hmdの鐵たびブログ ローカル線の旅

のんびりローカル線の鉄道旅を、写真を中心に「見る紀行文」で長期連載しています。

【193】あかがねの鉄路を追って・・・わたらせ渓谷鐵道(1)自宅から大間々駅、そして、桐生駅へ。  


春・・・ローカル線の旅の季節が、やって来た。
今回は、関東北部・群馬県南部にある、わたらせ渓谷鐵道に訪問しようと思う。
毎年、春から夏にかけて、訪問しており、個人的に大変気に入っているローカル線でもある。

わたらせ渓谷鐵道は元・国鉄足尾線であり、国鉄民営化後に引き継いだJR東日本・足尾線から、
第三セクターに転換されたローカル線になっている。
国鉄最末期の赤字ローカル線廃止議論の際、第2次廃止対象特定地方交通線に指定されて
廃線が決定したが、民営化前に廃線されず、一旦、JR東日本に移管されている。

そこで、廃線の危機を感じた地元の積極的な路線存続運動や、
群馬県等も路線存続の強い意向を示した事から、昭和63年(1988年)秋に、
群馬県や沿線各市を主な出資者とする、わたらせ渓谷鐡道株式会社を設立。
翌年の平成元年(1989年)3月29日に、第三セクター鉄道として発足している。

現在は、「わ鐵(わてつ)」や「わた渓(わたけい)」と言う愛称で親しまれている。
車窓から見える渡良瀬川の絶景や紅葉、沿線の富弘美術館や足尾銅山遺構への訪問、
関東から日光に抜ける最短ルートとしても、大変人気のあるローカル線だ。
また、首都圏から日帰りも可能な為、近年、テレビの旅番組等でも良く紹介されている。





JR線や東武鉄道線を乗り継いで、起点駅の群馬県・桐生駅まで行く方法があるが、
早朝の始発列車から日没まで乗車して、丸一日を有効に使いたい為、
自家用車を利用したパーク・アンド・ライド方式で、群馬県東部の桐生まで行く事にしよう。

自宅から桐生までは、一般国道経由で片道約110kmあり、所要時間は3時間程度だ。
深夜出発の為、渋滞の心配が無いので、高速道路は利用しないで行く。
先ずは、東京都西部の八王子に向かい、国道16号線を川越方面へ・・・
途中の入間(いるま)から国道407号線を北上し、埼玉県の要衝地である熊谷を目指す。
熊谷から更に北上し、利根川を渡って群馬県に入ると、太田に到着する。
太田からは、北関東三県の横断国道である国道50号線を北西に走り、桐生へ。
そして、桐生から20分位程の場所にある、みどり市・大間々(おおまま)に向かおう。

深夜2時に自宅駐車場を出発。深夜の空いている国道を快走する。
途中、コンビニエンスストアで休憩を取りながら、里山の豊かな武蔵野を北上し、
夜明けとなった太田と桐生を経由して、大間々の町中に入る。
予定通りの早朝5時過ぎに、群馬県みどり市にある大間々駅に到着する。
この駅は、わたらせ渓谷鐵道の本社と車両区がある中核駅になっている。


(わたらせ渓谷鐵道大間々駅。)

大間々駅構内には、わたらせ渓谷鐵道利用客用の有料駐車場がある。
まだ、駅の出札口が開いていない早朝時間帯の為、駐車券を委託販売している駅近くのローソンで、
1日構内駐車券(普通車500円)を購入しよう。
構内駐車場の一角に車を駐め、駐車券をフロントガラス越しに掲示しておけば、大丈夫だ。
なお、起点の桐生駅付近は、駐車場が少なく、駐車料金も時間単位で高い。
自動車で訪問の場合は、この大間々駅の方が、安くて、便利になっている。



早速、身支度をしよう。今回の旅は、1泊2日の予定である。
着替え等の大きなバッグは車に置き、コンパクトデジタルカメラと旅程表だけの手ぶらスタイルだ。
既に、日の出の時間は過ぎており、大分、明るくなって来ている。
春としては気温が低く、風もあるので上着が必要だが、快晴の予報になっている。

IMGP2160.jpg
(大間々駅1番線ホーム。)

まだ、駅員氏が居ない改札を通ると、ホーム向こうの車庫前に気動車3両が留置してあり、
その内の1両が、ガラガラと大きなアイドリング音を立てている。
ホームや待合室には、誰一人もおらず、ひっそりとした早朝の駅風景になっている。

一番列車の発車時刻の40分前、駅事務室から若い運転士が出て来て、
「おはようございます。」と、挨拶を交わす。
運転士は、気動車の下回りを覗く様に、エンジン、ブレーキシリンダー、台車、
ライト、ジャンパ、連結器・・・と、始業前点検を始めた。

IMGP2159.jpg
(車庫前の気動車達。)



時刻は、朝5時40分を過ぎた所だ。
始業前点検を終えた気動車は、車庫前の側線から北進して本線に入り、
駅北側の踏切の向こう側で折り返して、ホームに入線して来る。
この列車は上り列車なので、本来は、向かいの上り2番線ホームへの入線であるが、
始発特例で駅舎側の下り1番線ホームに入線する。

IMGP2162.jpg
(本線で折り返して入線する気動車。)

全線非電化のわたらせ渓谷鐵道は、茶色に塗装された気動車(ディーゼルカー)が活躍しており、
単行運転ができる、地元メーカーの富士重工業製軽快気動車LE-DCを主に運行している。

なお、わたらせ渓谷鐡道の気動車には、各車両に愛称・特製ヘッドマークと
車体側面に動物のシャドーイラストが描かれており、他の第三セクター鉄道に無い魅力がある。
また、今では少なくなった、富士重工業製の気動車が、活躍しているのも見逃せない。

IMGP2162.jpg
(1番線に入線した、わ89形315「わたらせIII号」。)



この大間々駅は、桐生駅から四つ目の駅なので、起点の桐生駅に行こう。
当駅始発の一番列車である、この6時8分発上り750D列車・桐生行きに乗車する。
なお、今日の午後に大間々観光をするので、その際に駅見学もする予定だ。

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【乗車経路】
大間々0608=========0621桐生
上り桐生行き750D列車・わ89-315「わたらせIII号」単行
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グワングワンと周期的な大きなエンジン音と、排気ガスの匂いがホームに漂っている。
高さの低い客車ホームから、二段のステップをタンタンと上がり、車内に入ると・・・
昭和風の濃いエンジ色のシートやクリーム色の化粧板の内装が、とても懐かしい。
十分に暖機運転がされ、暖房もしっとりと効いていて、ほっとした天国の気分だ。

シート配置は、ロングシート部が左右非対称・6ボックスのセミクロスシートで、
路線キロも44.1km・所要時間約1時間半かかる事から、車内トイレも付いている。
また、バス部品の流用による、折戸タイプの乗降扉が、特徴になっている。


(乗降扉は車両両端にある。)

(古いバスの様なステップがある。)

(車内の様子。)
IMGP2178.jpg
(折戸式乗降扉。上の出入口のプレートも、バス部品流用である。)

混雑時以外は、基本的にワンマン運転になるので、整理券発行機、
料金箱や電光運賃表を装備している。
なお、運転室後ろの大きな円筒部分には、ディーゼルエンジンの排気管が通っている。

IMGP2176.jpg
(運転席周辺。)



定刻の6時8分、エンジン音が大きく鳴り響き、ビリビリと車体に振動を立てながら発車する。
電車の発車とは違い、最初はゆっくりと加速する感じで、昔の汽車の様な力強さを感じる。
快適さは無いが、この感じが、気動車好きには堪らない。

此処で、わたらせ渓谷鉄道の歴史について、簡単に触れておこう。
わたらせ渓谷鉄道は、前身の国鉄足尾線以前から、足掛け100年の歴史がある古い路線だ。
大正3年(1914年)には、桐生から足尾本山(現在は廃駅)までの全線が開通している。
日本の近代化を支えた足尾銅山の銅鉱石を輸送する為、当時の足尾鐡道が敷設したのが始まりで、
重要な鉱山を擁する事から、後に国有化されている。

【略史】
明治44年(1911年) 足尾鐡道により、下新田〜大間々間が初めて開通。
大正3年(1914年) 桐生〜足尾本山間の全線が開通。
大正7年(1918年) 国有化され、国鉄足尾線になる。
昭和61年(1986年) 間藤〜足尾本山間が事実上廃線になる。
昭和62年(1987年) 国鉄民営化により、JR東日本・足尾線として移管。
平成元年(1989年) 第三セクター鉄道・わたらせ渓谷鉄道に転換。

大正時代には、足尾銅山の銅産出量も15,000t以上と国内産出量の50%を超え、
日本一の銅山を支える鉄道として、沿線の町々と共に大変栄えたそうだ。
しかし、昭和10年(1935年)頃からは、銅産出量が減少傾向になり、
産業鉄道から徐々に生活鉄道としての役割が大きくなって行く。

特に、銅山が閉山した昭和48年(1973年)と、輸入銅鉱石に依る精錬が終了した
昭和63年(1988年)以降は、鉄道利用と沿線の町々の衰退が著しくなっている。
その為、昭和59年(1984年)の国鉄改革で、廃線が決まったが、
国鉄民営化前に廃線されなかった事と、廃線決定から国鉄民営化まで約3年間の
時間的な余裕があった事が、存続運動や第三セクター転換に大きくプラスをした様だ。



列車は自分ひとりだけを乗せ、途中駅から、中年男性客ひとりが乗車して来た。
大間々駅から、ずっと下り調子の単線の線路と途中駅三駅に停車し、所要時間約13分で桐生駅に到着。
桐生駅は、二面四線の近代的なコンクリート高架駅になっており、
わたらせ渓谷鉄道の列車は北側の1番線に入線する。


(桐生駅に到着。)

この起点駅の桐生駅から、改めて、スタートする事にしよう。



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2016年1月13日再編集
2016年12月6日再編集(文体変更・文章追加・画像整理)

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category: わたらせ渓谷鐵道1日目 29話

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