hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【246】潮騒と浪漫の小さな鉄道・・・銚子電気鉄道(1)春の銚子へ、銚電銚子駅にて。  


季節は、春・・・恒例のローカル線の旅の季節だ。
この時期は適度な気温で、日中は過ごし易く、写真撮影も適している。
日も長くなっているので、行動可能時間も有効に使える。

今回の旅は、千葉県東部の小さなローカル民鉄である、銚子電気鉄道へ行ってみよう。
関東エリア最東端である為、都内からも意外と距離があり、移動に時間がかかる。
日帰りも可能だが、ゆったりと二日間の旅程を組み、全行程を列車の旅にした。



先ずは、JR横浜駅の横須賀線ホームから、成田線直通快速・成田空港行きに乗車する。
二階建てグリーン車が連結されており、首都圏横断の長時間乗車になるので、奮発しよう。
静かで、乗り心地の良い二階席中央に陣取る。

東京から千葉間の高規格高架線の総武本線快速線は、高速で走り抜けるが、
千葉を過ぎると、単線のゆっくりとした外房の旅が始まる。
二階建てサロの独特なヨーイングに揺られ、睡魔で虚ろ虚ろになる中、
房総の長閑な田園地帯を抜け、乗車2時間程で成田に到着する。
ここからは、銚子行きの成田線列車に乗り換えて、揺られること、更に1時間30分・・・
所要時間3時間30分をかけて、やっと、銚子に到着する。
ここまでの運賃は、譲って貰った青春18きっぷ2,300円と、
普通列車グリーン料金750円(土日祝/事前購入料金)の計3,050円だけである。



銚子駅に到着すると、4両編成の209系2000番台から、40人程の乗客が下車する。
降りた途端、港町らしい日差しと空気感を感じるので、遥々来たと言う実感がある。

銚子駅は、千葉方に緩やかな弧線を描く二面三線のホームに、大きな駅舎と広大な留置線を擁する、
銚子市の玄関駅であり、1日の乗降客は3,000人弱との事だ。
駅の開業も、明治30年(1897年)の総武鉄道開業時と古く、
総武本線の終着駅として、また、成田線の運用上の終着駅も兼ねている。

IMGP0858.jpg
(銚子駅に到着し、折り返し仕業中のJR成田線209系電車。)
IMGP0864.jpg
(JRの吊り下げ電光式駅名標と名物の観光歓迎板。)

改札近くでは、イルカの歓迎オブジェと観光歓迎板が迎えてくれる。
一度、改札を出てみよう。着替え等の重いバッグを待合所コインロッカーに預け、
時刻表とコンパクトデジタルカメラのみの身軽な旅装に変更する。
なお、天気は晴れ、昨日の房総エリアは大荒れの天気だったので、見事な回復ぶりだ。
風は無いが、気温がやや低いので、上着が必要な感じである。

IMGP0860.jpg
(名物イルカのオブジェ。最近、醤油の仕込み桶に代わったらしい。)
IMGP0869_201511141600045cc.jpg
(ホーム側改札口。一箇所しか無く、JRに銚子電鉄の改札業務を委託されている。)

駅前に出ると、春であるが、日がとても眩しい。
大きな平屋建ての駅舎は、国鉄時代の房総エリア主要駅の雰囲気を残している。
個人的には、房総エリアの大型駅舎はこのイメージがあり、
房総の明るい日射しと相まって、関東エリアの他の駅と違う印象が強い。

この駅舎は、旧・帝国海軍の飛行機格納庫を移築し、再利用しているそうで、
天井や屋根が大変高く、JR東日本管内の木造駅舎の最大規模のものになるそうだ。
また、駅前の大きなロータリーからは、大通りが真っ直ぐ伸びており、港町らしい開放感がある。

IMGP0878.jpg
(銚子駅。終戦直後から使われている、三代目駅舎になるそうだ。)
IMGP0872.jpg
(改札口。銚子電鉄の乗車時は、左端の有人改札口を使う。)
IMGP0879.jpg
(駅前ロータリーからの大通り。この先に、銚子港がある。)



駅前のコンビニエンスストアで、飲料等の買い物を済ませたら、銚子電鉄のホームに向かおう。
改札はJRなので、「銚電に乗車します。」と改札係氏に伝え、向かいのホームに跨線橋で渡る。
ホーム最東端の一角が、銚子電鉄の専用ホームになっている。

IMGP0855.jpg
(案内看板。国鉄風フォントとは、微妙に異なる雰囲気が、民鉄らしい所である。)

2番線ホームの東端に行くと・・・
専用の駅舎は無く、防風や防寒のガラスの無い、オープンな待合所が建っている。
この変わった形の建物は、平成になってから、オランダ風車を模して建てられたのだが、
電動仕掛けの四枚の白い羽根は老朽化の為に取り外されてしまった。
また、JRの簡易スイカ入出場機があるが、銚子電鉄線内は利用出来ない。
開業当時から、昭和49年(1974年)12月に改札口と屋根ができるまで、
待合所もベンチもなかったそうだ。

IMGP0897.jpg
IMGP0899.jpg
(銚子電鉄ホーム待合所。)

ホーム側は、綺麗に改装されている。
なお、反対側屋根下のシルクハットを被ったゴリラは、銚子電鉄の元祖オリジナルキャラクターで、
列車のヘッドマーク兼行き先表示板として、一時使われていた。

IMGP0914.jpg
(待合所ホーム側。オリジナルヘッドマークの看板が、掲げられている。)
IMGP0908_201511141602078b0.jpg
(名物の地元醤油メーカーベンチ。ヤマサとヒゲタバージョンがある。)

ここで、銚子電気鉄道の歴史に簡単に触れたいと思う。
銚子電気鉄道は、大正2年(1913年)に銚子から犬吠(いぬぼう)まで開通した、
銚子遊覧鉄道が前身となっている。
経営不振で数年後に廃線となったが、鉄道の再興を図る元・関係者達が廃線跡を再利用し、
漁港のある外川(とかわ)まで延伸して、大正12年(1923年)に再開業した。
営業キロはたったの6.4km、片道所要時間約20分、駅数10駅の民営ミニ鉄道で、
地元密着の交通機関と犬吠埼(いぬぼうさき)方面の観光鉄道として、有名である。

遊覧鉄道時代は、鉄道院(鉄道省の前身)から払い下げられた、小型蒸気機関車で運行していた。
再開業時は、ガソリン機関車を導入したが、不調が続いた為に国の改善勧告が出てしまい、
その二年後の大正14年(1925年)7月に全線電化(直流600V)行い、現在も電車を運行している。
なお、国鉄総武本線が銚子まで電化したのは、1970年代後半なので、
相当早い電化時期であり、電化と同時に30分毎の頻発ダイヤを導入した。

当時の総武本線や県内各線は約2時間毎に1本の運行で、
東京近郊の混雑区間でも、40分から1時間毎に1本の時代であったので、驚くべきダイヤだったそうだ。
今も、この30分毎ダイヤを継続している(※)。



銚子電鉄のホームは、2番線ホームの切り欠け部にあり、3両編成程度の長さがある。
また、JRの線路と繋がっているが、架線の電圧が異なる為、架線は接続されていない。
かつては、沢山の貨車の受け渡しがあったそうだ。

IMGP0922.jpg
(右側が銚子電鉄ホーム。左側はJRのホームで、架線電圧が異なる。)

暫く、ホームで待っていると・・・
向こうの踏切の警報機が鳴り始め、青色の電車が車体を揺らしながら、ゆっくりとやって来る。

IMGP0931.jpg
(外川方から、電車が到着する。なお、JRの架線が、右に逃げていくのが判る。)

時刻は11時33分、切り欠きホームに到着する。
大きなエアブロウの後、ドアがガラガラと開くと・・・意外にも、大勢の乗客が下車してくる。
銚電のダイヤは、発着共にJRに接続されているので、東京や成田方面に出かける人達も多い様だ。

IMGP0934_20151116123639d87.jpg
(銚子電鉄ホームに到着した、デハ1001。)



にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ

(※)現在、1時間毎に1本になっている。

【参考文献】
ちばの鉄道一世紀(白土貞夫著・崙書房・1996年)
RM LIBRARY 142「銚子電気鉄道(上)」(白土貞夫著・ネコパブリッシング刊・2011年) 

2016年5月24日再編集(文体変更・画像整理)
2016年12月17日再編集(文章追加・画像追加・校正)

© hmd All Rights Reserved.
記事や画像の転載、複製、商用利用等は固くお断り致します。

category: 銚子電気鉄道 全15話

thread: 鉄道旅行 - janre: 旅行

tb: --   cm: --