17年(2005年)10月 上田交通から分社して、上田電鉄となる。



エスカレーターを降りて、改札口に向かおう。
新幹線駅としては、改札口は小さく、静かな駅である。

改札口横では、真田の六文銭をあしらった赤鎧が迎えてくれる。
六文銭の意味は、周知の如くであるが、あの三途の川の渡り銭(冥銭)である。
武士として、決死の戦いの意思も示したのであろう。真田軍のシンボル色にも、なっている。

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(新幹線改札口横の真田赤鎧と陣幕。)

この上田駅は、明治21年(1888年)8月に、官営鉄道が長野駅からの延伸時に開業した駅である。
信越本線の主要駅として栄え、平成9年(1997年)10月のJR東日本の長野新幹線開業後は、
第三セクターのしなの鉄道と上田電鉄別所線との乗換駅になっている。
なお、平成6年(1994年)12月に、橋上化された。

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(上田駅。ビルの壁面にも、六文銭のオブジェがある。)

千曲川沿いの低地であるが、標高は約450mあり、高原の空気を感じる。
気温は18度位で、湿度も低く、とてもサラッとしていて快適だ。

駅前には、大きなロータリーが整備されている。
上田市周辺は、高原や温泉等の観光地が豊富で、高原リゾートやスキーが盛んであり、
代表的な観光地として、別所温泉の他、丸子温泉、菅平高原や美ヶ原高原等がある。

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(ロータリー前の観光タペストリー。)

上田電鉄別所線の駅は、平成10年(1998年)に橋上化しており、
新幹線改札口を一旦出て、左手の階段を上がったコンコースの奥に別所線の改札がある。

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(上田電鉄別所線上田駅。)



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【参考資料】
RMライブラリー「上田丸子電鉄」下巻(宮田道一、諸河久著・ネコパブリッシング刊・2005年)
鉄道ジャーナルNo.472「地方鉄道レポート22・上田電鉄別所線」(鈴木文彦著・2006年2月号)
上田市マルチメディア情報センター公式HP(上田市の公共機関)

2016年12月24日再編集(画像入れ替え高解像化・校正)

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category: 上田電鉄別所線 全9話

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